自分の今年の運勢を元旦あたりに占ったところ、”出遅れるが我慢が必要”と書かれていた。
占いとは大抵曖昧なもので、何が出遅れるのかまではわからなかった。
しかし、今日スーパーで買い物をしたことによって、それがはっきりとわかる瞬間がやってきた。
昼のスーパーは、主婦の人たちでごった返している。
俺は、年末の大掃除で使い切ってしまったカビキラーを買いにきた。
カビキラーを握り締め、会計を済ませようとレジに向かった。
レジには買い物客達が行列を作っていたが、その中でも一番空いてるレジを選び並んだ。
俺は、このレジで素早く会計を済まし、他のレジに並んでいる同期の連中の中で
一番にレジを抜け、ちょっぴり勝ち誇った顔でスーパーを後にするであろう輝かしい未来を
信じて疑わなかった。
しかし、その現実となるべき神話はもろくも崩れ去った。
一番目の客が老人で、なにやら会計に手こずっている。
小銭を出す手が震えている。ありがちな罠にはまった。
俺の輝かしい未来が遠のいていくのを感じた。
だが、次の客で挽回できるはず。
二番目の客は、なんといってもカゴの中の商品がネギとお刺身の二つぐらいだった。
この客のカゴの中を見て、このレジに並んだと言っても過言ではないくらいだ。
本日の最速レコード記録が出てもおかしくない。これは安心だ。
ただ一つ、この人もまた老人であるということを除いて。
たった一つの不安要素がまたもや本領発揮し、老人であることが故の
遅れが出た。致命的だ。
俺と同じタイミングで並んだ同期の連中はもう会計を済ませようとしていた。
俺の輝かしい未来は、この時完全に消えていた。
三番目の客は、老人ではなかった。さすがに3連続で老人が並んでる会計を
吟味した結果選んだりはしない。白いTシャツにジーパンという初期アバターのような
若いお兄さんだった。一瞬店員ともめていたが、大騒動にはならずに済んだ。
普通に会計を済まし、やっと首を長くして待っていた俺の番がきた。
きたはずだった。くるべきだった。こなきゃいけないはずだった。
が・・・事態が急変した。
店員が何やら、ネギを持って慌てた様子でレジを飛び出していった。
さっきの2番目の老人が買っていたネギだ。レジ台の上に置いたまま
カゴに入れるのを忘れてしまったらしい。
店員は老人を追いかけにいったんだろうけど、恐らくもういないだろう・・・。
誰もいないレジに俺は並んでいた。そこだけ時が止まっているかのようだった。
老人二人に大幅にロスさせられたあげくに、店員が失踪した。
信じられなかった。
隣のレジでは「お待ちのお客様どうぞ」と、新しくレジが開いて
俺の後ろに並んでいた客は、早々と移動し、会計を済ましていった。
次から次へと、その新しいレジには客が来たが、俺の後ろに客が
並ぶことはなかった。
その後、永遠とも思えるような長い時間の中
俺はただただ、レジに並んでいた。