公認会計士・税理士、高齢親の囲い込み解消コンサルタント 白岩俊正/静岡市・オンラインです。

 

 

はじめに:「虐待」とは限らない“囲い込み”の落とし穴

 

私たちは「虐待」と聞くと、暴力や暴言、ネグレクト(放置)など、目に見える行動を想像しがちです。

 

しかし、実はもっと静かに、家庭の中で進行する“見えない虐待”があります。それが「囲い込み」です。

 

 

 

囲い込みとは、高齢の親をきょうだいの誰かが自宅や施設に“閉じ込めるようにして”、他の家族と会わせなくする行為。

これは一見、親思いの行動に見えることもあります。

 

しかしその裏側には、支配欲・所有欲・孤立化など、家族の関係性に潜む深い問題があるのです。

 

この記事では、「囲い込み」という行為がなぜ“虐待”に近いといえるのか、その心理的背景と社会的リスクについて考えていきます。

 

 

 

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「囲い込み」はなぜ問題なのか?

 

囲い込みが問題になるのは、以下の3つの理由があります。

 

1. 親の「人権」が奪われる

高齢であっても、親はひとりの人格を持つ存在です。誰と会うか、どこに住むか、何を話すかは本人が選ぶ権利があります。しかし囲い込みが起きると、その自由が“子どもの判断”によって制限されてしまいます。

 

2. 家族間の関係性が断たれる

本来、親は「家族全員の親」であり、きょうだいそれぞれが親とのつながりを持つ権利があります。それが一方的に奪われると、家族全体の信頼関係や安心感が大きく損なわれます。

 

3. 孤立によって“心理的虐待”が起きる可能性

親が他のきょうだいと会えず、外部との接点も断たれた状態では、「情報遮断」や「コントロール」が起きやすくなります。これは一種の精神的拘束であり、長期化すれば心理的虐待に発展する危険があります。

 

 

 

見えない虐待の特徴とは?

 

“見えない虐待”には共通する特徴があります。たとえば、

 

  • 「あなたのためにやっている」と正当化される
  • 第三者(ケアマネ・施設職員)から見えにくい
  • 親自身が「私は大丈夫」と言ってしまうことがある

 

このような特徴があるため、周囲からは問題が表面化しにくく、長期間放置されやすいのです。

 


 

囲い込みが生まれる家族心理の深層

 

囲い込みは、単に「親を独り占めしたい」という感情だけではありません。背景には以下のような心理的構造が絡んでいます。

 

1. きょうだい間の競争意識

「誰が親の面倒を見ているか」「誰が親に信頼されているか」──無意識のうちにきょうだい間で優劣がつけられ、それが囲い込みへとつながることがあります。

 

2. 過去の確執や不満の再燃

幼少期からの親子関係や兄弟姉妹間の葛藤が、「親の晩年」という場面で噴き出すことがあります。囲い込みは、そうした未解決の感情の“復讐”のような形で現れることもあるのです。

 

3. 介護負担を抱える者の孤立

介護する側が他のきょうだいとの連携を断つことで、自分の意見を通しやすくなったり、負担への苛立ちを誰にも見せずに済むという“都合の良さ”が生まれます。しかしそれは、支配と孤立の悪循環です。

 

 


 

囲い込みを“虐待”として見抜く視点

 

行政や福祉、医療の現場では、囲い込みを“DV(ドメスティックバイオレンス)”や“高齢者虐待”として認識する動きも出始めています。以下のような兆候が見られるときには、第三者の介入が必要です。

 

  • 面会のたびに断られる、または曖昧にされ続ける
  • 親が他の家族に会いたがっている様子がある
  • 施設職員に「他のきょうだいには会わせないで」と言っている
  • 介護や金銭の使い方が一方的に管理されている
 

 

どう向き合えばいいのか?

 

囲い込みに気づいたとき、焦りや怒りを感じるのは当然です。しかし、まずは以下の3つのステップを意識してみてください。

 

1. 記録を取る

やり取りの日時や内容を記録しましょう。客観的な証拠が将来的に重要になります。

 

2. 第三者に相談する

ケアマネージャー、包括支援センター、弁護士など、感情的に巻き込まれていない第三者の力を借りましょう。

 

3. 親の意思を確認する

直接話せるなら「あなたはどう思ってるの?」と尋ねてみてください。本人の声こそが何よりの出発点です。

 

 


 

おわりに:“親を守る”とは誰のためか?

 

囲い込みは、「良かれと思って」が引き金になるケースも少なくありません。だからこそ、ただの家族間のトラブルではなく、心理的・社会的な“見えない虐待”として、冷静にとらえる視点が必要です。

 

親を守るという行動が、「支配」や「孤立」の道になっていないか──
本当の意味での“尊重”とは何か──

 

今こそ、家族の中で問い直す時です。

 

 

 

 

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