仙台フィルハーモニー管弦楽団~東京特別演奏会~「幻想 × レリオ」:サントリーホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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震災後のご支援に心から感謝を込めてお届けする
仙台フィルハーモニー管弦楽団~東京特別演奏会~「幻想 × レリオ」

サントリーホール
14時~

パスカル・ヴェロ:指揮・演出
仙台フィルハーモニー管弦楽団
レリオ:渡部ギュウ


天皇・皇后両陛下のご臨席のもとでの予定でしたが、熊本での地震の影響で、回避されたとのこと。震災に対しての感謝の演奏会が 皮肉にも 地震により両陛下のもとでの演奏ができなかったのは、本当に残念でなりません。



仙台フィルは私が岩手に住んでいた 90年代前半から2000年代前半まで、定期会員になったりならなかったりしながら10年以上、身近に感じて そして応援し続けている団体。今も年に数回、せんくらでの公演も含めて、仙台で聴く モダンオケとしては最も身近な団体。
今回 仙台フィルの会員のお友だちに前寄りの真ん中で…と割引でチケットを取ってもらった席は、なんと1列目のど真ん中。ここじゃあスコア広げられない💦
ヴェロさんは上手前方にヴィオラを置く通常の配置。譜面台にライトがあるので レリオでは舞台で何か演じられるのかと ちょっぴり期待💡

今日のコンサートのポイントは、仙台フィルいわく、
~ ベルリオーズ本来の構想に基づく
二作連続演奏 ~

以下、仙台フィルのHPから
『※日本語台本による語りと、原語歌唱
公演に寄せて

震災から5年の春に、感謝を込めて贈る
仙台フィルの“現在(いま)”

 2011年の東日本大震災から5年。未曾有の災害は東北の地に大きな苦難と悲しみを与えました。仙台フィルもまた、拠点ホールの長期閉鎖、数多くの演奏会の中止という状況に追い込まれ、大きな苦労を強いられました。あれから5年 ―。私たち仙台フィルは、国内外の多くの皆様からの温かいご支援を頂き、被災地での復興コンサートを重ねて被災者との絆を紡ぎながら、オーケストラとしての演奏活動を再開し、そして継続しています。被災地の代表として公演した2013年3月のロシア公演に続き、御陰様で、この2016年4月には第300回定期演奏会を仙台で開催できることとなりました。これまで仙台フィルを支えてくださり、またご声援をお送りくださったすべての皆様に、心から厚く御礼を申し上げます。
 2016年は、常任指揮者パスカル・ヴェロがそのポストに就いて10年目の年でもあります。仙台フィルは大震災の苦難を挟みながら、ヴェロと共にフランス音楽を中心とした音楽創りにじっくりと取り組んでまいりました。私たちがヴェロと培ったフランス音楽のひとつの成果として、ベルリオーズの「幻想交響曲」と「レリオ、または生への回帰」を、作曲者の本来の意図通りに連続演奏の形式で公演し、皆様にお届けいたします。この形式での公演は東京では実に10年振りです。指揮・演出を担当するヴェロは、フランス音楽の彩りや生命感はもちろん、舞台全体にきっと興味深い雰囲気を加えてくれるに違いありません。感謝を込めてお届けする、仙台フィルの“現在(いま)”を、ぜひとも多くの皆様にご体験いただきたいと思います。

仙台フィルハーモニー管弦楽団』



ベルリオーズが阿片で朦朧となり、あの世の一歩手前までいく『幻想交響曲』と、そこから現実に戻る『レリオ』。作品番号14のaとbを順番に演奏。本当に期待十分のプログラム。

開演のベルのあと、今日は早めにオケのメンバーがバラバラと入ってくる。「300回定期記念と震災支援の感謝に対しての特別な公演なのに、緊張感ないなぁ… 聴衆もまだ席に着いてない段階では 拍手で迎えることもできないじゃん」
と思っていたら、コンミスの神谷さんまで出てきちゃう… そのあとから指揮者のヴェロさんまで。神谷さんはすぐに私を見つけて舞台の上下でご挨拶、その他の方もお知り合いにご挨拶、って和やかさ。舞台上でも楽員どうしが譜面台を見ながら、演奏のチェック。神谷さんと西本さんも幻想交響曲の第1楽章の速いところの合わせのチェックしたり、ヴェロさんもチェロのところで譜面のチェック。
すると、あれあれ。
後半のレリオでの語り(レリオ~ベルリオーズ自身のここでの名~)役の渡部さんが出てきて 楽譜をヴェロさんに渡し、それをヴェロさんが管楽器のパートに渡していく!
そこで謎が解けました。
すでに舞台が始まっている!
そう、今日はベルリオーズの書いた幻想交響曲の初演(練習)なんだ!ベルリオーズの体験を音楽で描く『劇』がこれから始まるのだ!と。

渡部さんはそのあと、舞台下手後方の台の上、机と照明が設えてある、にスタンバイ。
幻想交響曲で 舞台をやるんだ!

