Berlin にはあまり日本人が住んでいないが,100人ほどは投票に来るということであった.確か 3000 人ほどいるということであるし,投票の管轄が広いことを考えると,投票率は低い気はする.ところで,大使館の対応はとても丁寧でやはりここは日本なんだなあと思う.ドイツには普通の店でさえここまでの丁寧な対応はない.
外国で投票することのメリットは日本の選挙運動を聞かなくて良いことである.ドイツでは日本の選挙運動のような無意味な迷惑行為はない.政策も言わずに名前を連呼するのを聞く度に,このような迷惑行為を平気でする人間にどうして票を入れると考えるのだろうか,と思う.また,名前を連呼してそれで票が本当にあつまるのであろうか.(ところでこれを読んでいる日本人でない友人のために説明すると,日本では選挙のキャンペーンで候補者が名前を宣伝カーで連呼するという驚くべき風習がある.これは冗談とか嘘ではない.たとえば,「SPD を宜しくお願いします.」とか,「メルケルに一票を!」 などということをスピーカーをそなえた車を使って叫ぶのである.そこには政策についての議論などはまずなく,単に名前を連呼するのである.珍しいので選挙のシーズンに観光の一環としてビデオにとって YouTube に置くのもよいかもしれない.) 政策を気にする人は新聞なりテレビなり,知人の意見なりで来めるであろうし,気にしない人に名前を連呼してそれで入れようとするとは思えない.日本には標語も多いがそれと似たようなもののような気がする.(たとえば,犯罪者が標語を見て犯罪を思いとどまるとも思えないという意味である.) しかし,今回私が票を入れた人がもし日本で名前を連呼していたらどうしようと心配である.この点に関してはドイツの方がすばらしい.
とはいえ,張り紙による選挙運動はドイツにもある.たとえば,ある巨大政党がWir haben die Kraft. という張り紙を出している.日本語では「俺達には力がある」となって,これは「お前ら俺達に逆らっても無駄なんだよ」と言っているような気がする.メルケルさんは独裁でもしたいのかなあと心配になるのである.ここでの Wir は私は政党が言っていることと思ったが,もしかするとドイツ国民のことを言っているのかもしれない.しかし,それもまた外国人の私としてはちょっと怖いのである.「俺達には力がある」という言葉は弱い人々には励みになるかもしれないが,現実に力を持っている人には思い上がりに結びつきやすく,良い結果をもたらした例は少ないと感じている.