再会からの、事のあらましをアキが説明している。
私の知らない事実もいくつかあった。
ある程度の兵の配置、そこから推測出来る敵の総数。
衝撃的だったのは、叔父様の話だった。
お兄様が、敵方に寝返ったと言うのだ、しかも叔父様の長子、私の従兄弟にあたるマルコを伴って。

~☆~


麦の国3000の兵を迎え撃つべく、王弟騎士団は1300の傭兵と200の自国兵士を揃えた。
堅固な砦と、銀の盾マウリッツ将軍指揮と言う事もあり、まず簡単に落ちまいと言う空気が全軍に広がっていたのは事実だった。
しかし結果は、半日での敗走、まともに剣を交えることすら行えていなかった。
信頼すべき息子と甥であり王太子の反逆。
さすがの銀の盾も、両腕が腐っていては、物の役にはたたなかった。
それでも並の将ではない、大混乱をきたす砦を傭兵以外の兵200のみとはいえ、八割を脱出させ、さらにそのうちの七割を強行軍に成功させている。
また彼が凡庸さの遥か地平に存在している事を証明しているのが、脱落者や馬を潰した者に軽騎兵を一名つけ、偵察兵として運用している事である。
その甲斐あって麦の国の本隊と、時間にして一日半を稼ぎ出す事に成功していた。

~☆~

全く今日は最悪の日だ。
城を落とされ、父王は安否不明、兄は国を裏切り、敵国はもうすぐそこまで来ている。
「じゃあリッツ叔父さん、先ずは今僕らが為すべきこと、大局としては外敵を追い払うことして、目前の戦術的な目標を決めよう」
どこかかなしそうに、アキが口火を切る。
「一応の第一目標は兄王救出、次にマインホフ大王の王冠か」
おかしい、一応ってどういうこと?王冠が必要だなんてそれは・・・
悲しい瞳を、私からそらさずに言葉を紡ぐアキ
「王様は、何処かに隠れてくれていればいいけれど、既につかまっていることも考えられる、そしてその場合」
アキの言葉を遮る様に叔父様が話をつなぐ。
「辛い話をさせてわるかった。アキありがとう、これはワシが話すべきことだ。兄上の命はもはや風前の灯火。今後のことを考えれば、同盟国に匿ってもらい復讐戦を目指すべきなのかもしれん。」
叔父様は、ちょび髭をいじりながら続ける。
「ワシはすでに王位継承権を放棄しているが、ウィルへルミナお前と、裏切者のお前の兄フリーゾはちがう。他国にいくと否応なく継承権を持つ身というのを利用される。その時必要に成るのが、継承権の物的根拠としての大王の王冠なのだよ」
それは、私に兄様と継承権を争えということなの?
「そういうことになるな、だがお前自身フリーゾなどに王権を振りかざさせたくは、あるまい?」
唐突すぎるなにもかもが、ついさっきまで昼のチーズ料理の出来のことを云々言ってたのが嘘のようだった。







