Steve Reich
(スティーブ・ライヒ)が高松宮殿下記念世界文化賞受賞した報道は9月であったが、昨日、東京・元赤坂の明治記念館で受賞者たちの贈呈式が行われた。
すこし前になるが、ガーディアン紙(Guardian )にライヒのインタビュー記事があった。
「新作は、パキスタン でイスラム教徒過激派に斬首によって殺害された、ウォール・ストリート・ジャーナル記者Daniel Pearl(ダニエル・パール)についての音楽だ。彼の政治上のキャリアに奮い立った。」(ガーディアンより引用・要約)
My name is Daniel Pearl.
I'm a Jewish American from Encino, California.
-私の名はダニエル・パールだ。ユダヤ系のアメリカ人、そしてカリフォルニアのエンシーノ出身。- 公開された処刑での最後の言葉である。 これが旋律となる。
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今回の高松宮殿下記念世界文化賞受賞には、ライヒのように米国のユダヤ人、ロシアのユダヤ人と、ダニエル・パールの最後の言葉にある、国、人種、国籍が異なる。
ライヒは言う。
ユダヤ人である自身のルーツへの旅がさらに新しい扉を開いた。ニューヨークとイスラエルでヘブライ語聖書の伝統的詠唱法を学び、詩篇を読んでいたときに自然に歌が聞こえてきたという。「言葉が生む旋律」に夢中になり、88年には肉声の音程に合わせ弦楽器のメロディーを反復させた「ディファレント・トレインズ」を発表。第二次世界大戦前後の米国とホロコースト(ユダヤ人虐殺)が主題だ。
「ホロコーストを音楽にするのは、太平洋を飲み干すようなもの。巨大すぎて不可能だと思いましたが、その場を生き延びた人たちの『言葉の旋律』がこれを可能にしてくれました」
産経新聞社 高松宮殿下記念世界文化賞 より引用
その場を生き延びれなかった人たちの、聞けなかった「言葉」さえ、旋律に流れてくるようだ。
この言葉の断片とその抑揚は、ライヒにとっては90年代の手法あるいはスタイルだといえる。民族の問題にしても、政治的な音楽を創作するのは、これまでのライヒ流の哲学が、方向を決定づけたのではないか。
過去記事より ・ヤド・ヴァシェム博物館
・ナチスの人種主義について
・Nuremberg Codeと弁護
・Holocaust
- Steve Reich 「ディファレント・トレインズ」
- Desert Music/Different Trains/Six Marimbas/Tehillim
その場を生き延びた人たちの言葉をサンプリングしループ。
言葉のイントネーションが『言葉の旋律』としてメロディーになっている。
ダニエル・パールの最後の言葉。その旋律を僕は聴くことができるだろうか。
ライヒの音楽は、2本のテープ・ループのズレからの音響効果のスタートし、ミニマル・ミュージックの巨匠といわれている理由でもあるが、本人は、マキシマムだと語っているそうだ。
さて、ライヒは 武満徹 作曲賞 2008年度審査員でもある。今月3日で70才だ。来年度のスケジュールが組み込まれ、生涯現役ぶりがうかがえる。受賞インタビューでも「神が許す限り仕事のペースを落とすことはない。」と語った。(産経新聞より)