かさついた樹皮のような肌にうずもれて、血走った目がこちらを睨んでいる。
女の瞳はどろりと濁っていた。この世のあらゆる汚い光景を吸収して、混ぜ合わせればこういう灰色になるのだろう。
樹化してしまったような顔の中で、唯一生気を帯びている目が、私をえぐるように見てくる。
思わず唾を飲み下して、震える手でガラスに触れた。向こう側の女もまた震えていた。
鏡よ、世界で一番美しいのは誰?
熊の寝床から響いてくるようなくぐもった声が、女のすぼんだ口からこぼれる。
ぎゅっと目を閉じた。濃く揺らいでいるこの闇を抜け出したとき、鏡は答えを映すのだ。
開く。光が少しずつ世界に溢れはじめる。鏡の向こうにいるのは――あの女だ。私の影法師。
良かったね、あんたは美しい。言えば、何故だろう、女の顔に嫉妬の色が浮かんで、歪んだ。
* * *
『白ゆき姫殺人事件』観たいな、でも観に行く人がいないな、一人は辛いな。
というところが発端な十行小説です。
一応、モチーフは白雪姫の魔法の鏡……
いや、それにしても面白くないなこれ。
ストーリーもオチもない近年稀に見る駄作だけど、熱意だけはあるから許して。
最近、小説の態をなしていなくても、とにかく文章の類が書きたくて仕方ない。
まあ、なんだこれ? っていう話だから収拾つけておかなきゃね。
老婆の話です。
普通の鏡を、さも魔法の鏡のように信じこんでいる醜い女。
自分を光とするならば、鏡に映っている自分は影。
向こう側に映っている醜い女は私ではない、つまりあの女は影、私の影法師。
最も美しいのは誰? そう問うたとき、もちろん目の前に映るのは「影」。
普通の鏡なのだから、自分が映るのは当たり前のこと。
だけど女は、最も美しいのは「影」なのだと信じる。
女は「影」を褒める。内心では影を妬みながら。
すると影も嫉妬の色を浮かべている、これはどういうことだ?
まあ普通の鏡だからね、って話……なんだけど、
何だこれ面白くない! 納得がいかない!
うむむ。近いうちに「白雪姫」でリベンジするかなぁ。