6σ の女性(2) | Chandler@Berlin

Chandler@Berlin

ベルリン在住

給料の平均と分散

まずは分散の話になってしまって,話がちょっと前後してしまったが,平均についても話をしておこう.

ある会社 A の給料の平均が,月に 255 万円と聞くと入社したくなるかもしれない.しかし,この会社は現在社長一人に社員一人の会社で,社長が給料 500 万円,そして社員の給料は 10 万円で,平均して 255 万円なのである.このような場合,平均というのはどうも怪しい.また,会社 B も同じく2人の社員であるが,社長の給料は月 300 万円,社員の給料は 210 万円である.

会社A
社長の給料500万円
社員の給料10万円
平均 255 万円

会社B
社長の給料300万円
社員の給料210万円
平均 255 万円


これらの会社の平均月給は同じである.私が社員として入社する場合には,会社B の方が良いのだが,もし,平均の月給しか教えてもらえない場合にはこれらの会社の区別はつかない.これは困ったぞ!

そこで,統計では平均からの差の二乗平均も考える.これは平均からどれだけ離れているかをシーソーに載せて考えたようなものである.この値が小さいということは皆が平均近くにいるということである.そうすると平均というものがより信頼できそうだ.皆が平均より遠い場合には会社 A みたいなことが起きているに違いない.まあ,詳しい式は Google で「分散」とか「標準偏差」探してみるといいだろう.標準偏差を計算してみると,以下の表のようになる.


会社A
社長の給料500万円
社員の給料10万円
平均 255 万円
標準偏差 273.9

会社B
社長の給料300万円
社員の給料210万円
平均 255 万円
標準偏差 31.8


二つの会社の平均は同じだが,B の会社の方がばらつきが少ないので,標準偏差は少ない値になった.平均ではわからなかった差が見えた.これが分散や標準偏差が統計で使われている理由である.σ とは統計で,慣習的に標準偏差を示す文字である.

さて,平均というのは結構ごまかしができることはわかったかもしれない.もちろん平均は重要である.偏差値というのは平均とは違う性質を示す値であり,これらを上手く使うと便利である.