6σ の女性(1) | Chandler@Berlin

Chandler@Berlin

ベルリン在住

行列式についての話を続けるつもりでしたが,ちょっと寄り道して6σの話をしようと思います.

次の質問からはじめよう

あなたは 6σ の人に会ったことはあるだろうか?

6σとは

Saarbruecken に住んでいた時に,とても大きな女性がレジの係をしていた.嘘だとは思うのだが,話によると彼女は仕事で一息つこうとしたら,巨体がレジの椅子につまって出られなくなったという話である.そういう人を日本でみつけようとするとなかなか難しい.日本人の身長の分布の広がりは,ドイツよりも狭い気がするし,アメリカはとても分布が広い気がする.つまりアメリカでは太っている人はとてつもなく太っている気がする.それに比較すれば,日本人は平均に近い人が多いのではないだろうか.

統計では平均というのは大事だが,同時にこのようにどれだけ様々な人がいるかということも重要である.数学ではこのようなものを分散(σ^2),あるいはその平方根をとって,標準偏差(σ)と言う.分散,あるいは標準偏差によって標準からどれだけ離れた人がいるかということを示すことができる.アメリカ人の体重の標準偏差は多分,日本人の体重の標準偏差より大きいだろう.

図 1 に正規分布,あるいはガウス分布と呼ばれる分布のσ= 1 の場合と σ = 2 の場合を示した.σの小さい上図が日本人型,下図がアメリカ人型と言うふうに呼んでもいいかもしれないが,言葉遣いに気をつけるとそれで世界の問題が解消されると思っている Political correctnessist (今作った造語)から文句が来るだろうと思うので,やっぱりガウス分布と呼ぶことにしよう.


Chandler@Berlin-sigma=1

Chandler@Berlin-sigma=2

図では,ちょっと不正確ではあるが,X 軸がサンプルを,たとえば,体重を示しており,Y 軸の高さがどれだけの人がその体重を持っているかを示している.中央の一番高い部分が平均で,平均が高いということは,沢山の人が平均値の近くにいるということである.もし平均が 60 kg であったら,平均近くの体重60 kgを持つ可能性の人が一番高い可能性でいるという感じである

.本当は確率分布なので,積分しないといけないが,まあいいだろう.

標準偏差によってたとえば社会の中で太っている,やせている人がどんな分布かわかるのだが,もし,近似的にあるものがガウス分布に従っていれば σいくつ分の特別さがあるのか,ということを示すことができる.実際にガウス分布かどうかは注意しないといけない.わからないから何でもガウス分布にしてしまう人がいるが,それは結構危いのだ.ガウス分布は便利なので,ついつい使いたくなるということもある.

ガウス分布は平均とσさえ決まれば,どんな分布かが決まってしまう.だから,ガウス分布では平均とσを使って分布のどこにいるかということを言うことができる.これは便利なことの一つである.

次回はこの分布である人がどこにいるかということを示す話をしよう.これは時に偏差値という名前でも知られている.