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高尾の森で、森林整備のボランティア「山のお手入れ」に行ってきましたあ~ᕕ( ᐛ )ᕗ

かつて日本には、人と自然が共生する里山という生態系がありました。人々は柴刈りや下草刈り、木々の枝払いをしながら山に入り、山菜などの自然の恵みを享受し、木を育て薪や炭といった生活品を手に入れました。また、稲を育てるために水を引き込んだ水田には、ゲンゴロウやタガメ、ヤゴといった水生昆虫が棲みつき、次には集まってきた虫たちをエサとするカエルや野鳥も集まり、人と野鳥や動物、昆虫といった生きものが絶妙に共存する楽園のような生態系を作り上げたのでした。

しかし、その後文明を発展させた人類は、薪や炭に頼らずともエネルギーを手に入れることができるようになり、さまざまなインフラ整備で里山以外からも豊富な作物を入手できるようになりました。こうして人の手が入らなくなった里山は次第に荒れ果て、背の高い木々や笹が生い茂る暗く湿った鬱蒼としたジャングルのような森に変わってしまいました。

足を踏み入れることすら難しくなった高尾の森に再び人の手を入れることで明るい森を取り戻し、さらには車椅子でも散策できるユニバーサルデザインの遊歩道や森の階段を設け、再び人と自然が共生する森に復活させようとする活動に携わる人たちがいます。今回その自然保護活動に参加してきました。
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雑木林の下草アズマネザサを、刈り込みバサミで刈り込む作業は、はじめは刈り込む笹と刈ってはいけない植物の見分けがつきにくかったのですが、次第に目も慣れ見分けがつくようになってからは俄然効率よく作業が進みました。七色の声を持つと言われる外来種のガビチョウ(画眉鳥)のさえずりをBGMに作業が進むにつれ、それまで鬱蒼としていた空間は雨上がりの明るい陽光が木の根元まで射し込むようになり、久しく浴びてなかった陽光を根元まで浴びた木々たちの喜んでいる声が聴こえてくるようでした。どんどん下草がなくなり明るく拓けてゆく達成感は格別のものがありました。
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昼食を終えたあとの午後の活動は、山の斜面に伸びたケヤキの間伐。伐採する場所までの勾配のきつい斜面を尾根伝いに登っていたその時のこと、目の前の足元をニョロニョロと這うヘビに遭遇しました(!)初めはアオダイショウかと思ったのですが、地元スタッフも珍しいと教えてくれたこの珍客は「ジムグリ」というヘビでした。写真撮影のあと放したとたん一目散に木の根元の土に潜り込んでいました。地面に潜るのが得意なヘビなのでジムグリ(地潜り)と言うそうです。
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作業場所に到着しました。私たち素人でも伐採できるくらいの太さの幹や、根元から2、3本株立ちしている細いものを中心にノコギリで切り倒します。枝がより多く茂った側を見極めながら木を切り倒す方向を決めます。倒す方向にまず三角に切り込みを入れ(受け口)、その切れ込みの少し上の反対側(追い口)から切り込むことで山の斜面に木を倒します。倒すときには周囲に声かけを行ない、事故のないよう慎重に倒します。細くてもそこそこの重量があり、持ち上げた時にも予期せぬ曲がりをもつ幹は思わぬ方向に倒れこみ、斜面で作業している周囲の人に思わぬ怪我を負わせる恐れがありました。
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普段は野生動物や自然の植物をいたずらに傷つけてはいけないと自覚しているので、山の樹木をノコギリで切り落とすことに、はじめは躊躇いがありました。しかし、午前中に体験した下草を刈り込むことで樹木の根元まで明かりを呼び込み森全体が喜んだ経験から、この幹を切り倒すことによってより多くの樹木たちが生気をとり戻すことがわかったので、躊躇いなく伐採することができました。

屋久島には自然災害などで倒れた屋久杉から新しい芽吹きが起こる「倒木更新」という自然のサイクルがあります。倒れてしまった命は死に絶えるわけではなく、世代交代を繰り返しながら新しい森林を継続するための役割を担っているのです。私たちの人間社会の教訓にもなる自然の営みです。
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下草刈りと同様、間伐の済んだあとの山の斜面は大きく拓けて明るく開放感ある空間に蘇りました。雨上がりで滑りやすく急勾配の山の斜面での作業は、踏ん張って立っているだけでも体力を消耗しましたが、次第に明るくなっていく森の変化に山の木立や周辺の植物たちも喜んでいるようで、短い中でも楽しく充実した時間を持つことができました。

人と自然が共生する環境を一つでも多く残し、次世代へ継承したいものです。