オーケストラ・リベラ・クラシカ 第35回定期演奏会 | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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午前中、恒例の神保町界隈を散歩。買い損なっていた古本を見つけて、ラッキー!
そのあとは上野に移動。

15時~
上野学園石橋メモリアルホール

オーケストラ・リベラ・クラシカ(OLC)
第35回定期演奏会

指揮:鈴木秀美
ソプラノ独唱:望月万里亜
オルガン独奏:今井奈緒子

合唱:コーロ・リベロ・クラシコ
ソプラノ:鈴木美登里、望月万里亜、星川美保子
アルト: 上杉清仁、布施奈緒子、高橋ちはる
テノール: 谷口洋介、中嶋克彦、鏡貴之
バス:小笠原美敬、渡辺祐介、小藤洋平

オーケストラ・リベラ・クラシカ
ヴァイオリン:高田あずみ(コンサートマスター)、竹嶋祐子、荒木優子、高田はるみ、堀内麻貴、山内彩香、廣海史帆、高岸卓人
ヴィオラ:成田寛、原田陽
チェロ:山本徹、武澤秀平
コントラバス:今野京
オーボエ:ロドリーゴ・グティエレス、カタリーナ・アンドレス
ファゴット:堂阪清高
ホルン:エルメス・ペッキニーニ、飯島さゆり


鈴木秀美さんのHPでのメッセージは
『OLCにとっては珍しいことでもないオール・ハイドン・プログラム、しかし今回はそこに二つ新しいものが登場します。一つは小オルガン・ミサを共演する《コーロ・リベロ・クラシコ》です。今年の1月17日、大阪いずみホールでの公演をきっかけに結成しました。今後も合唱の加わったものが時々入れられるようにしたいと思っています。そしてもう一つは、今回のミサのために作られたオルガンです。これを書いている時点ではまだ製作中、見てもいません。プログラム前半にはこの二つを中心としたミサを、そして後半には若いハイドンの生き生きした交響曲をお楽しみ下さい!  』
と、ありましたが、声楽曲の大好きな私には外せないプログラム。1月17日の大阪のコンサートは 昨年度 3/143と私が評価した公演ですから!

今日もお決まりの、前から2列目 ど真ん中で聴きました。

舞台の中央には白木の まだ『製作途中』のオルガンが!足鍵盤も取り付け待ち。極めつけは、電気での鞴が未設置とのこと。ということで、今日は鞴師とストップ操作補助2名の 計3名の補助がついた、それこそ、鞴師つきの当時の様子を再現した?これぞ今の時代には見れない鞴師つきの正真正銘の『ピリオド楽器』のオルガンつきの演奏会になりました。

最初の曲は
🎵ハイドン:ミサ曲変ロ長調 Hob.XXII-7「小オルガン・ミサ」
この曲こそ、私が一番好きなハイドンの曲かもしれない。そして最も勉強(指導、指揮)した 思い入れたっぷりの曲でもある。このまま書いていったら、アナリーゼになっちゃいそうだから、簡単な感想にします。
キリエのやわらかで滑らかな美しさの極みのような演奏で 秒殺!アダージョのテンポは遅め。アマの合唱だったら息が持つか心配になるくらい!これは最後のアニュス デイでも。アニュス デイでも遅めのテンポで、合唱のフレーズの最後の2分音符(器楽が4分音符で合ってないところ)をしっかりその長さで歌わせた(つまり合唱だけ残る!)のが印象に残りました。
グローリアなどの軽快な部分では 明るく明晰な合唱が際立っていました。
そしてハイライトというべき、ソプラノとオルガンのソロが美しいベネディクトゥス。合唱から望月さんが舞台前に来ての歌唱。清楚な発声は古典派の宗教曲にピッタリ!ソロの歌唱にピッタリの 当時の町の教会にある大きさのオルガンの節度を持った音色が極上の音のマーブリングを描きました。
絶品!
としか言えない音楽を聴くことができました。

続いて
🎵ハイドン:「あなたこそ栄光と誉れにふさわしく」(神への感謝の歌) 変ホ長調 Hob.XXV:C8(合唱)
アカペラの曲。
このものすごいレア物の曲を、素晴らしいハーモニーで聴けて感激!
優しく美しさの極みの音楽でした。これなら1日聴いていてもいい。声楽の素晴らしさを凝縮した曲と演奏でした。

