2475:【悲報】「スカーレット」、終わる | 名古屋で精進する社長の独り言

2475:【悲報】「スカーレット」、終わる

 
見ていた人にしか分からない話ですが…


土曜日にNHKの朝ドラ「スカーレット」が終わりました。




いやぁ、いいドラマだった!
朝ドラでいえばコシノ三姉妹の母を描いた「カーネーション」が最高だったけど、それと肩を並べるほどのいいドラマでした。


何がいいかといえば、まずは演者さんの演技。
戸田絵里香、松下洸平、大島優子、林遣都、伊藤健太郎、稲垣吾郎、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、本田大輔、水野美紀、三林京子、木本武宏、西川貴教、佐藤隆太などなど…。
もうね、皆さん本当にすごい演技。
主人公の戸田絵里香、松下洸平のお二人なんて、ほんの数ヶ月の撮影の中で見事に年をとっていた。メイクだけじゃなく、仕草や表情、さらにいえば加齢臭をかじるほど、すべてにおいて老いというか時間の経過を演じている。すごいと思ったなぁ。


次によかったのが制作陣の努力。
朝陽、夕陽の作り出し方。まるで芸術作品を見ているような照明の回もあった。さらには時代考証がしっかりしているので細かなところまで違和感なく、完全にその時代に入り込んで見られた。主人公が作る陶芸作品の出来もすごい。実際にモデルになった女性陶芸家の方の作品や、現在活躍中の方の作品など、出て来るどの作品も魅力的に見られた。
さらにいえば劇伴(げきばん)、つまりBGMね。重いチェロと言い、軽やかなバイオリンと言いピアノと言い、その場その場に本当にマッチした音楽が奏でられていた。サントラCD買っちゃおうかな、と思ってしまうほど。


そして何よりもよかったのが脚本。もうね、すべてに伏線張りまくり。
第一回目のお父ちゃんの「海や~!」が最終回の直子の「海や~!」につながる。琵琶湖のほとりをお父ちゃんが引いていた台車の車輪が最終回の穴窯の中の陶器のデザインになる。空襲時に喜美子が直子の手を離してしまったトラウマも、ラスト近くの直子が語る鮫島の言葉によってネガティブからポジティブに変わる。また一度手を離したからまた強く握ることが出来ると言うのは、喜美子と八郎にもつながる。最後に喜美子が武志に対しての「ぎゅ~っとしてええ?」も、子供の頃のチビ武志に同じセリフを言い、同じようにギュ~ッてして、武志が発する「おならが出る」まで同じセリフ。この人達の人生、育ち方を見てきたからこそすごさが分かる。
「意地と誇り」に関しても全編を貫いていた。チビ喜美子が発するこの一言。もちろんお父ちゃんも、八郎も、武志も、ちや子さんも、信作も照子も俊春さんも、すべての人が心の中にこの「意地と誇り」を持って日々を生きてきたと思える。
さらに最終回にして喜美子が「絶対に死なさへん」と武志に言ったことを自らのエゴだったと自省する。これもまた、穴窯を作る時に視聴者全員が感じた喜美子のエゴの回収。主人公がエゴを懺悔する朝ドラというのもすごい。最後に八郎が新しいことを始めるために長崎に行くが、それもまたフカ先生へのオマージュ。この場面も「縁側でのミカン」は、喜美子と八郎が別居するきっかっけとなったシーンであり、ここからまた信楽と長崎という二人の関係性が始まるシーンともなった。
また最終回に近づくに連れて「手」も一つのポイントだったと思う。喜美子が離した直子の「手」、草間さんからちや子への「手」、草間さんから武志への「手」、武志から大崎先生への「手」、もちろん喜美子がぎゅ~っと武志を抱きめる「手」も。振り返れば小池アンリが喜美子の作品の声を聴いたのも彼女の「手」だった。
武志が言った「いつもと変わらない一日が特別な一日」の言葉は、武志の白血病が分かってからの生活に十分に描かれていたし、最終回のストーリーもいつもどおりの生活がただ淡々と描かれていた。照ちゃんの家庭菜園照子や百合ちゃんのママさんコーラス参加など、きわめて普通、いつもどおりの日常。最終回の始まりもいつもどおりにテーマソングが流れていつもどおりに始まった。ラストシーンもいつもどおりの穴窯に取り組む喜美子の表情のストップモーション。いやぁ徹底してるよ。
お父ちゃんが病院で照子に打ち明けたことや、あかまつで武志が八郎に話した「生んでくれてありがとう」のこと、その後の草間さんとちや子の関係性などドラマとして描かれなかった場面も想像が出来た。武志亡き後の二年間の真奈に関しても、大きな悲しみの中できっと大輔、学、芽ぐみがフォローして支えているだろう。これらのことが想像できるということはそこに至るまでの一人一人の描き方に無理が無く、登場人物の普段の生活が細かいところまできちんと描かれていたということ。つまり登場人物は実際にそこに生きていたと思えるからこそ、ドラマにないところまで想像が及んだ。


数え上げればきりがないけど、とにかく本当に丁寧に考えながら作られた傑作ドラマだったと思う。


「スカーレット」は終わってしまったけれど、それぞれの登場人物達は今もまたそれぞれの場所で、いつもと変わらない特別な一日を生きて行くのだろう。


いやぁ、半年間、本当に楽しませてもらいました!
毎日の15分、実に貴い時間でした!


演者さんに礼っ!
制作陣の方々に礼っ!
信楽の街に礼っ!
そしてこんなにステキな物語を描いてくれた脚本家さんに、礼ッ!
ありがとうございましたっ!


(ドラマを見ていなかった人、長々と失礼しました。(^□^;))









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