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「花の都」と、呼ばれるフィレンツェは周囲を山に囲まれ、
悠久の歴史の中で、常に文化の中心地として栄えた。

数多くの芸術家に多大な影響を与え育み排出した町には、
今も多くの重要な文化財が保管され、街全体が美術館の様だ。

ヴェネチアから南西に進路を取り、フェッラーラ、ボローニャを経由し、
イタリア中部の都市フィレンツェへと辿り着く。

冬の地中海性気候は日本の梅雨と同じで非常に雨の日が多い為、
天気は安定する事無く、2日連続で晴れることは無い。

そのせいか体調を崩し、中々治らずにいる。
フェッラーラで同室だったイギリス人サイクリストも体調を崩していた。
彼はこれからヴェネチアへ、僕はフィレンツェへ向かう予定なのだが、
お互い体調が優れない為に列車で移動する事にした。

フェッラーラ出発の日も雨が降っており、雨が弱まるのを待ち、
小雨になったのを見計らい、自転車で駅まで一緒に走り、
そこでしばらく話した後に分かれた。

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しかしこの半年位の間で、まともに体調が良かった日が少ない。

一回風邪をひくと、いつ治るのか分らない位に長引き、
治ったと思ったら再び熱が出たり喉が痛くなる。

フィレンツェについても一向に体調が回復せずに、
薬を飲んではとりあえず症状をごまかしているに過ぎない。

「30歳を過ぎると回復が遅くなる。」とか言われていたが、
これがそう言う事なのか?と、認めたくは無いが実感する。

フィレンツェは以前にも訪れた事があったので、
今回はのんびりと休養をとって、まずは体調を治そうと思う。

とは言え、ただ寝ているのも退屈であり、
結局は外へ出て、あちこち放浪するので、
ダラダラと体調不良を引きずるのだった。

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↑珍しく晴天の日が一日あり、やっぱりそんな日は外へ出ます。
しかし薬を飲んでからの運動は非常に疲れます。
そして薬を飲んでからワインを飲むと驚くほど眠くなりますzzz
自転車世界横断!!TERU-TERU project-Venezia10

「アドリア海の女王」とも呼ばれるイタリア北東部の都市。

あまりにも有名で憧れる人も多いだろう。

アドリア海の最深部にあるヴェネチア湾にある、
ラグーナ(潟)の上に築かれた都市には、
縦横に運河が張り巡らされ、ボートが行き交う。

周囲11km程の本島には中世の街並みがそのままに残され、
建物の土台として、干潟に無数の杭を打ち付けて建設された都市は、
「逆さまにすると森が出来る」と言われている。

ヴェネチア本島に入り、迷路の様に曲がりくねった細い路地を歩くと、
まさに中世の町を歩いているような感覚すら得る事ができるのだが、、
地図を片手に歩いたとしても、角を3つも曲がる頃には方向感覚を失い、
完全に道に迷い、ヴェネチアの町に吸い込まれてしまうのであった。

アルプスを越えてイタリアへ入り、まずはヴェネチアを目指し走り、
本土からリベルタ橋を渡りヴェネチアに辿り着いた。

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ヴェネチアへの自転車の持ち込みは禁止されているらしいのだが、
荷物を載せている自転車は押して歩く分には問題ないらしい。

そのまま自転車を押して町へと向かったものの、
突然大きな橋が目の前に現れ道を阻まれる。

スロープらしいものは全く無く、結局自転車を持ち上げて上る。

インフォメーションで地図を買って、とりあえず宿へ向かう。

運河が張り巡らされているヴェネチアの交通は主に船と言う事で、
自転車を船に乗せて宿の近くまで移動しようとしたのだが、
「船は人しか乗れないので、歩いて行くしかない。」と、言われた。

観光用の小さなボートに載せるわけにはいかないので、
もう一度事情を話したものの、歩くしかないらしい。

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「まあ、町をゆっくり見ながら宿まで歩くか。」
と、軽い気持ちで自転車を押して歩き始めた。

しかし、その数分後にはその道のりがあまりにも過酷で、
遠く厳しいものだと実感する事になる。

予約していた宿は、本島のほぼ真ん中にあり、
観光客としては最高のロケーションであるのだが、
そこまでの道には何本もの橋が架かっている。

もちろんスロープは存在せず、蹴上げの高い階段があるだけだ。

しかも道は曲がりくねる迷路のようで何度も迷い。
道を聞きながら進むも同じ場所に戻る事もある。

60kgの自転車を持ち上げて何本もの橋を上り下りる。

宿に着くまでに2時間以上かかり、
首と背中の筋がおかしくなった。

あまりやる人はいないと思うが、ここに自転車で来るのなら、
多少高くても、橋を渡らない場所に宿をとるべきだろう。

ヴェネチアは小さな島なので、迷い歩きを楽しみながら、
ただフラフラと町を散策して過ごす事にした。

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この季節のヴェネチアの天気は不安定で、
ほぼ毎日のように雨が降り滅多に晴れる事は無い。

水の都であるヴェネチアに雨が降ると、
まさに水の中に沈む都市の様だ。

大潮の影響で海水が町の中に浸水し、サンマルコ広場には
巨大な水溜りが出来、足場が組まれ観光客は列を成して歩く。

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地盤沈下や建物の老朽化などの問題を抱え、
今にも崩れ落ち海に沈み行きそうな水上都市は、実際に
近い将来、海面上昇によってアドリア海に沈むと懸念される。

町全体の水没を防ぐ為に、アドリア海との間に3箇所の
防潮堤を設ける「モーゼ計画」が進行しているが、
一方では環境や干潟への影響が懸念され、反対されている。

水質汚染も深刻で、実際に運河の水はとても綺麗とは言えない。

ヴェネチアは古く美しい町並みを現代に残す貴重な町なのだが、
現代においてそれらの文化遺産を修復しながら保存するには、
それ相当の犠牲が必要なのだろうか?

