ドラマ版『からかい上手の高木さん』からの劇場版再鑑賞〜思春期から思秋期へのメッセージ | Rememberのブログ Love & Harmony゚・:,。☆

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ドラマ版『からかい上手の高木さん』をNetflixで全話観ました〜٩( ᐛ )و !!


ドラマ版『からかい上手の高木さん』


〜以下、ネタバレ注意〜


劇場版映画『からかい上手の高木さん』鑑賞後、映画好きの知人から「ドラマ版も良いので是非観てみてください」と言われ、TVerでダイジェスト版を観たのですが物足りなくなり、Netflixのストリーミング配信を契約して全話視聴しました。

ドラマ版高木さん役月島琉衣と西片役黒川想矢


ピュアな西片に恋心を抱きながらも、西片の前では〝からかう〟ことでしか自分の気持ちを表現できない高木さん。そんな高木さんの本意も自分の「好き」の感情も分からず、からかわれるたびに悔しがる西片。月島琉衣演じる高木さんと黒川想矢演じる西片の初々しい演技と、いじらしくも切ない初恋物語の世界観に一気に引き込まれました。

(上)消しゴムに好きな人の名前書いて使い切ったら両思いになれるって… (左下)ろうかみろ…さん? (右下)でも無理だと思うなぁ、大チャンスで1/2をはずすようじゃねー


女子の方が成長が早い思春期の年代のふたり。高木さんはいつも少しお姉さんのような口調で「西片っ♪」と突然声をかけ西片をからかいます。からかいながらもそこには西片のことが愛おしくて仕方ない、中学2年の高木さんの切ない想いが溢れ出します。子供の成長を見守る母親目線のような、そんな優しさ溢れる月島琉衣の絶妙な演技と空気感が見どころです。

(左上)お父さんだよー! (右上)手を繋ぎたかったから…だと思う!? (左下)片思い両思い〝キュン♡接近〜♪〟(右下)そっかそっかー、私とイヤホン分けっこしたかったのかぁ


一方の西片は授業中に高木さんにからかわれるたびに素っ頓狂な声を上げ、いつも担任の田辺先生に怒鳴られます。高木さんにその気にさせられはにかんだ笑顔を見せながらも、からかわれたと分かり勘違いを必死に隠したり、悔しがって仕返しを画策してみたり…高木さんへの自分の気持ちの正体がよく分からない、中学2年の純朴で微妙な心理をコミカルに演じる黒川想矢に何度も声を出して大笑いしました。

(左上)この勝負引き分けにしない?俺も嬉しかったし (右上)運でも高木さんに勝てないのかよぉ (左下)義理チョコだよ、こっちはね (右下)雨の匂い、なんか落ち着くんだよね…


青春時代の思春期を遥か昔に卒業し、人生の〝思秋期〟にさしかかったこの年齢になって、まさかティーンネイジャー俳優の月島琉衣と黒川想矢の瑞々しい演技に、長い人生経験で薄汚れてしまったこんな穢れた心をわしづかみにされようとは、ドラマを観る前には思ってもいませんでした。若い2人の名演技に胸をキュンキュンさせながら、いつしかあっという間に全話を完走してしまいました。

(左上)絶対それはないでしょ!ていう一番ありえないことかもねー (右上)俺も嬉しいこと?(左下)先輩になったご気分は? (右下)いつかまた一緒にこようね…ここ


〜以下、ネタバレ要注意!〜

このような思春期の悩み絶えない青春真っ只中の高木さんと西片の切ない初恋物語を見届けたあと、人生晩年の悩み絶えない思秋期真っ只中の私は、高木さんと西片の中学時代のエピソードの答えあわせをするように、再び劇場に向かって猛スピードで自転車を漕いでいました。

ドラマ版のエピソードが伏線となり、劇場版の結末に収斂していく…


ドラマ版を観たあとに劇場版を観る上で一つ心配だったのは、月島と黒川演じる中学生の高木さんと西片に馴染んでしまったあとで、永野芽郁と高橋文哉演じる〝大人になった〟2人に違和感を感じないかということでした。しかし、あらためてスクリーンに登場した大人の高木さんと西片を見て、当初のそんな懸念は杞憂にすぎなかったことが分かりました。

劇場版高木さん役永野芽郁と西片役高橋文哉


不安を払拭した大きな転機となったのが、西片がプールに飛び込んで高木さんのブーケを取りに行くシーン。ドラマ版の〝神回〟「高台」でのクライマックスでは、西片の第二ボタンを受け取った高木さん役月島が、顔を背ける西片役黒川の横顔を、嬉しさと感動と別れの寂しさの入り混じった表情で見つめるシーンが印象的でした。

