仙台国際音楽コンクール ヴァイオリン部門 ファイナル:第2日目 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

旅と鉄道と温泉が大好き。
そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

今日は東北新幹線で17時前に仙台へ。

青空の下、福島県の山の緑の美しいこと。原発で登山の延期を強いられている霊山に行きたくなりました。

今日は先週に引き続き、また仙台。


先週の 仙台国際音楽コンクール ヴァイオリン部門、セミファイナル3日目の記録は(↓)こちら🎻

 


この7,8年、音楽会中心に動いていたので、仙台フィルの定期会員をやめたこともあり、お出掛けが西に特化し過ぎていました。本来 北への志向が強い私には こちらの田園の風景を見るとホッとします。


今日の夕方の風は ちょっぴり半袖には涼しかったので、500円のソフトクリームはパスして320円のミックスで、気合いを入れました!



仙台国際音楽コンクール ヴァイオリン部門 ファイナル

第2日目


18時30分~
日立システムズホール仙台 コンサートホール



指揮:広上 淳一
仙台フィルハーモニー管弦楽団
コンサートマスター:神谷 未穂

課題曲
次の①②の両方を演奏する。

①メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64

②次の曲目から1曲を選択すること。
・ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲 二調
・プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 op.19
・プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 op.63
・ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲 第2番 嬰ハ短調 op.129

審査員
堀米 ゆず子(審査委員長)
堀 正文(審査副委員長)
ロドニー フレンド(審査副委員長)
ボリス ベルキン
マウリシオ フックス
ホァン モンラ
加藤 知子
ヤンウク キム
ギドン クレーメル
チョーリャン リン
レジス パスキエ
竹澤 恭子


先週まで今日は予定していませんでした。ファイナルは昨日から3日間。性格的に「3日間全て行けないなら 行かない!」と思う傾向があるので、考えていませんでしたが、セミファイナルに行って考えが変わっちゃいました。


当日券で6列目左ブロックの内側よりのソリストを斜め前に見る位置!セミファイナルの席の延長線上ですが、段差のある位置なので、音のバランスは格段に上の席になりました。



前半は
18:30~
スティーヴン・キム、Stephen KIM:アメリカ

セミファイナルでは安定はしていたものの、ほとんど印象に残らなかった…

・プロコフィエフ / ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 op.19
第2番はへんちくりんでオモロイ曲として、何回か実演で聴いているのですが、この第1番は初めて聴くはず。

冒頭から繊細で美しい曲でビックリ。これがプロコフィエフの作品だとは 思えない!
オケもピッタリとソロにつけていて、一体感ありありの 密度の高い演奏を聴かせてぐれました。特殊奏法もビシッと決めての安心感あふれる演奏。ポンティチェロ奏法の金属的な音色が刺激的でした。唯一 わがままを言うなら、楽章毎のメリハリが薄い~演奏ではなくて作品そのものに~ってことぐらいか…
プロコフィエフの作品で初めて聴いたのにここまで楽しめるとは ビックリです。
感想以上は スコアも無かったので 書けません。悪しからず…

続いて
・メンデルスゾーン / ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
第1楽章のソロのフレージング正確で、3連符の頭まで続くスラーが明瞭に聴こえる。本当に端正な音楽づくり。
第2楽章はたゆとう様なリズムがとても美しい。
第3楽章への間をたくさん取ったのには驚きました。
第3楽章の冒頭640(644)小節のオケのヴァイオリンとユニゾンとなる場面や784小節からのヴィオラが旋律を弾く場面では、ソロをオケに埋没させて主導権をオケに渡すところなどはアンサンブル重視で聴く私好み。
とても丁寧で オケとの対話がしっかりと感じられる好演。セミファイナルを ボーッと聴いていたのでは と反省です。
ここまでがっぷり組めた演奏は、今まで聴いたことないくらい。プロの演奏を超えたと言ってもいいくらいでした。もちろんオケ(と指揮者)の真摯なソロに向かう素晴らしさは特筆すべきものです!

20分の休憩のあと、時間通りに
19:50~
アンナ・サフキナ、Anna SAVKINA:ロシア

キムさんとは対照的に、セミファイナルで最も印象的な演奏を聴かせてくれた人。

・メンデルスゾーン / ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.64
キムさんの端正かつダイナミックな演奏のあとでは ちょっぴり不利って感じ。
第1楽章では 音の鳴りがちょっぴり負けている。早いパッセージのリズムがちょっぴりドキドキしちゃう。セミファイナルの時には感じられなかった その雰囲気は、もしかして「この曲 苦手? 」って訊きたくなってしまう。
そんな中でも 早いパッセージの連続する箇所での表情の豊かさ、変化の大きさ、言葉の巧みさは やっぱり多彩で輝いていました。
第2楽章では一歩前に出て演奏。オケをバックに 旋律をホール全体に響かせるスタイル。優雅で夕焼けの変化を見るような美しい音のグラデーションに魅了されました。
第3楽章へは キムさんと同じで 間を置く、というより 短い休みを入れた感じ。
一呼吸入れて 落ち着くってことなのかな?コンクールだから? と考えてしまいました。
第1楽章と同じく一歩下がっての第3楽章は、キムさんがオケと一体となった箇所もサフキナさんはppとしながらも明瞭に聴かす立場をとっていました。明るくコケティッシュな演奏は若々しいメンデルスゾーンの姿をハッキリと示すことができました。

色合いの豊かさではサフキナさんですが、安定感とダイナミックさではキムさんでしょうか…

それにしてもサフキナさんの 可愛い紫のラインの入ったドレスに紫のカチューシャの姿は まるでお人形さんみたい。

休憩のあとは
・ショスタコーヴィチ / ヴァイオリン協奏曲 第2番 嬰ハ短調 op.129
袖から出てきてビックリ。髪にカチューシャがなく、後頭部の紫の髪留めになって、お人形さんが女性に変身しちゃいました。
こちらは、通して一歩前の位置で演奏しました。つまり『ソロを聴かせるぞ!』という態度ですね。
第1番に比べて地味な第2番。冒頭のソロの入りからショスタコーヴィチらしい恐ろしさあふれる音が突き刺さりました。
その後はオケをバックに 語りました。それを支えた打楽器の不気味な足音、管楽器の不安な世界の空気などはオケの見事な表現も完璧。
素晴らしい演奏がここで聴けました。

この作品もほとんど聴かない曲、かつ 実演初めての曲なので、スコア無しだったので、感想以上は無理のレポートになりました。



終演後のCD注文は~ファイナルは1曲毎!~2人の選択曲を選びました。

ちょっぴり遅れて地下鉄乗り場に行けば、夜の涼しい空気のコンコースに、コンクールのポスターの傍らに、10月の『せんくら』のチラシが積まれていました。