ここでオケと合唱が舞台から下がり オルガンの独奏(舞台には4人です)
🎵ハイドン?:3つの前奏曲 Hob.XVII:C2(オルガン独奏)
偽作ではないか?と言われている、真作には思えない可愛い曲。小さなオルガンにピッタリ。
2曲目のハ長調が 規模も大きく聴き応えがある充実した作品でした。

続いて
🎵ハイドン:主題と6つの変奏曲ハ長調 Hob.XVII:5(オルガン独奏)
可愛い民謡調の主題の魅力的な作品。主題の展開もわかりやすく、耳にも優しい作品。個人的にはこの曲はフォルテピアノでなきゃ、5つの変奏がハ長調と色彩の変化が乏しいところもあるのだから、強弱を自在に操った演奏が最低条件、と思っていた曲。ところが今日、オルガンだとストップ操作での音色の変化が多彩で、それは楽しく聴けちゃいました!
今回は変奏の途中でのストップ操作も(補助がいたので)行われたので、細かな変化を組み入れることができていたからでしょう。
完成したオルガンで また聴いてみたいなーって思いました。

ここで休憩。
休憩時にオルガンの撤収があったのですが、さすが製作途中だけあって、分解しはじめたのにはさすがの私も目が点になりました(@_@)

休憩のあとは
🎵ハイドン:交響曲第2番ハ長調 Hob.I:2
この曲のスコアを初めて見たときの驚きは忘れません!3つの楽章に反復記号がないのですから!つまり、繰り返すことなく一気に演奏しておしまい!なんです。
ドレミファソラシドと元気に駆け上がる主題の第1楽章。ちょっぴりテンポが速く落ち着かないのは、テンポというより オケがそのテンポについていけてないから? 繰り返しが無いため 落ち着く前に終わってしまった感があり、残念。
管楽器が休んだ第2楽章。初期のハイドンによくある歌うセレナード。ただ、この曲では第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンがユニゾン、そしてヴィオラとチェロ(バス)もユニゾン。つまり弦2部という単純な構造!こちらも速めのテンポでさらりとした感じ。単純な構造を感じさせない音楽に仕上がっていました。
プレストの第3楽章(終楽章)は繰り返し無しのため、ちょっぴり規模が大きくなった、未完成のロンド形式。この楽章は速すぎず 安定した仕上がりになっていました。

そして今日のメインはなんと
🎵ハイドン:交響曲第57番ニ長調 Hob.I:57
この曲は ハイドンの中期の交響曲の中ではなかりの名曲の部類だと思っているのですが… 全く演奏されませんね。全集目的以外で録音されたレコードも 70年代に アメリカのオケのLPを入手しましたが それ以外にあるのかな?って感じ。
立派な序奏から始まる。
堂々とした主題と規模のソナタ形式の教科書のようなアレグロ。ここでもちょっぴりテンポが速め、オケがあたふたって感じられました。
ピチカートから入る第2楽章。ハイドンらしい型の中での工夫炸裂の変奏曲形式。突然のfなどの仕掛けはハイドンらしい魅力がたっぷり。オーボエの温かく潤いのある音が絶品でした。
中央ヨーロッパの香りの強い踊れるメヌエット。最後の部分で踊りを混乱に陥れるあたりはハイドンらしいお茶目いっぱい。
途切れ途切れの旋律のつぎはぎの短調のトリオはハイドンらしい奇妙な曲で楽しめました。
風を切るような第4楽章。第2主題の流麗さが美しい。この楽章では速いテンポですが 安定した推進力溢れる演奏にワクワクしちゃいました。

今日は前半のオーケストラが脇役のプログラムが それは素晴らしく、後半、いつもの編成に戻った時に ちょっぴりまとまりが欠いた感になったのがちょっぴり残念でした。
そして、このようなあり得ないプログラムなのに 会場を9割方埋めた聴衆にさらに驚きました。

今日はお友達が東京文化会館でオペラ鑑賞だったので 私が文化会館まで行って待ち合わせ。上野近辺は混んでいたので 神田まで歩き『かんだやぶそば』でじゅんさいそばを食べてきました。



東京らしい控え目な量でしたが、初夏に食べる旬の味覚の冷たいお蕎麦は美味しかったです!