「数十年後にはこの情景を見る事が出来ないのかもしれない。」

そんな事を思いながら、運河沿いにある宿の窓から外を眺めると、
雨に濡れる町並みが水に沈んで行くイメージがリアルに写るのだった。

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↑ヴェネチア内の移動は土地勘がないと必ず迷います。
自転車では来ない事をオススメします。本当に大変。。。
ほぼ毎日雨の天気予報なので、移動が制限されますが、
これからフィレンツェに向かい、しばらくゆっくりします。
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オーストリア西部チロル地方から青くそびえるアルプスを望む。

チロル地方の中心地である『インスブルック』と、言う街は
過去に二度の冬季オリンピックを経験している。

周囲を高い山に囲まれたロケーションは実に壮観で、
アルプス山脈は目の前に壁のように立ちはだかり、
街を見下ろす高台には今もスキーのジャンプ台が建ち、
多くのトレッキングコースが山々に張り巡らされる。

街の中心を流れる『イン川』は陽を浴びてエメラルド色に輝く。
そもそも『インスブルック』と、言う街の名前は、
「イン川に架かる橋」と、言う意味を持っているらしく、
街の規模に対しては多数の橋が架けられている。

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ミュンヘンから進路を南へと取り、アルプスを越えイタリアを目指した。

天候がしばらく安定した事もあり、ストレスもなく走り続け、
ミュンヘンを出て2日でインスブルックに到着した。

世界的にも有名な『スワロフスキー』発祥の地でもあり、
街には何件かスワロフスキーのショップがある。
古い建物が残る旧市街にはお洒落なカフェが軒を連ね、
コートを着たままオープンカフェで談笑している。

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当初ここは一日の滞在にしようと思っていたのだが、
自然の美しさと街並みの美しさに惹かれ3泊する事にした。

滞在中の天気は、この季節には似つかわしくなく、
晴天が続き、日中に時間を見つけては近くの山を散策し、
疲れたら街に下りてカフェでお茶をしては疲れを癒す。

ヨーロッパで最も高度の高い場所にある『アルペンズー(動物園)』
へも、何と無く暇つぶしに足を運んだのだが、オフシーズンの為に、
あちこちを改装しており、動物も少なく見応えは無かった。
(個人的にはカワウソが見ていて一番楽しかったです。)

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そんなマイナスイオンに包まれた空気をふんだんに肺に吸い込み、
いざアルプス山脈へと本格的に挑む決意を固めて出発したその日、
突然天気が崩れ始め、大雨に変わり山は深く白い靄に包まれた。

予報では翌日からはしばらく雪が降るらしい。

地図も地形も頭に叩き込んで、出発を目前に道が塞がった。

意外にも峠の最高高度は1400m程度しかなく、
インスブルックが既に600m程度の標高なので、
然程道のりは厳しくなく、楽しんで走れるはずだった。

過去何度も3000mを越える峠を走ってきた事を考えると、
ヨーロッパの舗装された山道を走るのは容易い。
しかし山脈を自転車で越えるにあたって、
天候の悪化は命取りになりかねない。

数日は天気は回復せず、回復したとしても、
更に数日の間、道は走れる状態ではないだろうし、
その間に再び雪が降る可能性も高い。

真っ白い霧の幕が目の前に下ろされ、
そびえるはずのアルプス山脈は姿を見せない。

しばらく悩んだのだが、アルプス山脈を列車で越える事にした。

この旅3度目の列車移動によってイタリア北部の街に向かう。

乗車中も雨は止まず、何度か乗換えを繰り返し駅に降りると、
凍てつく寒さと強風で身が凍りそうになった。

外の景色も雨に煙るのだが道は緩やかで、
天気さえ良ければ楽に走る事は出来ただろう。

そんな心残りを感じながら、いつになるかは分からないが、
数年後か数十年後に再びこの峠に挑もうと誓った。


ヴェローナを過ぎる頃には雨は小雨へと変わり、
列車を降りて自転車に乗ってまた走り出す。

イタリアは今回の旅のルートには入れてなかったのだが、
おそらくシェンゲン協定のギリギリまで滞在する事になるだろう。

ヨーロッパ編の中盤はアルプス山脈を越えた場所から始まる。

イタリアでは約一ヶ月の滞在を予定している。

しかしそれもあくまで予定であり、
実際どうなるかは自分にも分らない。

そして天気と気が向くままに走り続け、
ヴェネチアへと辿り着いたのだった。


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↑11月に入り日本も寒くなったと思いますが、
ヨーロッパも何処へ行ってもやはり寒いです。
シェンゲン協定の3ヶ月が切れる12月中頃まで、
イタリアをゆっくりと堪能するかもしれません。