新日本フィル 第556回 定期演奏会:サントリーホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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今朝は花粉症による呼吸困難?で朝4時に目が覚め、NHK ラジオ深夜便をかけたら、神谷未穂さん(仙台フィルコンミス)の声が聞こえてきてビックリ! 震災関連のお話。音楽の力について考えさせられる内容でした。

今日は

サントリーホール
19時15分~

新日本フィルハーモニー交響楽団 第556回 定期演奏会
指揮:上岡 敏之


1階3列ほぼ中央の席。
コンマスは崔さん。
西江さん(コンマス)と河村さん(Fg)が降り番だったのが残念。

前半は
シューベルト:交響曲第1番 ニ長調 D82
この1ヶ月、手元にあった予習のCDは ペーター マークのもの(実演ナンバーワンのグレイト交響曲は、マークさんと上岡さんですから!)。その予習の成果はバッチリ出ました。まったく異なる音が聴こえてきたのですから!
冒頭からフワッとした軽さ、まるで羽毛が空気の中を踊るような感じの序奏。弦の音が私の好きだった新日本フィルの音とまったく異なっていて、ビックリ‼
アレグロの部分に入ると 軽さそのままの優しさあふれる音楽。テンポは速め。ヴァイオリンを中心にした16分音符の刻みが揃わなかったのは『軽さ』を重視した音楽づくりだからでしょう。これが新日本フィルのこれからの課題になりそう。
なにしろ力みのない 若さあふれるちょっぴりぎこちないシューベルトの作品を、温かい心を芽生えさせた様。上岡さんの音楽がしっかりと聴こえてきました。
各楽章の最後の音を フワッと空中に手放すように溶け込ますのは、上岡さんならでは。第1楽章は弦が鮮やかに決めたのですが、第2、第3楽章の木管は マダマダって感じでした。
圧巻は第4楽章の鮮やかな楽器毎の対話。スコアを見ながら聴いたなら ワクワクしちゃうに違いない! でも、上岡さんは指揮を見ながらだからこそ その音楽づくりの方向性とそれに応えるオケの的確さを感じることができるので、スコアなんて見ていたら だめです…
スポーティーなシューベルトって印象にもなるかもしれませんが、私的には初夏の湿原に舞う風に踊る鳥の羽の様でした。20年前の私ならば、縦の線が合ってない!と 言いそう。こんなシューベルト、上岡さん以外では 聴いたことがありません(以前の東京フィルのグレイトもそうだった)。
まだまだ 伸びしろがいくつも見えましたが、上岡さんの音楽にはどっぷり浸れました。

休憩の後は
マーラー:交響曲第1番ニ長調『巨人』
こちらは何度もスコアを見ながら実演でも聴いたことのある曲(実演ナンバーワンは山田一雄先生と新星日響)。マーラーはいまいち苦手と言いながらも、この曲は30年間、愉しく聴けている作品。
第1楽章、冒頭から最弱音。霧のかかった朝の湿原の様。とても素敵な風景が現れました。
その後は歌をうたうような晴れやかさあふれる音楽づくりになりました。若者が太陽の光を浴びながら湿原の木道の上を歌いながら歩いていく。鳥がそれを見ながら囀ずっている、っていう風景。
提示部を繰り返しましたが油断してしまい、1回目と2回目の違いが分からず…
第2楽章も若さいっぱいの音楽。速めのテンポ。こちらは究極の(強力すぎる?)グリッサンドが愉しいなんてもんじゃない。ここでは反復の前と後で表情の変化もハッキリ描き分けていました!
第3楽章は冒頭のティンパニをできる限りの最弱音を要求。2回『もっと小さく!』と指示を加える様。それに乗るソロコントラバスもこれ以上小さくできないっていうところから。 ただ、チューバのソロが入るところでそれまでと異質にも聴こえてしまう音の圧力は… チューバのppはそれは難しいでしょう。チューバに合わせていくのではなく、上岡さんはそこまでpppで持っていく方をとりました。 ここでは細かな表情をちょっぴり粗めの鑿で彫っていくような感じがしました。
第4楽章も第3楽章と同様。速めのテンポでしたが、コーダの(前?。ホルンが立つ前のところ)では テンポをぐっと落として、力を溜めてから最後、輪郭を明確に彫り進めていくようにしていくあたりは、大きな作品に挑戦する若さあふれるマーラーの姿が感じられました。
マーラーはちょっぴり自分の今まで聴いたスタイルと離れたところに位置していて まだまだ私の理解が届かない感がありました。この曲は逆にスコアを見ながら聴かなきゃって思いました(私はです!)。

今日はとても個性的で 出る杭を打つような日本の風土では 素直に受け入れられるのには時間がかかるような音楽づくり。アンサンプルの緻密さより、音楽の方向性を優先した音楽づくりをハッキリと出した、上岡さんらしい演奏になりました。
シューベルトのブラボーは私だけ。マーラーは私は掛けませんでしたが、ホール全体が大喝采に包まれました。
アンサンプルの緻密さを求める方にはダメでしょう。音楽の方向性が今までの主流とは異なるので それを受け入れられない方にもダメでしょう。都合、30%程度の方にのみしか受け入れられないのでは…と心配しましたが、マーラーの拍手にホッとしました。

明後日、大阪シンフォニーホールは舞台後ろの席。スコアを準備して行こうと思います。

終演後、サイン会。年末のシンフォニーホールでの第9の時にお友達とともに撮った写真にサインをいただきました。



ただ、今日はゆっくりお話する時間が少なくて残念でした。