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Chandler@Berlin

ベルリン在住

ある水曜日のパーティにて次のような会話があった.

「..というパーティででその女性に出会ったんだ.彼女は仕事を探していて..」
「それでその彼女はどんなタイプ? かわいい系? Positive? 背は高いの?」
「Positive だね」
「Positive な女性はいいねえ.」

同パーティの他の会話:

「..という条件でこの行列がでてきた.画像の場合には..」
「それでその行列はどんなタイプ? Symmetric? Positive definite? どの位のサイズ?」
「Positive definite」
「Positive definite 行列はいいねえ.」

このように私の友人には正値二次形式 (positive definite quadratic form)の行列が好きな人が幾人もいる.この正値二次形式の transpose を考えるとちょっと面白いことがあるのだが,それは別の機会に話すことができればと思う.今回は transpose についての話をしよう.

私の知人が「Matrix の乗算の転置(transpose) の謎--何故 (AB)^T = B^T か」 という話を書いている.ところで,blog には数式を書くのが面倒という問題がある.「Matrix の乗算の転置(transpose) の謎」をここにコピーする許可をもらったのだが,画像と文字の組合せにするのも面倒であるし,画像として置くのも野暮ったいので,リンクを張ることにする. 

以下はその概要である.

行列の乗算の転置は

Chandler@Berlin-(AB)^T=B^T A^T
Eq{1}

である.もちろん,これが定義と言われればそれまでだが,ここではなぜこうなのかを考察する.まずは行列の特殊形である Vector を考えよう.行列よりも Vector の方が単純だからである.Vector の内積の転置から

Chandler@Berlin-[u^t v]^t = v^t u
Eq{2}

が自然な定義と見えてくることを示す.これは Farin と Hansford の本の説明がわかりやすく,それに多少の補足を加えた[1].

また,行列を変換という視点から見直せば,行列の乗算は内積を含むことがわかる.この話は杉原の本に詳しいのでおすすめである[2].

これらと Vector が Matrix の特殊形であることから,Eq 1 の理由を理解することができるだろう.



参考文献

[1] Gerald Farin and Dianne Hansford, Practical Linear Algebra; A Geometry Toolbox, A K Peters, Ltd., 2005, ISBN: 1-56881-234-5

[2] 杉原厚吉, グラフィックスの数理,共立出版, 1995, ISBN: 4-320-02663-2 C3341

Reflection lines はチューブ状の光源を面上に投影して,面の質を見るためのものです.かつて車のデザイナは,蛍光灯を平行に並べ,車のボディーに写った蛍光灯の形状を見てボティーの滑らかさを調べました.

なにやら難しいことを言いましたが,これはドイツでは良く見掛ける風景です.

これは Berlin 中央駅です.この建物はガラス張りで,フレームが規則的に並んでいます.蛍光灯が並んでいるわけではないのですが,規則正しい格子が参照となれば良いので,鏡面反射をする物体があれば,Reflection line が見えます.

Chandler@Berlin




ドイツの誇る高速列車,ICE の窓に写ったフレームを見て下さい.窓によって面の質が違うことがわかるでしょう.また,窓は平面に近いのでしょうが,窓と窓の継ぎ目は滑らかでないことが一目瞭然です.
Chandler@Berlin
Chandler@Berlin


この説明のスライド


参考文献

[1] Mario Botsch, Mark Pauly, Leif Kobbelt, Pierre Alliez, Bruno L'evy, Stephan Bischo, Christian Roeossl, ``Geometric Modeling based on Polygonal Meshes,'' EG2008 Tutorial, 2008

[2] Takashi Kanai, Yusuke Yasui, ``High-quality Display of Subdivision Surfaces on GPU,'' IPSJ 47(2), pp.647-655, 2006 [in Japanese]

自然対数の底 e は数学のほぼあらゆる場所に表われる.数学だけでなく科学のほとんどあらゆる分野でも重要である.私がドイツに来た時には,10 DM の札にも使われていた.10 DM はガウスの肖像がある.札に normal distribution の図が入っているのを見て,ドイツの科学のレベルが高い理由の一端を見た気がしたものであった.子供が小遣いをもらって,この図は何かと尋ねた時に,母親がガウスとは誰か,そして normal distribution とは何か,という説明をするのだろう,と想像した.この想像がどこまで当たっているのかはわからない.ユーロになってからはガウスがいなくなった.ユーロにはユーロのコンセプトがあるが,しかしガウスの肖像を見ないのは寂しいものである.

数学と科学の基礎を成す代表的な超越数は e と π である.π がどうやって定義されているのかは良く知られている(円周/直径)が,e の定義がなぜこうなのかは教科書にはなかった.後に知りたくなって探したが,かなり後までみつけることができなかった.

今回これに関して述べているスライド をみつけたので,著者の許可を得てここに掲載する.