在外選挙 1 | Chandler@Berlin

Chandler@Berlin

ベルリン在住

日本では第45回の衆議院総選挙が8月30日に行なわれる予定である.私は日本に住んでいないのだが,最近は在外選挙という方法で投票が可能である.最近は,というのはこれは 2000 年から可能になったことであり,また,最初は比例代表制しかできなかったものが,2007 年以降は小選挙区制の投票も可能になった.これには裁判があり,小選挙区制の投票ができないことは違憲であるとの判断があったのである.私はこれによって恩恵を受ける者の一人であり,関係者各位の努力に感謝する.が,前回は投票日を間違えて投票しないという失態を犯してしまった.在外の人は日本よりも早く投票しなくてはいけないことを知らなかった.まったく...

今回はそういうことはしないぞと心に決めていたので,公示された後(8月18日公示) にできるだけ早いうちにと 21 日に大使館に投票に行った.もし何か失敗しても余裕があるからである.

日本大使館の入口には日本語で「選挙はこちら」と書いてある.すばらしい,しかし,大使館の門では日本語は通じないのだ.Ich komme hier fuer die Wahl. (選挙に来ました)と言ったが,さてこれが正しいかは自信がなかったので,die Wahl, die Wahl (選挙,選挙)と繰り返した.すると,Haben Sie wahrscheinlich... (そちらはおそらく~はお持ちですか) のような言葉の断片が聞こえたので,wahrscheinlich was? (おそらく何でしょうか?)と(失礼な言い方だが)聞き返しながら,とりあえず文書を見せれば良いだろうとパスポートと選挙人証を見せたら通してくれた.しかし通った後で思ったのだが,Haben Sie den Wahlschein? (選挙人証をお持ちでしょうか) と尋ねたのではないかと思う.私の友人には私が R と L を聞きとれないということを理解してくれない人が多いのだが,どうだ聞きとれていないだろう.まいったか.と言いたかったが,ろくでもない自慢である.まいったなあ.

投票場には5人の人がいた.最初の人は投票の概要を説明してくださった.投票用紙はこちらが比例代表,こちらが小選挙区のもの,郵送するための封筒(A)に選挙人番号を書いて欲しい,などなど.おっとちょっと待った.これでは私が誰に投票したかわかってしまうではないか.と思っていると,さらに4つの封筒が示された.一つの投票に対して,大小2つの封筒(B:大,C:小)を使う.投票用紙は小さな封筒 C に入れる.これには何も書かれていない.その小さな封筒 C を大きな封筒 B に入れる.この大きな封筒には選挙人の番号を書いて署名する.これらを最初の封筒 A に入れて郵送する.これは立合い人の元で開封され,署名された封筒B から小さな封筒 C が取り出され,それは他の投票を混ぜ合わされる.と,こうやって選挙の秘密を守るということである.もちろん開ける時点で不正があればわかってしまうことであるが,信頼できることと思うし,私としては誰に投票しているかわかってもかまわないことでもある.

...続く.