前回の記事では「教えること」の弊害と「考えること」の大切さについて書きました。
それでは人を考えさせるにはどうしたらいいのでしょうか?
人を考えさせるために大切なことは、示唆を与えることです。
例えば、今扱っている問題と類似した問題を解説することで子どもに気づきを促す、
などがその具体的な方法の一つです。
ここで問題になるのは、教える側が適切なタイミングで、適切な順序で、適切な種類の示唆を与えられるかどうかです。
これらのことを適切に行うために必要なのは、今扱っている問題を俯瞰する視点です。
全体像が見えていて初めて、適切な示唆を与えることが可能になります。
スタート地点とゴール地点とそこまでの過程がある程度見えているからこそ、
適切な示唆を与え、他者を考えさせることが出来るのです。
だから例えば、ご家庭でお子さんと学習する際には、まずご自身がその内容を理解することです。
その上で、解き方という方法論を教えるのではなく、
様々なヒントを出してあげることで、お子さんに考えてもらうことが出来ます。
確かに、テストで良い点を取るためだけなら、どんどん方法論を教える方が近道なのかもしれません。
テストで良い点を取り、偏差値の高い大学に入って、
〇〇大学卒業の肩書きを頼りに生きていけた時代であれば、それは一つの正解なのだと思います。
しかし、そのような時代はもう遠い過去の話です。
今は、〇〇であること、ではなく、〇〇が出来ること、が求められる時代、
属性ではなく、能力で判断される時代です。
そんな時代に必要なのは、
苦痛を伴う受験勉強に耐えかつて社会から評価されていた属性を手にするための学習、ではなく、
考える喜びを伴うが故に誰から強制されずとも学び続けるようになるための学習、
ではないでしょうか。
現代は大人でさえ、3年先、5年先が見通せない時代。
そんな時代を生きる子どもたちに必要なものは、
自ら考える力です。
考えられる人とは、今まで考えてきた人。
だからこそ、日々の学習を通じて子どもたちを考えさせる必要があるのです。