マウリッツ・ファン・オラニエ=ナッサウ。
それが、身長2メートルを超えるマッチョで、ちょびひげを蓄えた、私の叔父様であり、風車の国随一の宿将だ。
でもなぜ?叔父様は、麦の国に敗れてしまったのではなかったの?
「そう簡単にわしを亡き者にせんでくれ。確かに奇計を仕掛けられ、敗走を余儀無くさせられが、そう簡単にはくたばらんよ」
叔父様は、珍しく歯切れが悪い。
「それに、兄上に謝罪と報告をせねば、死んでも死にきれなん」
こんな状況になったのは、何も叔父様のせいではないわ。
「それさ、その状況だ。一体王都で何が起こっているんだ?」
それは、麦の国が宣戦布告してきて、折角の午後が台無しになって、夜中に突然兵隊に襲われて、気が付いたら、町ハズレの祠にいて、また兵隊に襲われそうに成ったんだけど、アキが助けてくれて、一緒に逃げてきたの。
「おいおい、要領を得んなぁ」
わたしだって大混乱なんだから、仕方ないじゃない。
「すまんすまん」
「リッツ叔父さん、僕がわかる範囲で説明します。」
今まで、無言を通していたアキが、会話に入ってくる。
突然人の悪い顔になった叔父様が続けて何かを話そうとしている。
あ、う、でもでも何を話すの?あわわわわ
「それよりも、アキ坊お前が、本物のアキ坊だったとして、遠い故郷にかえったんじゃなかったのか?お前と二度と会えないかもしれないって、そりゃこのお姫様は大変だったんだからな」
ひと呼吸置いて、ちょび髭を弄りながらアキを品定めするかの様に見て
「アキ坊、俺との約束覚えてるか?」
少し考えながら、アキは応え
「戦いに負けても泣かない強い心をもつ!だっけ?」
「合格だ!」
叔父様は、満面の笑みでアキをたかだかと抱き上げ、そのまま方に載せてしまった。
「大きくなったがまだまだ小さいなあ!」ガハハと大笑いをしている。
「あ!あともう一個あった!ニナちゃんをずっと守って、お嫁さんにもらうんだったね。ニナちゃんに、何度も約束のおまじないやら、契約書やら書かされたからね」
素晴らしい笑顔で、とんでもないことを暴露し始めた。
「それで、こやつめ縁談を片っ端から破談に成る様にし向けてきていたか」
ダメだ、あいつら殺してあたしも死ぬ!
「なに?死ぬほど愛していたと?あついのう、青春じゃのう」
アキは否定もせずニコニコと、若干わざと照れている様に見える。
「ニナちゃんからかうのは、そろそろやめて本題です。」
コロスゼッタイ!
「でもほとんど嘘ついてないから安心して♫」
アキってこんなに性格悪かったかしら?今後の事を考えなくちゃ・・・って何よ!今後って、なに舞い上がってるの?うわーダメだ。
「リッツ叔父さん、確認なんですが前線部隊はほぼ戦わずに敗走、それも裏切り、寝返りによる混乱でなにがなにだかわからない間に」
叔父様は、軽く驚きながら
「何か知っているのか?白の後光」
「いぢめないでください。さっきの宣言は本当の本気なんですから」
なにの話をしている?
「お前はすでに」
叔父様の声を遮って
「その上で言っています。僕は、一人っ子だからワガママなんです。だからすべてが欲しいし、僕の周りは皆シアワセにするって決めたんです!」
意味は、わからないけど、アキかなりめちゃくちゃ言ってる様な、しかも私も他人事じゃないような。
「どちらにせよ、僕らのさしあたっての目標は、夜中に呼ばれてもいないのにパーティーにやって来た、無作法者にお帰り頂くことでしょ」
渋々の程で、歯切れ悪く
「そこまで言うからには、何か策があるのか?」
「はい、マウリッツ将軍。欠けるものはあるでしょうが、無作法者を追い返す所までは、疑いなく可能です」
いきなり改まるアキに渋面で
「もうリッツで良い。今さらアキ坊を疑っても仕方ないし、ワシは、こう言うのが苦手なんじゃよ。痛くも無い腹を探り合うのはやめだ。」
「では、まず現状の確認から行いましょう」





最近暖かくなってきて、のあさんがあちこちで寝る様になりました。
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陰干しから取り込んだクッション

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布団に入ってましたw











 -しゃらん、しゃらん、しゃんしゃらん

 -しゃらん、しゃらん、しゃんしゃらん

 神楽鈴の清浄な音が、静かに響いている。

 上を見上げると梅雨の中日か白い雲、背後には断崖絶壁と、目前に広がる大海原。

 ここは四国、高松のとある小高い丘の上。

 吹き寄せる風が生暖かく、肌にまとわり付いてきてはべとべととしているようで気持ちが悪い。

 はたして俺たちの行く手に、永劫とも追われる時とともに風化し、壊れたのであろう木製の門がある。

 ここが、今回の厄介ごとの境界線であり分水嶺。


 -しゃらん、しゃらん、しゃんしゃらん

 -しゃらん、しゃらん、しゃんしゃらん

 独特の節を刻みながら、鈴の音が響いている。

 まったくどうして俺は、こんなことをしているんだ。

「コウイチさま、何をやっていらっしゃるの?早く参りましょう!」
 一回りは年下の少女にうながされる。
 もはや戦後では無い、と囁かれ始めたご時世に、白い小袖に、緋色の袴、腰まで届こうかと言う黒髪を、絵元結と水引を組み合わせ結わえている。

 パッとはしないが、よく見ると瞳が大きく、黒眼がちで、十人に問えば三人くらいは「かわいい」と言うくらいには容姿が整った少女だった。
 いつの間に用意していたのか、さっさと壊れた門扉に注連縄を飾り、門扉に榊を飾り付けていた。

 
「セツナ・・・、そんなに急いては事をしそんじるだけだよ」
 俺にしては控え目な忠告もなんのその
「いえダメです!カヲル様の佳い人の安否が計れません。少しでも早く参らねば!」
 俺と恋仲である、歩き巫女セツナは熱弁する。
 カヲルとは、俺たちのすぐ後ろを俯き加減について来る女性で、こちらは真っ黒なワンピースを着こなし、その肌の白さを際立たせており、素材のよさがシンプルな衣装により彼女自身の美しさを際立たせており、このまま銀座の町をふらりと散策してもまったく違和感が無いほどであった。

