読売日本交響楽団 第562回定期演奏会 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今日は仕事帰りに東京へ。

読売日本交響楽団 第562回定期演奏会



19時~
サントリーホール

指揮:ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー
ピアノ:ヴィクトリア・ポストニコワ


一昨日、昨日と名曲コンサートを組んで、翌日 定期演奏会という、強行スケジュールの極み。

今日は1階5列右寄りという、一昨日の芸劇の右端席とは大違いで 昨年の大阪定期を思い出すような悪い席。ここでS席はないでしょう…と文句を言いたくなる。しかし、ロジェストヴェンスキーさんの指揮を見るには絶好の位置。
そして 楽しいショスタコーヴィチプログラム。

最初の曲は
🎵ショスタコーヴィチ:バレエ組曲「黄金時代」 作品22a
これは労働者を讃えるような ソ連らしいストーリーのバレエから、4曲を取り出して組曲とした作品。中学時代にLPを手に入れてワクワクしながら聴いた曲。実演は初めて!
冒頭のテンポが遅めで ちょっぴりもっさりと始まったので、ドキッ!としたものの、6/8拍子に変わるや 一気にオケの上に掛かる霧がはれてきて、ロジェストヴェンスキーさんの棒も冴えはじめました。
第2曲のアイロニーを感じさせない美しい音楽にどっぷり。
第3曲と第4曲は、批判的精神満載の音楽。シロフォン中心の打楽器群の扱いが最高でした。

続いて
🎵ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番 ハ短調 作品35
この作品もとても魅力的。輝かしいトランペットのソロとの絡みが楽しめる曲。
ところがピアノがセッティングされると、指揮者が完全に隠れるのは予想していましたが、ソロのトランペットもピアノの陰。座っていたのか立っていたのかすら分からない。ソロトランペットは読響首席の辻本憲一さん。
ここでも遅めのテンポの演奏。落ち着いた 1つ1つの音までしっかりと目配りされた演奏は、とても安定していました。
北方系の風景を感じさせる第2楽章が 私好み。しかしそれを忘れさせる第4楽章のギャロップは、本当に小躍りしてしまいそう。コーダで一気にテンポを上げたのには驚きました。
愉しく聴くことができた前半の2曲でした。

休憩のあとは
🎵ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 作品93
この曲は 先日、群響で聴いたばかり。でもショスタコーヴィチの音楽は何度でも聴きたくなる、不思議な魅力があります。
ゆっくりとしたテンポはロジェストヴェンスキーさん流。弦の響きがタイガの風。チェロとコントラバスが凍土の厳しさ。そのベース音が消えた瞬間、雪が溶ける様。
第2主題に入るとテンポを少し上げるも 1つ1つの音をそれは丁寧に!
今日の白眉はこの第1楽章。
第2楽章はとてもアイロニーたっぷりな表現がギラギラ。ソ連の音楽!
第3楽章は、自分の名前と 当時の彼女の名前を組み合わせたもの。ロジェストヴェンスキーさんは明確に分離するように描いたのは、叶わなかったから?
第4楽章も最初のppの緊張感が見事。テンポが上がってからは 軽快に、しかし一つ一つの音を丁寧に仕上げていきました。
少しの乱れはあったもののロジェストヴェンスキーさんの音の完成度は見事。ソ連のオケのような音が終始響いていたのには 感動。
ロジェストヴェンスキーさんの指揮も冴え渡っていました!
最後はffの締めのあと、なんと、数秒間の音の余韻を感じる間が!拍手が出ないホールにロジェストヴェンスキーさんの方がビックリした様子。しっかり聴いていた人ほど 拍手ができないくらいの感動を与えてくれた 素直な反応だったと思います。
この間の群響の破綻したホルンは別枠にするとしても、読響の充実した音には感動を通り越して、驚きでした。

今日も終演後、ロジェストヴェンスキーさんとポストニコワさんに感動を伝えてサインをお願いしようとしましたが、今日も楽屋口でのお見送りだけになってしまいました。4年前は楽屋まで案内されたのですが… お疲れのご様子がちょっぴり心配。またの来日を願っています。