Noriko's Day Vol.2:ミューザ川崎シンフォニーホール | 北十字の旅と音楽会記録が中心の日記

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そして、クラシック音楽も好きなもんだから、音楽会を理由に、日本国内を旅しています。
音楽と旅を中心に、日記を書いていきます!

気持ち良い秋の風の吹く横浜から 朝イチでミューザ川崎シンフォニーホールに向かいました。今日は1日、このホールでピアノ三昧。

ホールアドバイザー・小川典子企画
Noriko's Day Vol.2

小川典子と仲間たちが贈る、ワンデー・スペシャル・イベント



に行ってきました。

まずは9時30分~
モーニング・マスタークラス
講師:小川典子(英ギルドホール音楽院教授)

受講生は3人
桐朋女子高等学校音楽科3年
洗足学園音楽大学音楽学部2年
昭和音楽大学音楽学部卒業
ひとり30分。

小川さんから 協奏曲ならではの指導をします、と最初の挨拶がありました。

一人目
🎵ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18より 第1楽章
オケがまったく聞こえない瞬間が出てくるから、指揮を見ることを習慣づける。
オケとピアノのどちらがメインかはっきりと弾きわける。pを強すぎないように。
1つひとつの段落をはっきり区別する。
等々

二人目
🎵ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調より 第1楽章
オケの音が全く聞こえない曲。オケは管楽器が旋律だから、ピアノから遠い。
冒頭のグリサンドはインテンポ!テンポの変化にオケはついていけない曲。
カデンツァ後半、下に転がるトリルは女声のビブラートと模したもの。怪奇趣味を強調すると良い!
等々

三人目
🎵ショパン:ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11より 第1楽章
ひたすら右手が旋律を弾きまくる曲。オケはそれをなぞるばかり。オケはルバートをソロに合わせなくてはならないから大変!
しかし展開部後半はオケに主役を譲るので、バランスを上手くとる必要がある。
等々

みな、最初に全楽章を弾いたので 時間が少なくて、ちょっぴり残念でした。
でも、協奏曲の弾き方のマスタークラスは 目から鱗的なお話が多く、良かったです。


続いて12時30分~

ランチタイム・ミニ・コンサート



これ以降は指定席で すべて1階8列目で楽しみました。



朗読:森田樹優
ピアノ:小川典子

🎵プロコフィエフ:「ピーターと狼」作品67

最初に小川さんと森田さんのお話があり、森田さんがアニメの様々なキャラクターの演じ(語り)分けをしたり、小川さんがそれぞれテーマを演奏して、初心者に優しいコンサート。聴衆は半数以上は小さな子ども連れ。お話ではちょっぴりぐずっていた子も 朗読と音楽が始まるや、集中して楽しんでいたのが印象的でした。
私は舞台の背景に(舞台後方を閉鎖したので)スライドなどで絵本仕立てみたいな投影が欲しいとも思いましたが、大人の聴衆からは『朗読から風景が浮かんできて良かった』との声も耳に入り、余計な映像なしもいいかな!とも。
まったく子ども限定とは思えない、充実した朗読と演奏を楽しむことができました。



お昼休憩のあと
15時30分~
小川典子さんのソロで
アフタヌーン リサイタル

🎵ドビュッシー:映像第1集
私には馴染みの薄い曲💦
ドビュッシーって 中間色って印象でしたが、硬質な澄んだ音色が綺麗でした。特に第3曲の『動き』の湿原を自由に舞う風のような一定の和の中で響きあう音が絶品でした。

🎵ラフマニノフ:練習曲集「音の絵」作品39より
第1、5、6、9曲
これも私的には馴染みの無い曲💦
豪快な鳴りっぷりに驚きました!

🎵川島素晴:ピアノのためのポリ エチュード『ノンポリ』
解説文によれば、ノンポリとは、ポリフォニーではない!と言うこと。
ショパンの14の作品を原曲のまま引用した(くっつけた)1分足らずの『曲』を、まずは調を維持して変容させた第2部分、調を変えて変容させた第3部分、最後は和声を超越させて変容させて締めるという曲。
初めて耳にしても解りやすい構成ですが、音楽自体は 変容するにつれ 現代音楽に変わっていきます。最後は『両肘』で鍵盤を叩いて終わるという、見る楽しさ百倍の曲。めちゃめちゃ盛り上がりました!

🎵ショパン:アンダンテ スピアナートと華麗な大ポロネーズ 作品22
そして本当のショパン。それも私の好きな曲。
アンダンテの部分の雪が太陽の光でキラキラ輝いているかのような美しさは、肘の音楽とは対極。ちょっとした息づかいは自然の風景の中のゆらぎの様。人工的な前の曲とのコントラストは鮮やか‼
ポロネーズも生き生きとしたリズムとクリアーな響きが素敵でした。

アンコールに
🎵エルガー:愛の挨拶
温かい優しさ溢れる演奏は会場を笑顔で包みました。


そして
18時~
イブニング ピアノデュオ

第1ピアノ:フィリップ・スミス

第2ピアノ:小川典子
このプログラムは小川さんの弾きたい曲で組んだ拘りのものと ひとことしゃべってから演奏。

最初は
🎵ルトスワフスキ:パガニーニの主題による変奏曲
パガニーニの「24のカプリース」の第24曲を そのまま2台ピアノにルトスワフスキが彼らしく編曲したもの。有名なあなメロディーが強烈な不協和音と不気味なアクセントが盛られた迫力ある顔に変貌していました。

🎵ライヒ:ピアノ フェイズ
約20分のミニマルミュージック。
1小節の繰り返し。2人が同じ音を繰り返すのですが、微妙にテンポをずらしながら 元に戻ると、次に進むという音楽。
普段はまったく聴かない音楽。しかし実演を見ながら聴くと、なかなか面白い。リズムの執拗な繰り返しは現代社会のノイズで慣れているためか、変な心地よさを感じるのが 怖いかも😱
もう1年は勘弁、って気分で終わるも、なんか一晩寝ると また耳にしたくなりそうな、そんな曲でした。
まぁ、微妙にずれていくあたりが妙に気持ち良かったのもあります。

🎵ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ
これはお気に入りの曲。原曲のバレエ公演があれば行きたくなるくらい。
ライヒのあとに聴くと、古典音楽に聴こえる。
オケの華やかさを彷彿とさせる彩り豊かな演奏。テンポはバレエというより音楽そのものにストーリーを語らせているような 速めのテンポで駆け抜けていく感じがきらびやかで 本当に素敵でした。

拍手に応えてアンコール
🎵フィトキン:T2
人工的な角張った現代音楽でぎゅっと締めました。

1日 存分に小川さんの音楽を満喫できました。これで3900円は破格!!ライヒの音楽による浮遊感から解かれた重力による疲労が今夜の睡眠を約束してくれそうです🌃