アンサンブルofトウキョウ 第119回定期演奏会『ハイドン・モーツァルト 協奏曲のひととき』 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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昨夜は映画の日で、仕事のあとに 映画鑑賞。偽作曲家問題を真正面から捉えた問題作。この感想は、また後日。

梅雨の中休みって感じの土曜日。この土日は予定が無いので お出掛けを狙っても良かったのですが、雨や大気が不安定となり、山は無理と決め込んでいたら、晴れた!
ならば…と 出掛けたのは音楽会。4つの候補から選んだのは…

アンサンブルofトウキョウ 第119回定期演奏会
『ハイドン・モーツァルト 協奏曲のひととき』

14時~
紀尾井ホール

青山聖樹(Ob)
玉井菜採(Vn),大野かおる(Va)
河野文昭(Vc)
金 昌国(指揮)
アンサンブル of トウキョウ


この団体を聴くのは何年振りだろうか? 本当に久し振り。今日はなんと言っても協奏曲好きの私の中でも、特にお気に入りの曲ばかり! その代わり 決定的ともいえる素晴らしい実演をどの曲でも聴いているので、ハードルの高さは半端ないのは覚悟の上。
弦の編成は5-4-4-2-1。
当日券でしたが自由席なので 3列目の中央やや下手のソリスト前の位置で聴けました。

最初の曲は
🎵ハイドン:チェロ協奏曲 ニ長調
冒頭のオケの音が出た瞬間、なんと温かみのある音なのだろう、という印象。
河野さんのソロは実直な性格がしっかりと出たスタイル。小型のオケに明るい音色のソロが とっても爽やか。オケは伴奏に徹して、対旋律などを控え目にした優しさあふれる表現になりました。
スコアの妙を抉り出すような この頃のスタイルに慣れた、期待する、耳に対しては 平板に聴こえる感じも否めないかも。それはオケが伴奏になると ちょっぴり消極的かつ一本調子的になったところ。またチェロのテンポにちょっぴり合わない箇所もあったのが残念。オケの各自がソロをもっと聴いて欲しかったかな…
チェロも第1楽章と第3楽章でちょっぴり『難しい曲だ!』というのが感じられました。
80年代なら『最高!』と言えたハイドンでした。

続いて
🎵モーツァルト:オーボエ協奏曲 ハ長調 KV314
ハイドンと一線を画すような、生気あふれるオケの前奏から入りました。
真っ直ぐなオーボエの音に真横からオケが当たる感じ。この変化はソロのピッチが高いから思いきって当たれるってこと?
青山さんはインテンポで刻んでくる端正な演奏。もっともっと歌って欲しいと思ったのは、先日の日本センチュリー響での演奏と比較しちゃうから。オケの音はセンチュリー響より今日の方が鮮やかでまとまっていました。
カデンツァはホールの残響を存分に生かした伸び伸びとしたものを3つの楽章で聴かせてくれました。

休憩のあとは
🎵ヴァイオリンとヴィオラのための協奏交響曲 変ホ長調 KV364
玉井さんと大野さんの骨格のしっかりとしたモーツァルトが聴けました。
オケのfでの上昇気流に乗ったような大きな躍動感は見事。ただ、そこでのリズムや裏拍を穏やかにまとめてしまう。現代のアグレッシヴな演奏を知った耳にはスパイス不足が否めない。
ソロの2人は折り目正しい硬派な 模範的というべき演奏。ヴィオラは記譜通り ピッチを半音上げてニ長調の指使いでの演奏は完璧。ヴィオラがちょっぴり派手な音色となって、ヴァイオリンに近い音色となって、聴こえました。ただモダン仕様のヴィオラならば音量もあるので、ヴィオラの渋い音色をじっくりと聴くことのできる、変ホ長調そのままの調律でいいのでは?とも思いました。今日の演奏を耳だけで聴けば、2つのヴァイオリンの協奏曲にも聴こえそうでしたから。

聴きすぎている曲ばかりのプログラム。すべて 模範的な非の打ち所の無い演奏で聴けました。80年代ならば、きっと「マリナーやパイヤールに並ぶ演奏だ!」と叫びそうな 主旋律をはっきり、そしてソロを存分に聴かせた演奏。今日はソロの方々への配慮が行き届いた、金さんの温かい眼差しが感じられる演奏に仕上がっていました。

かなり辛口の感想になりましたが、演奏そのものは十分納得いく音楽会になりました!