「..というパーティででその女性に出会ったんだ.彼女は仕事を探していて..」
「それでその彼女はどんなタイプ? かわいい系? Positive? 背は高いの?」
「Positive だね」
「Positive な女性はいいねえ.」
同パーティの他の会話:
「..という条件でこの行列がでてきた.画像の場合には..」
「それでその行列はどんなタイプ? Symmetric? Positive definite? どの位のサイズ?」
「Positive definite」
「Positive definite 行列はいいねえ.」
このように私の友人には正値二次形式 (positive definite quadratic form)の行列が好きな人が幾人もいる.この正値二次形式の transpose を考えるとちょっと面白いことがあるのだが,それは別の機会に話すことができればと思う.今回は transpose についての話をしよう.
私の知人が「Matrix の乗算の転置(transpose) の謎--何故 (AB)^T = B^T か」 という話を書いている.ところで,blog には数式を書くのが面倒という問題がある.「Matrix の乗算の転置(transpose) の謎」をここにコピーする許可をもらったのだが,画像と文字の組合せにするのも面倒であるし,画像として置くのも野暮ったいので,リンクを張ることにする.
以下はその概要である.
Eq{1}
である.もちろん,これが定義と言われればそれまでだが,ここではなぜこうなのかを考察する.まずは行列の特殊形である Vector を考えよう.行列よりも Vector の方が単純だからである.Vector の内積の転置から
![Chandler@Berlin-[u^t v]^t = v^t u](https://stat.ameba.jp/user_images/20090517/04/renderrender/f9/db/p/t02200071_0630020410182035086.png?caw=800)
Eq{2}
が自然な定義と見えてくることを示す.これは Farin と Hansford の本の説明がわかりやすく,それに多少の補足を加えた[1].
また,行列を変換という視点から見直せば,行列の乗算は内積を含むことがわかる.この話は杉原の本に詳しいのでおすすめである[2].
これらと Vector が Matrix の特殊形であることから,Eq 1 の理由を理解することができるだろう.
参考文献
[1] Gerald Farin and Dianne Hansford, Practical Linear Algebra; A Geometry Toolbox, A K Peters, Ltd., 2005, ISBN: 1-56881-234-5
[2] 杉原厚吉, グラフィックスの数理,共立出版, 1995, ISBN: 4-320-02663-2 C3341