◆インドにて・・・ | 小鳥のしあわせ大使館

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「俺は、こんなところで何をしているんだろうか・・・」


インドの、ガンジス川の沐浴場で有名なヴェナレスというところで、彼はまた悩んでいた。

激しい空腹を抱えながら、悠々と流れるガンジス川を眺めながら思った。


インドについてからここまで、まるで激流に流されるように、たどり着いた。


インドの首都、デリーの空港に降り立つと同時にタクシーの客引きに声をかけられ、

自分ではかなり値切ったつもりがぼったくられ、その上連れて行かれた観光案内所で

10人以上のインド人に囲まれ、泣く泣くすべてのトラベラーズチェックにサインをしたら、

いつの間にかここに運ばれていた・・・。


せっかくインドに着たのに、タージマハルも通り過ぎてしまった・・・・。


誰にも助けを借りられない、人の干渉を受けない、そんな環境に身をおいたら、自分の中の

何かが変わると思っていたのだが、結局はこうして人に振り回され、結局何がやりたいわけでもなく、

ここに座っている。


「これじゃ、日本にいるのと変わらないじゃないか・・・」


しばらくガンジス川を眺めた後、また町をぶらぶらし、なけなしのお金でバナナを買い、ホテルに戻った。

ホテルに戻ると、昨日まではいなかった大学生らしい二人組みがレストランにいるのを発見した。


彼は迷った・・。日本でだったら、絶対に声はかけられないだろう。でも、ここまで来て、わざわざインドまで来て、

後悔だけはしたくない!!自室のベッドの上で壁に張り付いているイモリを眺めながらしばし迷った挙句、

ついに決心した。


「あの二人組みと、仲良くなってみよう!!」


彼は部屋を出て、レストランに向かうのだった。