太陽は波に乱反射し、小さな光がフラッシュライトの様に輝く。

ジグザグに切り裂かれた断崖の海岸線が延々と続き、
山がちの地形と相俟って、道のりは想像以上にきつい。

雨量が多い気候によって、広大な素晴らしい自然が息づき、
緑深い山々は視界のずっと先まで波を打っていた。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Napoli02


地中海性気候のイタリアはこの季節特に雨が多い。

そんな事を危惧していたものの、晴天の日が続き、
体調も回復した事もあり更に南へと移動した。

ローマでは体調の回復を図って長居し、宿の庭に生っていた
オレンジやグレープフルーツをもぎって食べ続けたせいか、
なんとか移動可能なコンディションまで回復した。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Napoli01


ナポリまでは300km弱の距離と言うこともあり、
3日かけてのんびりと進み無事到着する。

大きな湾が海を囲い、ヴェスヴィオ山は雄大に街を見下ろす。

巨大なナポリの街には小高い丘が点在し、
更にその斜面に沿っても街が広がる。

街中に張り巡らされた細い路地にも、車やバイクが行き交い、
騒々しい程に活気のある街は、南イタリア独特の活気で賑わう。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Napoli04

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Napoli03

「ピザ」発祥の地としても名高い『ナポリ』には、
ピザの名店も多く、100年以上の歴史を持つ店も存在する。

「ナポリに来てピザを食さないのは愚か者だ。」

とも言われるのだが、ここに来てしまえば、
嫌でもピザを食べる事になるだろう。

イタリアにいれば何処にいようともピザは付き物だ。

どんな田舎だろうが、街中だろうが、
老若男女問わず日常的にピザを食べている。

そしてその何処で食べたとしても、
それぞれ特徴があり美味しいのだけれども、
流石にナポリのピザはその上を行く。

僕も街について早速ピザを食べたのだが、
今まで食べたどのピザよりも美味しい。

はっきり違うのはピザ生地の触感なのだが、
ナポリのピザ生地は硬さの中にも柔らかさがあり、
モチっとした触感と香ばしさは生地だけでも十分に楽しめる。

値段も直径30cm程のピザで3ユーロ位からあり、
他の地域と比べても安く感じる。

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ナポリの象徴でもあるヴェスヴィオ山
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ナポリからはシチリアを経由しマルタへと向かう予定なのだが、
フェリーは毎日運航しているわけではない。
ちょうど良い便に乗れるまで、ナポリ周辺に数多く存在する
素晴らしい景勝地を訪ねてみようと思う。

世界中で愛されるピザの発祥地に辿りつきピザを食べる。

なんとも贅沢なこの状況を楽しみ、
またしばらくナポリに滞在するのだった。

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ナポリに出現する鳥の群れ。


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↑流石に南部に来れば来るほど暖かくなります。
日中の走行は半袖で十分です。
自転車世界横断!!TERU-TERU project-Rome01

旅人は南を目指し、彼等はいつしかローマに辿りついた。

常に悠久の歴史舞台の中心都市として栄え、
今も尚、世界中の人々の浪漫をくすぐり続ける。

イタリアのほぼ中心に位置する首都『ローマ』は、
遺跡都市と近代都市が絡み合いながら、
雑踏と喧騒の中で、現在もその栄華を伝える。

暖かさを求めて南へ向かい、このまま何処まで南下するのかは不明だが、
とりあえずは気が向くままに進んで行こうと、予定もまばらに足を進めた。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Rome09

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Rome02


フィレンツェでは体調を整える為に長居をし、
やっと少しは回復してきたのだが、
まだ本調子ではなかったので列車で移動する。

宿で一緒だった女の子と食事をしたら、
偶然にも同じ日にローマへ向かうようなので、
翌朝も待ち合わせし同じ列車でローマへ向かい、
彼女が泊まる宿まで同行し、そこで分かれた。

彼女は今頃何処で何をしているのだろう?

旅人は世界中のありとあらゆる所に散らばり、
そしてまた何時か何処かでバッタリ出会う。

そんな出会いを繰り返しながら、
世界の大きさを測り、その大きさを実感する。


『全ての道はローマに通ず』


手段はそれぞれ違っても目的は変わらない事の例えであるこの言葉は、
今の僕にとって重く、そして核心を突く言葉として突き刺さる。

日本の友人からは良い情報も悪い情報も毎日のように送られ、
それに対して一喜一憂し、遠く離れた所から物事を見る事により、
その根底の部分がよりくっきり見えている自分がいるのだが、
それだけに煮え切らない気持ちや苛立ちが募る時がある。

しかしそれらは今の旅人の僕には関係の無い事。

目的が無い話やゲームに終わりが無いのと同じように、
目的が無い人生ほどつまらないものは無いだろう。

そして、この旅を続けるにあたり、再度その方向を定める必要がある。

世界中には数え切れない程の旅人がおり、
彼等はそれぞれの目的をもって今日も世界に散らばっているのだろう。

これから何処へ向かい何を求めて何をするのか?

