ホントに、自己中な恋愛をしていた私ですが、
純粋な時期も!ございました。
この話無くして、続きは書けないのじゃないかと思い、
遥か昔の話をひっぱり出します。
たった1人の人しか見えなかった。
あの頃。思い出しますとも。
このお話は、中学3年生頃のお話です。
少々恋愛に疎かった私が、初めて恋をした時のお話です。
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「初恋~二度と泣かない。~」
第9話 離れない背中
「ありがとう。」
公衆電話だからか、川本の声は遠かった。
「え?なにが?」
「プレゼント。おかんに渡してくれたんやろ?」
「ん?私じゃないよ。」
「え?彼女からやって言ってたけど・・・。」
「違う子ちゃうかー。モテ田モテ雄くん。」
「あほか。まーええわ。明日も来る?」
「ううん。塾やねん。」
「そっか。頑張るわな。」
「うん。頑張って優勝しいやー!」
「頑張る!お前も・・あっ!切れるわ!」
公衆電話の切れる音はわかっていても、寂しい音で、名残惜しいままだった。
プレゼントかぁ。
きっとあの子だろう。
赤と緑の大きな袋だった。
2日後の夜、川本は帰ってきた。
結果はベスト8位。
私が、全国でベスト8位になれる事なんて、どれだけ探しても何も無い。
すごい・と、素直に思った。
「悔しい。」
そう言いながらも、やりきった感のある声に私はホッとした。
「後は、受験やな!」
「耳が痛い。お前、おかんと同じこと言うな!」
たくさん笑った。
たった、何週間だった。
川本と、あまり話せなくなって、たった何週間。
寂しかった分、二人は笑った。
「あっ!返しといたで!」
「プ・レ・ゼ・ン・ト!」
「え?もらえるもんはもらっておきや!」
「お前さぁ・・・俺の優しさわからんか?」
わかっていた。
胸が苦しくなるほど。
「セーターやってん。手作りとかちゃうで、買ったやつ。俺はお前からやと思って、一回着てしまったけど、お前じゃなかったから・・・。」
「ごめんな。」
「何が?」
「試合の時、女の子いっぱいやったから、プレゼント渡されへんくて、そしたら、可愛い子が大きな袋持ってて、余計渡されへんくってな・・・」
「お前、泣いてん?」
「泣いてへん。」
「泣いてるやん。」
「だって。ごめん。」
「プレゼントって何?」
「いや、プレゼントの話は禁句や。」
「何でやねん。」
「セーターとかじゃなくて、安いしょぼいもんやし。」
「今度、会った時ちょうだいな。」
「いや、あかんって。」
「えーから。お前アホか。何でもええの!」
次に会う日はいつだろう。
もう、そんな事を考えていた。
元旦。私は川本に電話をかけた。
「あけましておめでとう。」
これを、昨日の晩からずっと言いたかった。
「俺も今かけようと思ってってん。おめでとう。」
そんな一言が、また私を浮かれさせていった。
「そうなんや。」
「今から会える?」
待ち合わせは、いつも同じだ。
歩道橋の下。
川本は、また背が伸びて、私服になると、とても大人っぽかった。
「おう!」
元気に上げるその手に、本当はしがみつきたかった。
裏道を通り、ゆっくりと近くの神社へと向かった。
人通りの少ない道を、いつもと同じ、内容のない会話をしながら。
「レナ?」
私の名前。
生まれて初めて呼ばれた時のように、耳慣れない。
「うん?」
いつの間にか、2歩程前に進んでいた川本の手が、差し出されていた。
私は、下を向いたまま、その大きな手を掴んだ。
言葉がでない。
何かしゃべらないとと思えば思うほど。
「良い事教えたろうっか?」
「何?」
「お前、I高受けるんやろ?」
「うん。」
「俺の行くK高と、めちゃ近いって知ってた?」
「ほんま?」
「うん。知ってて受けるんかと思ってたのに・・・」
「知ってた。」
「嘘やろ?」
「実は・・・知ってた。」
「嘘つけー。」
どんどんと、手が馴染んでいくように、私たちは、近づいていった。
この先も離れない。離れるはずがない。
「なぁ、私は、何て呼んだらいいん?」
「好きなように呼んでください。」
「川ポン。」
「あかん!」
「川ちゃん。」
「あかん!名字から離れろ!」
「正人。」
顔を赤くして、ズンズンと前を見て歩いていく背中。
手をつないでいるから、離れられないのわかっているくせに。
遠くならない背中なら、安心して見ていられる。
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