その時に兄貴に案内してもらったのが、この建築物。
高松の人たちに、その独特の形から「船の体育館」と親しみを込めてよばれている「香川県立体育館」である。
みなさんこの美しい生物的な曲線天井を持った体育館を見て、どこかで見たことがあるデザインだと思いませんか。そうです、東京の「国立代々木競技場」です(大きさは全然違うけどね)。この「船の体育館」も「国立代々木競技場」も、以前に紹介した「丹下健三氏」の設計によるもの。香川県には、この他の氏の設計によるものとして「香川県庁舎」もある。こっちは、また後日紹介する予定。
この「船の体育館」は正式名称は「香川県立体育館」である。僕が生まれる1年前の1964年に竣工した屋内競技場。この体育館の竣工1ヶ月後に完成したのが「国立代々木競技場」。こういった曲線で形成された天井構造をHP(hyperbolic paraboloid)シェルと言うらしい。シェル型(貝殻のような)天井を吊りケーブルで支えるというもの。ということは、この二つの体育館は、場所と規模は違っても、同じ時期に同じ構造で丹下氏によって作られた双子のような存在なのかもしれませんね。
僕がここを訪れたのは夕方でしたが、夕日に染まった黄金色の「箱舟」のようで、宗教観さえも想起させる美しさがありました。
しかし、この体育館は特殊な天井構造の問題から耐震補強が困難なため、昨年の9月をもって閉館になってしまいました。どうにかして、この美しい建築物を後世に保存してもらいたいものです。