人間ですからね、どうしても「やるからには、うまくやりたい」という気持ちが働いてしまっても無理はありません。
例えば、電車に乗る練習をしようとしても、「乗れなきゃ意味がない」となれば、今はとても乗れる気もしないし、毎回のように乗れない体験を重ねてきていたら、どうしたって乗る練習が大切であっても、なかなかできないでしょう。
でも、ちょっとこう考えてください。
そうすれば今までの練習も、これからやる練習も無駄と捉えなくてすみますから。
電車に乗る練習をそのまま例にあげますが、そもそも電車が乗れることが最終目標である場合、電車に乗る練習が大事という前提はありますが、乗るより前に大事なことがあるのです。
まずは気付くことが大事なんです。
それは…
電車に対する、あなたの中の「物語」について。
以前は単なる乗り物にすぎなかった電車が、今やあなたにとって電車に対するイメージ、考えが変化しているわけです。
それらが邪魔をして電車に乗ることに抵抗してしまうのです。そんなイメージ、考えがなくなれば、以前のように何の解釈もなく、単なる乗り物にすぎない電車に普通に乗れるはず…そうではありませんか?
人の行動は言葉、考え、イメージに引きずられてしまうのです。目の前にしたとき、それは言葉、考え、イメージに現れるのです。それはあなたが行動を始めようとした時に顕著に現れます。
つまり電車に乗るより前に、それら考え、言葉、イメージが知らないうちに発せられているために、それらを鵜呑みにして、結果的にやめておこう…となるのです。
電車に乗るには、乗るという実際の行動も大事ですが、それがわかっているのにできない段階にあるものに関して取り組むには…
まずはその言葉、考え、イメージへの気付き、修正作業が必要ということです。そしてそれは現場で行わなくては意味がありません。
認知行動療法という言葉を聞いたことがあるかと思います。そして実際に体験したことがある人もいるでしょう。なかなか効果が伴わないのは、机上の学問にしているからです。
認知の歪みは現場で修正してこないことには、脳の認知の歪みの書き換えは行われません。家に帰ってきて、体験を振り返りノートに書きだしてもあまり大きな効果はありません。振り返って終わりになるからです。
大切なのは現場で味わう不快感、そしてそれに伴う、言葉、考え、イメージをリアルに現場で気付き、その場で言い換え(修正)をして、その後、あと一歩、進んでみることを練習していくのです。
例えば、電車に乗る練習の場合、電車に乗る前より、それは家を出る時、駅までの道中で、あなたは電車に対して何かしらの、言葉、考え、イメージを伴わせていることに気付くことが大切です。
そして駅に近くなるにつれ、それはよりリアルに強まっていくことを意識するでしょう。その頃には身体にも違和感を感じているかも知れません。
そんな自分のありさまに、ツッコミを入れるのです。そんな状態になっている自分を良し悪しつけることなく、そうなっているぞ!と実況中継するのです。
そうやって現場で修正をしていくと、しばらくすると不快感が軽減してきます。改札口が精一杯だった人が、改札口で修正していくと、それらが収まり、ホームへと、歩を進めることができるようになるのです。
そうやって現場で、自分の中の言葉、考え、イメージを修正しながら行動範囲の拡大をしていくのです。
認知の歪みは、気付き、そして理解、さらなる一歩を、その時の現場で体験すること。これなくして歪みの修正は不可能です。
ですから不快感に負けて、反射的にそこから離れてしまうと暗示効果が働いて、より認知の歪みの正当性を強く学習してしまいます。反射的に離れず、まさにその場で体験を修正をしながら、あと一歩と地味に範囲を広げていくのです。
根性で電車に乗ろうとしてはいけませんよ。
ここを間違えている人がとても多いです。
そんな人が必ず言う言葉があります。
「慣れなくてはいけませんね」
違いま〜す。
慣れは求めていくものにあらず、結果に過ぎません。慣れるために、強引にやっていても早々にして返り討ちにあいます。
正しい理解と、正しい取り組みをしていくことが、パニック障害の克服を可能にします。
気付き、理解、さらなる一歩。
この3つを現場でこなしていく練習が大事であることを覚えておいてくださいね。
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