そんな中 出かけた先は
雑司谷拝鈍亭
はいどん楽遊会 その十一
今回はバリトン三重奏曲
バリトン:ライナー・ツィパーリンク
ヴィオラ:若松 夏美チェロ:鈴木 秀美
バリトンは ハイドン没後200年の2009年の秋に ハンガリーのバリトン三重奏団が来日した時、3ヶ所の演奏会を追っかけして以来。
今回は事前にプログラムの発表が2曲だけだったので、何が聴けるかもワクワクでした。
会場に入って プログラムをもらってビックリ!6曲もやるそして未発表だった4曲がすべて前半で、私の大好きな曲ばかり!逆の言い方をすれば 良く知っている曲、比較的有名な作品を集めたようで、新鮮さは減少
バリトン三重奏曲101番 ハ長調
第1楽章がアレグロと速いテンポは、バリトン三重奏曲としては 珍しく、プログラムの冒頭に置くには、いい。
バリトンは共鳴弦が豊かな倍音をつくるため、響きが柔らかく典雅な感じになります。
この曲は第3楽章が小さなフーガで、演奏しても楽しそうな作品。
ここで恒例、鈴木さんのお話
もちろん今日はバリトンのお話。
ガンバと同じなんだけど、弦の下から指板の裏に共鳴弦がある。ハイドンの仕えていた公爵が この楽器を好んで弾いたこと。等々
続いて2009年に来日したバリトン三重奏団が弾いて 大のお気に入りになった曲。
バリトン三重奏曲87番 イ短調
夕暮れの田園風景のような寂寥感がなんともいえない魅力
バリトンの音色を堪能。
続いては
バリトン三重奏曲66番 イ長調
これは私の一番好きなバリトン三重奏曲かもしれない!
第1楽章の冒頭、天からの音のような美しいバリトンのピチカート、もちろん共鳴弦のが存分に入ります。特に最初は弦を弓で弾きながら 親指で同時に弾く!親指で共鳴弦を弾くと支えが失われるから、弾く音が不安定になりそうですが、しっかりとした演奏を聴かせてくれました。その直後のピチカートの連打は 小さなホールに輝くようなキラキラ光る音を降らせました
次は
バリトン三重奏曲109番 ハ長調
この曲はバリトン三重奏曲の中で一番魅力的な旋律が入っている曲で またまた私のお気に入り。
第1楽章の第2主題の イギリス民謡に似た旋律が それもちろん ハイドンがイギリスに渡るのは宮廷の仕事から解き放たれた後年だから、まだイギリス民謡は知らないはず。
バリトンのふくよかな音色にヴィオラの芯のある音がミックスされて、温かい音楽を作っていました。
休憩をはさんで
バリトン三重奏曲96番 ロ短調
ほの暗さをもつ短調の曲を組み入れると コントラストがはっきりして いい。拝鈍亭の演奏会のプログラムは 同じ編成でも 飽きずに聴ける工夫に脱帽!ただハイドンマニア以外の方はきっと ハイドンばっかりって言うのでしょうね。
最後は
バリトン三重奏曲97番 ニ長調
ハイドンのバリトン三重奏曲の中で最も有名な曲。公爵の息子の誕生祝いのため この曲は全7楽章からできている。
この曲の中で、比較的軽くみられている第4楽章の ポロネーズ ですが、今回は繰り返しの前と後で 表情を大きく変えていたのが印象的。因みにアンコールでも この楽章を演奏しましたが その時は さらに大きなデフォルメを生かし 楽しい音楽を作っていました。
今日の演奏は速い楽章は比較的速いテンポ設定、特に97番の第2、第7楽章はちょっぴり速すぎって感じ。ゆっくりの楽章では、じっくり、存分に楽器を鳴らして、残響までをしっかり聴いて欲しいって気持ちが伝わってきました。
今日はバリトンの美し過ぎる音色に5年振りに包まれて、幸せな気分です
明日6月9日にも 名古屋、宗次ホールでお昼の13時30分からコンサートがあります!行ける方は ぜひ超おすすめです。
私はただ今新幹線