シェンゲン協定も残る所1ヶ月を切ったので、
今後のルートや計画を練り直す必要がある。

多くの文化遺産を有するイタリアを走る中で、
それらを見過ごして素通りするわけには行かない。

方法論と言う手段は、僕をこれから更に南へと向かわせるのだった。

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ヴァチカン市国のサンピエトロ広場。
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サンピエトロ大聖堂は今まで見た教会の中でも最も美しかった。



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↑ローマからフランスへ行こうと思ってましたが急遽変更します。
自転車世界横断!!TERU-TERU project-Firenze18

フィレンツェに滞在し数日経ち、街の土地勘も大分つき、
更には周辺の小さな村にも何度も足をのばした。

宿泊中の『Emerald hostel』は安いのは良いのだが、
11時から午後2時まで館内清掃でロックアウトされる。

体調が悪いのだがその間は無理してでも外へ出て時間を潰し、
ただボーっとするのも退屈なので、あちこち出歩いてしまう。

フィレンツェは本当に自然豊かな環境の中にある都市であり、
周囲を見渡すと、すぐ目の前にはいくつも山が連なり、
さらにその山々には小さな村が点在し魅力的に写る。

美術館や博物館巡りも済ませた僕は、
自転車にまたがり毎日の様に山へ向かい。

ある日は北の山へ、またある日は東の山へと何気なく、
ただ少し散歩でもする様な感覚で向かうのだった。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Firenze13

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Firenze 箭内孝行

急な斜面に沿ってオリーブ畑とぶどう園が目の前に広がり、
紅葉した樹木が彩りを与え、そこに小さな村がある。

イタリア農村部では当たり前の光景なのだが、
そんな風景の中に身を置くと自然と落ち着き、
都会から自転車で1時間ほどの距離に、
全くの別世界が広がる事に驚かされる。

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自転車世界横断!!TERU-TERU project-Firenze14

山道を走っていても多くのサイクリスト達が行き交い、
年配のサイクリストでさえも急な坂道を息を切らして上る。

ヨーロッパにはサイクリストが多く、
街中にも自転車専用道路が整備される。
またサイクリストを優先するマナーが徹底され、
細い道路であっても無理に追い抜いたりはしない。

欧州の人達は自然に対しての意識が強いと言われるが、
彼らは身近に自然を感じ、自然の大切さを実感しているからこそ、
そんな自然に対しての配慮は必然とされているのだろう。

自転車で旅をしていると、今までにも何度も声をかけられるが、
欧州においては「エコ」の観点から話をする人が多く、
自転車の旅に関して敬意すら示す人もいる。

相変わらずまだ体調は回復しないのだが、
宿でダラダラと時間を過ごすよりは、
自然や芸術の中に身を置くことにより、
意味のある時間を過ごしたいと思う。



凡庸な人間は注意散漫に眺め、

聞くとはなしに聞く、感じることもなく触れ、

味わうことなく食べ、体を意識せずに動き、

香りに気づくことなく呼吸し、考えずに歩いている

レオナルド・ダ・ヴィンチ




これはダ・ヴィンチの言葉の中で最も僕の心に残り、
疲れている時や、注意力が散漫になっていると思った時、
気力が落ちている時は必ず思い出す様にしていた。

ダ・ヴィンチも暮らしていたフィレンツェに滞在し、
多くの自然や芸術に触れて、その感動を認識する時、
何に対してどう思って感動したのか?
その感動は本当の感動なのか?
今後の自分にどう活かされるのだろうか?
またどう活かす事が可能だろうか?

そんな問いを持ってみると、また一つ違う見え方があることに気付く。

体調を崩しフィレンツェで長居する事になったのだが、
それも何かのめぐり合わせであり、意味があり、
またそこで新しい意味を模索する事が出来ると思うと、
そんな何気ない日常も特別に感じるのかもしれない。

フィレンツェの滞在も、もうすぐ切り上げて、
次はローマを目指そうと思うのであった。

自転車世界横断!!TERU-TERU project-Firenze19


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その前にさっさと体調を回復させたいです。