 残念ながら俺は、銀座などには言ったことも無いから創造でしかないのだが・・・。

 どちらにせよ、絶世と称しても良いくらいの美女であった。
 今俺がこの、廃屋で人命救助に勤しんで居るのも、詰まるところはカヲル女史が、たまたま通りかかった歩き巫女であるところのセツナに助けを求め、セツナが快諾、否応なく護衛役であるところの俺まで巻き込まれたわけだ。

 カヲル女史曰く、主人筋の奉公先で謀反の企てがあり、それを公にしようとした許婚が囚われてしまった。
 地域の役所に問い合わせたが、まともに取り合ってくれず、一刻も早く救出、謀反の企てをお上に知らせねばならないとのことだった。

 なんとも屋敷と一緒で時代掛かった依頼内容である、100年以上前の武家社会ならいざ知らず、科学の発達するこの近代において、謀反とはまた・・・。

 依頼とはいえ、きちんとした報酬はあるのだろうか、そしてどこまでセツナはわかっているのか。


 はたして日は沈み始め、いま正に逢魔時である。

 これまでただの寂れ切っただけの廃屋に瘴気が立ち込め始める。

 酉の刻、暮れ六、逢魔時または大禍時といわれるだけあるということだろうか、わかりやすくいえば夕方六時。

 昼と夜の境界、現世(うつしよ)と常世(とこよ)の狭間、神域へと繋がる端境。

 魑魅魍魎、百鬼夜行共が本領発揮する時分。

 -しゃらん、しゃらん

 -しゃらん、しゃらん

 神楽鈴の清浄な音が、魔を退け淀んだ空気をきよめたまう。

 ふわり、はらりとセツナが玉ぐしを振ると、魑魅魍魎たちをはらいたもう。

 彼女が神楽舞い、この場を祓い清めている。


 そうやって有象無象の気配はすれど、何者かが危害を加えてくるでもなく、じきに古びた巨大日本家屋にたどり着く。

 敷地の入り口にあった門と同様に、扉や窓枠は壊れ、屋根は一部崩れ落ち、長い年月放置されていたことが伺われるほどに朽ちている。

 そして今までにないほどの瘴気、威圧感を伴って俺たちに重圧をかけてくる。

 これ以上は危険だ、この中には入れないと視線だけでセツナに訴えると

 強い意志に満ちた瞳を、セツナが俺に向けてはっきりと宣言する。

「大祓詞を行います。コウイチさま、申し訳ありませんが、その間の守護をお願いできますか?」


 否などあろうはずも無い、全身を神気だたせ背に背負ってきた神剣・菖蒲をゆっくりと抜き放つ。

 セツナは、榊と注連縄で簡易の祭壇を設け、巫女装束の上にさらに千早を羽織り、両の手には神楽鈴を持つ。


 -しゃらん、しゃらん

 -しゃらん、しゃらん

 セツナが祝詞を奏上しながら神楽舞う。

 足を踏み出すその動作に、静かに大地が震え、一瞬で周囲の空気が神気がかる


みなづきのつごもりのおおはらへ


 神楽鈴の音色に、場の空気が清らかに鳴動していく。


うごなはりはべるみこたち おほきみたち まへつぎみたち もものつかさのひとども もろもろききたまへよと のたまふ


 凛とした視線の行く手は、家屋の中央。


すめらがみかどにつかへまつる ひれかくるとものを たすきかくるとものを ゆぎおふともをの たちはくとものを


 翻る装束の裾が空気を切り裂き、続いて響く鈴の清らかな音。


とものをのやそとものををはじめて つかさづかさにつかへまつるひとどもの あやまちおかしけむくさぐさのつみを


 流れる見事な黝い髪が艶やかに光り輝き、神々しさをいや増していく。


ことしみなづきのつごもりのおおはらへに はらいたまひきよめたまふことを もろもろききたまへよと のたまふ


 神楽舞の所作一つ一つに宿る意味を正確に、力強く再現していく。


たかまのはらにかむづまります すめむつかみろぎかむろみのみこともちて


 祝詞と神楽舞が続く中、 突如家屋が轟音とともに中ほどから崩壊していく。

 そんな中セツナは、祝詞と神楽舞を一心不乱に続けている。


やほよろづのかみたちを かむつどへにつどへたまひ かむはかりにかはりたまひて あがすめみまのみことは


 もうもうと立ち上る土煙の中に黒く大きな影が見え始める。


とよあしはらのみづほのくにを やすくにとたひらけくしろしめせとことよさしまつりき



 ここからは、俺の出番のようだ。

 土煙が晴れ、巨大な蜘蛛が中央に見える。


