いつも日々の生活に追われて、最近は本もあまり読み進められなかったのですが、今日は久しぶりにひとつ本を読み終えました。
近くの図書館で勧められて借りた、倍賞千恵子さんの本です。
私は、18歳の調理師学校へ通っていた頃、先の人生に対しての不安を埋めるためか、よく先人たちの自伝やエッセイを読みあさりました。
今、こうしてまたある人の生き方を覗いてみると、またその頃とは違った気持ち、ゆったりと読み進められて、少しは大人になったのかな、とも思えたりします。
本の中で印象的だったのは、
48作も続いた映画「男はつらいよ」のさくらさんを演じる時でも、何度回を重ねても毎回撮影の初日は緊張をして、
倍賞さんは、鏡の前で「さくらになぁれ、さくらになぁれ!」とおまじないをかけていたというお話でした。
その気持ちわかるなぁ。
私も何度もいったお仕事の現場でも、毎回が真剣勝負。いつも撮影が終わって包丁をケースにしまい終えるまで、帰りの電車にのってイヤホンを耳につけ音楽をかけるまで緊張していました、
それは何年経っても。
撮影のお仕事は、毎回の評価で次へと明日へと繋がるか否かが分かれるので、よく夢にも仕事している自分が出てきました。
今は、出産してそこまでそういった夢は減ってきましたが、代わりに抱っこ紐で子供も抱えて歩く私を、色んな人が追い越し通り過ぎる場面も時折夢にみます。
未だに夜中の授乳で何度か起きるからかな、眠りが浅いと、人は夢ばかり見た気になるようです。
今日読み終えた本。
終わりに。という括りでは、過去を振り返るのがあまり好きではない倍賞さんが、この本を書き留めることで、今までの人生での人との出会いや作品との巡り合わせを、しっかりと思い留めていて、自分の中で切り捨ててはいなかったんだな。と感じていらっしゃいます。
「過去を捨てたと思っても、過去は追いかけてくる」とは、映画マグノリアの一節ですが、私は毎回の習慣や想いごとの集積が、人をつくっていくものと感じているので、今日読み終えて、ひとつひとつ大事に積み重ねてきたような倍賞さんの生き方は素敵だなぁと嬉しくなり本を閉じました。