ドラマ版クライマックスの高台での別れのシーン


劇場版では、西片の後を追いプールに飛び込みブーケを受け取った高木さん役の永野。プールの中で西片を見つめるその表情には、西片からブーケを貰った嬉しさと感動、それでも互いの関係に確信が持てない寂しさが入り混じっていました。その今にも涙が溢れそうな永野の瞳は、高台で西片を見つめる月島の潤んだ瞳そのものでした。10年の時を経て、高木さんが手にしたのは第二ボタンからブーケに変わったのでした。

転機となったプールでのブーケのシーン

実際の撮影の時には、このシーンの1度目のテイクで永野は感動して思わず涙をこぼしたそうです。ところが今泉力哉監督は、撮り直した涙のない2度目のテイクを採用しました。ドラマ版を知らなかった1回目の鑑賞の時には、私は高木さんが泣いた方がより感動していたことでしょう。でもドラマ版の高台シーンで『泣かないでよ。西片には笑っててほしい…』とあえて西片が喜ぶ変顔で別れの涙を乗り越えた高木さんを観たあとでは、このプールのシーンも涙は必要ないことがよく理解できました。

西片には笑っててほしい 元気でいてほしい


そして、このプールでのブーケのシーンを境に、私の中では月島と永野が演じる高木さんと、黒川と高橋が演じる西片が、10年の時を越えて完全に統合されていきました。映画版の冒頭で中学生の月島と黒川から、大人の永野と高橋に代わることで少し感じた戸惑いもいつしか消えてなくなっていました。それはまさに、高木さんが「戻りたかった場所」に10年ぶりに帰ってきて、再会したばかりの時にはまだ少し離れていた心の距離が、このシーンを境に〝キュン♡接近〟したのと同じだったかもしれません。

再会当初2人の心の距離感は中学時代のままだった…


2人が初々しい青春時代を過ごした想い出の校舎のベランダで、10年前と同じように両手で作った双眼鏡を覗きながら美しい小豆島の景色を眺め、そのままお互いの顔を覗き見て笑い合うシーンが再現された時には涙が溢れそうになりました。劇場の客席で一緒に双眼鏡ポーズしそうになっている自分を必死に抑えるのが大変でした…

10年前と同じ場所での同じポーズにキュン死


映画のもう一つのクライマックスは、昔と同じ教室で席を並べて2人が互いに告白しあうラストの長回しのシーン。1回目の鑑賞と2回目とでは、このシーンの私の受け止め方がぜんぜん違っていました。2人の中学時代を知らなかった1回目の鑑賞の時は、私にはこのシーンの長いセリフが多少冗長に感じられたものでした。


劇場版最後のクライマックスは長回しの告白シーン

高木さんの真意が理解できない不器用で鈍感な中学時代の幼い西片と、そんな西片が「好き」の感情を理解して自覚するまで、健気に彼の心の成長を待ち続けた高木さん。そんな2人の「からかいの歴史」を知ったあとでは、このシーンの見方が大きく変わったのでした。

からかいながらも、いつも西片に優しかった高木さん


長台詞の末に、10年経ってやっと分かった高木さんへの「好き」の感情を自覚し告白できた西片と、10年間胸に秘めていた自分の気持ちをやっと包み隠さず表に出せた高木さんに、心の底から喝采を送っていました。私は時間を忘れ、大人になった2人の成長に目を細める親のような気持ちで、セリフ一語一語の重みを共有しながら見守ることができました。

高木さんが「戻りたかった場所」とは…


高木さんにとって〝からかう〟とは、自分の気持ちだけを先行させるのではなく、西片の心の成長も考えた〝好きよりもっと好き〟という愛情表現でした。そうやってずっと西片に告白しつづけてきた高木さんの気持ちを初めて真正面から受け止めた西片。高木さんがこの10年間ずっと「戻ってきたかった場所」とはこの島でも学校でもなく、10年経っても変わらず純粋な、そんな〝西片の隣〟だったのでした。ピュアな思春期の若者の10年越しの純愛物語が、しっかりと思秋期世代の大人たちの心にも穏やかで温かく尊いメッセージを届けてくれました。


再鑑賞した劇場版映画『からかい上手の高木さん』、スリルとサスペンスといった衝撃的な展開なんて1つもなくても、島の穏やかな自然の風景に安心して浸っているだけで、観る人の心に深く響く熱いメッセージを届けてくれる、そんな素晴らしい映画でした。ドラマ版を観た人もまだ観ていない人も、そしてまだ思春期の人たちにも、もう思秋期の人たちにも…超オススメのほんわか名作映画です゚・:,。☆



映画のパンフやグッズはもう買わないことにしてたのに…
西片役黒川想矢クランクップ

高木さん役月島琉衣クランクアップ