再会からの、事のあらましをアキが説明している。
私の知らない事実もいくつかあった。
ある程度の兵の配置、そこから推測出来る敵の総数。
衝撃的だったのは、叔父様の話だった。
お兄様が、敵方に寝返ったと言うのだ、しかも叔父様の長子、私の従兄弟にあたるマルコを伴って。

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麦の国3000の兵を迎え撃つべく、王弟騎士団は1300の傭兵と200の自国兵士を揃えた。
堅固な砦と、銀の盾マウリッツ将軍指揮と言う事もあり、まず簡単に落ちまいと言う空気が全軍に広がっていたのは事実だった。
しかし結果は、半日での敗走、まともに剣を交えることすら行えていなかった。
信頼すべき息子と甥であり王太子の反逆。
さすがの銀の盾も、両腕が腐っていては、物の役にはたたなかった。
それでも並の将ではない、大混乱をきたす砦を傭兵以外の兵200のみとはいえ、八割を脱出させ、さらにそのうちの七割を強行軍に成功させている。
また彼が凡庸さの遥か地平に存在している事を証明しているのが、脱落者や馬を潰した者に軽騎兵を一名つけ、偵察兵として運用している事である。
その甲斐あって麦の国の本隊と、時間にして一日半を稼ぎ出す事に成功していた。

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全く今日は最悪の日だ。
城を落とされ、父王は安否不明、兄は国を裏切り、敵国はもうすぐそこまで来ている。
「じゃあリッツ叔父さん、先ずは今僕らが為すべきこと、大局としては外敵を追い払うことして、目前の戦術的な目標を決めよう」
どこかかなしそうに、アキが口火を切る。
「一応の第一目標は兄王救出、次にマインホフ大王の王冠か」
おかしい、一応ってどういうこと?王冠が必要だなんてそれは・・・
悲しい瞳を、私からそらさずに言葉を紡ぐアキ
「王様は、何処かに隠れてくれていればいいけれど、既につかまっていることも考えられる、そしてその場合」
アキの言葉を遮る様に叔父様が話をつなぐ。
「辛い話をさせてわるかった。アキありがとう、これはワシが話すべきことだ。兄上の命はもはや風前の灯火。今後のことを考えれば、同盟国に匿ってもらい復讐戦を目指すべきなのかもしれん。」
叔父様は、ちょび髭をいじりながら続ける。
「ワシはすでに王位継承権を放棄しているが、ウィルへルミナお前と、裏切者のお前の兄フリーゾはちがう。他国にいくと否応なく継承権を持つ身というのを利用される。その時必要に成るのが、継承権の物的根拠としての大王の王冠なのだよ」
それは、私に兄様と継承権を争えということなの?
「そういうことになるな、だがお前自身フリーゾなどに王権を振りかざさせたくは、あるまい?」
唐突すぎるなにもかもが、ついさっきまで昼のチーズ料理の出来のことを云々言ってたのが嘘のようだった。