マガーク少年探偵団〈12〉マガーク対魔女

【著者】E・W・ヒルディック
【対象年齢】小学校中学年・小学校高学年

現在も新装版が販売されており、息の長い人気シリーズです。
小学校の図書館で、このマガーク探偵団のシリーズを探せば
必ず何冊か見つかるのではないでしょうか。
少年探偵の物語というのは最近は漫画にお株を取られているようですが、
日本の児童書では新しい作品は無いのでしょうか?
ちょっとさびしい気もします。

以下は読書のポイント

【あらすじ】
マガーク率いる探偵団は、警備パトロールのアルバイトをすることを思いつき、
近所の人々に自分達を売り込もうとする。
ちょうどその頃、連続空き巣事件が町で起こっていた。
留守中の家を空き巣から守れば何よりの宣伝になると考えたマガークは、
探偵団のメンバーと共に調査を開始する。
やがて、マガークは同じ近所で起こっているゴミ箱荒らしと空き巣の因果関係にたどり着き
ついに不審な女性を見つけるのだった。

【主な登場人物】
ジャック・マガーク
探偵団のリーダー。頭の回転が速く、行動力と決断力に優れる。
赤毛とそばかすがトレードマーク。

ウイリー・サンドフスキー
のんびりやだが、誰よりも鼻がきく。いわば探偵団の科学捜査官。
基本的に無口。

ジョーイ・ロカウェイ
物語の語り手。記録係なので、ボキャブラリーが豊富。
その役割のためか、いつも冷静でマガークのサポート役として欠かせない。

ブレインズ・ベリンガム
豊富な知識を武器にする、マガークとは別のタイプの頭脳派。
ジョーイと同じく冷静なタイプだが、危機的状況にはやや弱い一面もある。

ワンダ・グリーグ
メンバーの紅一点。木登りが得意。毒舌家な一面もあり、
口げんかのときはマガークに負けないくらい頭が回る。

【名文句】
海外の小説の魅力でもありますが、このシリーズも例外ではありません。
子供向けの本とはいえ、大人が読んでもはっとするような言葉が出てきます。
本書では例えばこれです。

 ここで、言うに言われない、ずるい表情が、マガークの顔をよぎった。
 ぼくは、これを見るたびに、いつも思うのさ。
 大探偵の頭の中には、もう一つの頭が隠れちゃいるけど、
 でも、いざという時は出て来る、大犯罪者の頭が、住んでるんだなと。

なかなかにうならされる言葉です。
確かシャーロックホームズの短編「マスグレーヴ家の儀式」でも、
ホームズが失踪した執事の死の直前の行動を推測する場面がありましたね。
他にこんなのもあります。
物語終盤での犯人との会話の最中、犯人がマガークたちを変なあだ名で呼ぶ場面ですが、

 こうして、ぼくら一人一人に、特別な名前をつけてることが、
 きゅうにとても、うす気味悪くなってきたんだ。
 ぼくはどこかで、魔女は、人間を完全に自分の掌中ににぎるには、
 その人々に、特別な名前を使うと、読んだことがあるのを思い出した。

日頃から文章になれ親しみ、言葉に敏感なジョーイの独白です。
そういえばわれわれの周りにもあだ名をつけたがる人や、
「○○系」とか「××族」みたいな名称を流行らせようとするメディアがありますね。
彼らの行動の奥にある心理を想像すると少し怖いです。

というわけで、マガーク探偵団シリーズから「マガーク対魔女」を紹介いたしました。
小学生で、ちょっとボリュームのある物語を読みたいという子にオススメです。