かくよさしまつりしくぬちに あらぶるかみたちをば かむとはしにとはしたまひ かむはらひにはらひて

 いよいよ祝詞も進み、セツナに天宇受賣が神懸る。

 八百万の神々が集いしたもうこの神域。

 天津麻羅が神剣・菖蒲に息吹を吹き込む。

 菖蒲を一薙ぎすると、蜘蛛の左半身が吹き飛ぶ。

 いつも以上の威力に、セツナの思いの強さが伺われる。

 

こととひしいはね こだち くさのかきはをもことやめて 


 大蜘蛛が口から糸を吐き出す。

 今度は伊斯許理度売命が加勢する。

 大蜘蛛の糸が、俺に届こうとする刹那まばゆい琥珀色の光に包まれすべての糸が霧散する。


あまのいはくらはなち あまのやへぐもをいつのちわきにちわきて あまくだしよさしまつりき

 

 いよいよ天手力雄神の存在を隣に感じる。

 俺は大きく跳躍し、大蜘蛛の頭頂部に神剣・菖蒲を突き立てる。

 苦悶にのたうつ大蜘蛛に、振り落とされまいと菖蒲をにしがみ付く。

 セツナの祝詞が進む


ことしみなづきのつごもりのひの ゆふひのくだちのおおはらへに

はらひたまひきよめたまふことを もろもろききたまへよとのたまふ

よくにのうらべども おおかわぢにもちまかりいでて はらへやれとのる


 -しゃらん、しゃらん



 -しゃらん、しゃらん

 神剣・菖蒲の輝きが増し、神楽舞が終わる。

 大蜘蛛が黒い霞のように霧散し、俺は菖蒲を突き立てた姿勢のまま地面に降り立つ。

 菖蒲の切っ先には小さな蜘蛛と、古い書状が刺さっていた。


 周囲の瘴気も、神懸った空気も消え去り、後には六月の蒸し暑い宵闇が広がっていた。

 あとに残されたのは、俺とセツナと、剣に突き立った書状だけ。


「カヲルさまは、思いを果たされました」

 そうか、無事に逝ったか。

 このときの書状と後の調査で、大まかなあらましがわかった。


 江戸中期に取り潰しになった、国家老の屋敷跡だったようだ。

 この国家老が藩ののっとりを画策し、腹心であったカヲルの婚約者が意を決して、藩に直訴状を出そうとしていたようだ。

 藩主に直訴状を出そうとすれば、国家老に察知されると一計を案じ、婚約者であるカヲルに書状を出すようにしたのだが、国家老に見破られ監禁、苛烈な責めの末獄中死を遂げたようだ。

 この後、カヲルも国家老に捕らえられ責め殺されるが、その最中この国家老のお家に不幸が次々と襲い終え胃が取り潰しとなってしまった。

 おそらく、カヲルの死を契機に婚約者がもののけに変異し、国家老を取り殺したのであろう。

 その呪いが残り続け、カヲルが婚約者を救いたいと一心に願い、それをセツナが拾い上げたのであろうということ。

 果たしてセツナはすべて見通して引き受けていたのだろうか、気になってそれとなく、たずねてみると。

「さあ、わたくしは皆様をお救いしたいだけですから」

 と煙に巻かれてしまう。

 普段はのほほんとして、抜けている娘なのにこういうときは妙に妖艶としているから始末に終えない。

「コウイチさま、行きましょう。豊後の国の食はたいそうご馳走と聞きますよ」

 小走りに駆け出すセツナをゆっくりとおいかける。

 俺とセツナの旅はまだまだ続きそうだ。

 

おわり






なんか、文章が消えてた。
なんでだろ?なので、かきなおしました!

天の岩戸本体は御神体なので撮影不た。天安河原、神様たちが集まって対策会議開いたところです!
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よくみると、やたらと石が積み上げてあって怖かった
いや朝靄にぼんやりする中に、正に無数に積み上げてあって賽の河原見たいで・・本来石を積み上げるのは、功徳なんだから、怖がる事は無いはずなんだけどね。
まぁ神域は、非日常との境界、似たようなものといえばそうなんですが。
真相は、ここで石を積み上げたら、願いが叶うとか、で無数に観光客が積むわ積むわw
立ち入り禁止もなんのその、そんなところにどうやって?みたいなものばかり、数もべらぼうなので、異常な光景になり。
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げに恐ろしきは、人の欲望の為せる業でした。
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