選手が戦うもの:チコちゃんに叱られるの放送を終えて | NBAグッズ・NCAAグッズ レプリソームのブログ

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物販やそれ以外でのレプリソームの活動をアップしています。

 先ごろ、お知らせいたしました通り、チコちゃんに叱られるへ資料をご提供し、2018年11月16日(金)の「バスケットのボードは何?」放送にて採用していただきました。

放送された、当時のゴールを再現した画像のほかに、いくつかご提供させていただいた経緯からも、製作会社さんは色々と企画されていたようです。
奇しくも、2018年12月3週目の放送日、12月21日はバスケットボールの誕生日でしたが、ぜひとも第二弾のご検討をお願いしたいところです。


 放送の通り、バスケットボールという競技の創世記には、シュートを妨害するマナーの悪い観客がおり、もともとバスケットゴールのボードは、彼らから試合を守るための物でした。
そこで今回は、創世記から初期のバスケットボール選手が観客とも戦ってきた経緯と、筆者の経験をまじえながら、バスケットボールを始めた人が、選手として戦うもの、についてお話しできればと思います。


 今もそうかも知れませんが、初心者としてバスケットボールを始めると、まず、シュート→パス→ドリブルの優先順位で、ほぼ同時進行で覚えました。
初心者として参加していても、シュートさえできれば試合でも役に立てて、シュートは自分の判断で完結していいプレーだからです(パスは技術があってもタイミングを間違えるとミスにつながり、ドリブルはポジションごとで必要性が異なるため)。

いずれも練習は地道なもので、その他に、走力、腕力、ヒザや腰を鍛えたりと、まずバスケットボール向きの体づくりをしなくてはならず、これはどのスポーツも同じですが、自分との戦い、があります。

一通り技術が身につくと、今度はコートに出るために、チームメイトや監督から信頼を勝ち取らなければならず、ある意味、これも戦うことになるかも知れません
自分と同じポジションにライバルとなるチームメイトがいたら、なおさらです。


 そしてコートに出ると、相手チームと戦うのはもちろんですが、審判とも戦うことになる場合もあります。
特に、

 どの程度までの接触がフィジカルコンタクトで、どこからがファールなのかの線引き。
 自分の目には見えていたが、審判の目にはふれずに流されたファールや反則。
 自分は好ディフェンスと思っていたのに、ファールコールされた。

などについて、審判に抗議・質問することで彼らとも戦い、同時に、どのくらい言っていいのか、どこまで感情的になっていいのかなど、またここでも自分との戦いや葛藤が生じます


 更に、選手の戦いは、以上のコートの中だけにとどまらず、ひと昔前の選手たちは、コート外の物とも戦うことになります。
それが観客でした。


● ギャラリー

 創世記の試合において、観客がゴールを設置しているバルコニーから手を伸ばしてシュートを妨害したことは番組の通りで、その他、選手の足を火のついたタバコや婦人用帽子のピンで刺したり、炭鉱用のランプで熱したクギや錨を、レフリーやフリースローをする相手チームの選手に向けて投げ入れるということもありました(NBAエンサイクロペディア 第3版 P10~P51より)。


● ホームコートアドバンテージ?

 現代のファンはホームのチームには優しく、アウェイチームやホームチームに不利な判定に厳しいのが一般的ですが、当時は、ホームチームの選手であっても、不甲斐ない結果に終わった選手には非常に厳しく、選手がファンに公然と襲われることも少なくなかった、と言われています。
わかりやすい例をご紹介します。



【Lakers Story】
Lakers Story P232-P233 高岩ヨシヒロ 集英社より

 


昔の観客に比べると、チームや選手の出来に対して共に喜び悲しむ現代の観客は、いかに善良になったかがわかります。


● 設備とケイジャー

 筆者の記憶の限りでは、日本でバスケットボール選手のことを、しばしばケイジャーと呼んでいたのは、90年代半ば頃で、その言葉が多く登場し知ったきっかけとなったのは、マンガ・ハーレムビートでした。

 

 

 


【Harlem Beat】
同17巻 西山優里子 講談社

 


なぜ、バスケットボール選手のことをケイジャーと呼ぶのかというと、上記の観客からの妨害や、それに腹を立てた選手によるケンカなど、混乱から試合を守るため、コートを囲むように金属製のケイジ(cage)がつけられることとなります。
このケイジの中でプレーする様子から、バスケットボールをする人をケイジャー(cager)と呼ぶ習慣ができました。

 

 

 

 

 


このケージのおかげで選手達は試合に集中できることになったものの、金網でできたケージの鉄線は弾みやすく、プレー中、しばしば選手に接触し、結果、コート床が血だらけになることも珍しくなかったそうです。
以後、ロープでできたケージに変わりました(上の画像)。

また、試合後に社交ダンスが行なわれた当時の習慣から、厚くワックスがかけられた床で、選手達は足をとられたともあり、選手は設備とまで戦わなくてはいけなかったようです。

ユナイテッドセンターの照明の角度、ボードのトングの長さ、盛り上げるための花火による灰など、マイケル・ジョーダン選手はホームアリーナを好まなかった(マイケル・ジョーダン偉大なる復活 P182-P184 サム・スミス 著 森下 賢一 訳 徳間書店)とありますが、これも一例と言っていいのかも知れません。