ところが私の席からは、コンマスの内側の延長線上で、まったく見えない😅

ヴェロさんが指揮台の後ろに立ってチューニングを指示。
チューニングが終わるや、舞台が暗転。
譜面台に照明が設えてあるわけだ。

前半の曲
🎵ベルリオーズ:「幻想交響曲」~ある芸術家の生涯~ 作品14a
拍手する暇もなく、暗い中で演奏が始まる。舞台は次第に明るくなり、アレグロになるまでには普通の明るさに。
序奏の時から レリオ~ベルリオーズ~は舞台を始めていました。まず、白い煙が昇っていたので、ハマキを吸っていたような…
ヴェロさんの幻想交響曲は とても健康的なテンポ設定ですが、弦にはかなり大胆な表現を要求していました。スコアを開かないでも、めちゃめちゃ楽しめる、破天荒なオーケストレーションが手に取るように分かるもの。第1楽章の主部のリピートはありました。
第2楽章では、レリオは立って演じてくれたので どうにか上半身は見えましたが、それは前半だけ。
オケの集中力は素晴らしいものがありました。
私の好きな第3楽章。途中でレリオが舞台から降りていくのが見えました。眠るのだから…かもしれませんが、それならば机で寝るか、もしくは逍遙するのなら 舞台、もしくは後方席でも 歩いて欲しかった。
第4楽章でレリオ登場。断頭台の場面は 最後に自害するような演技が見えました。
音楽はストレートに突き進む。あの唐突に戻るリピートはしなかったので、音楽の流れが歪にならずにすみました。歪だからこそ、幻想交響曲なんだ!ともいえますが、ヴェロさんの音楽はそうじゃない。
断頭台(自害?)で死んだ瞬間、再度、舞台は暗転。
第5楽章は地獄の風景。私はオーケストレーションの方に集中してしまい、レリオのことを忘れてしまいました。快速でベルリオーズのユニークなオーケストレーションを殊更強調することもなく、しかし、楽器ごとに書き分けている意味を問いただすような色づけは とても愉しく集中して聴けました。特に弦のまとまりは見事でした。唯一、コールレーニョの所が揃わないのは ご愛敬。このテンポで揃うのは日本ではN響くらいでは…
最後は拍手の前に 舞台は暗転。譜面台のライトも消していたので、真っ暗。
レリオとヴェロさんが舞台から下がるまで真っ暗。
照明がついて拍手が出る時には、すでにオケのメンバーが席を立っている時でした。
(単純でしたが)照明が演出の効果が絶大でした。

休憩のあとは、珍しい
🎵ベルリオーズ:「レリオ、または生への回帰」叙情的モノドラマ 作品14b

レリオ:渡部ギュウ:語り
ジル・ラゴン:テノール
宮本 益光:バリトン
仙台フィル第300回定期記念合唱団

舞台後方席に合唱。男女比が偏り過ぎているのが、残念。
この作品は6つの曲が挿入されたモノドラマ。レリオ~ベルリオーズ自身~の語りで舞台が 進む。ただ、私の席から レリオが見えない。

レリオはマイクを使用。舞台側方席にも聴衆を入れていたのでこれは仕方ない。ただ私の席では、スピーカーからの言葉がハッキリと聞き取れなかったのは 私の座席のせい?
レリオが正気に戻っていく道筋が 語られ、演じられました。

音楽はベルリオーズらしい、どちらかと言えば 私の好きなフランス革命の歌に近い感じの曲が並びました。
男女比が悪い合唱が、そんな危惧を忘れさせる好演。っていうか、女声合唱風の曲ばかりだったから…
宮本さんは舞台後方の合唱団の隣。
ラゴンさんは舞台下手、舞台出入口の前のハープの隣。ラゴンさんが高音でファルセットに変わる所がちょっぴり不自然に感じられたのが残念でした。

最後の空気の精の合唱の前には、レリオは正気に戻り、自分の作った曲の演奏の注意を楽団に語っての演奏になりました。明るく盛大な音楽は終曲にふさわしく そのまま終わらせるか、と思いきや、
最後にレリオの独白(メロドラマ)が幻想交響曲のテーマをバックに!

自分の生き方は作曲することだ、しかし 恋からは逃れられない…

『生きていれば 恋も創造もできる』💓

本当に素晴らしい演奏会になりました🎶✨

2回目のカーテンコールの(ソリストが全員並んだ)時
「ブラービ」🙌
と賛辞を送ったら、ヴェロさんが
「ありがとう」😉
と 流暢な日本語で答えてくれました。

ホールから出ると、青空に雲が流れていました☀

その後 お友だち2人とお茶をして 爽やかな日曜日を締めました☕