先生！、最近目が覚めた途端、ものすごい発作症状に襲われる時があるんです。そのせいで、寝るのが怖くなっちゃって
眠れなくなるときもあるんです。
起きがけですか？ 朝、深夜問わずですか？はい、起きたらすぐって感じです。こんな人はいますか？
意外に多いです。私も起きがけは発作症状に見舞われる時がありましたよ。
その時はどのようにしたらいいんでしょうか。まず起きがけというのは、自律神経のスイッチが入れ替わっていく時間です。急激にエンジンがかかるわけではありません。少しずつ、あっちからこっちへと切り替わっていく感じです。パニック障害を患うと、このエンジンに不具合が生じ始めます。特に日常も発作症状がバンバン出ている時は、こうした朝を迎える人がいるようです。
何かが壊れていると…大切なのは、その状態に見舞われたときに、どのように対応するかです。私の場合は、その日によって、まちまちです。布団にくるまって、耐えるようにして鎮まるのを待つ時もあれば、起きてしまって、とりあえず動いて気を紛らわす事もあります。でもどちらも症状が大きく変わることはありません。３０分ぐらいしてくると、なんとかなるようですけど。
そうですね。パニック発作症状というのは、起きた時が発作症状のピークなんです。ここで何もしなければ、３０分もすると神経が鎮まってくるような身体の仕掛けがあるんですが、たいていの人は、発作症状をいじくりまわすんですね。だって、どうにかしたいじゃないですか！？眠っている時が一番、私にとっての天国なのに、起きるや否や地獄へ真っ逆さまです。
そんな時は誰かに、頭をハンマーで叩いて、気絶させてほしいぐらいです。
ハハッ（苦笑）、気絶ですか…どうしたらいいですか！？しばらくは、そんな日が続くのかもしれませんが、原因探しだけはしちゃいけません。それらしい原因が浮かんできても、それは単なる妄想であることを自覚することです。そして、とりあえず起き上がってください。一番いけないのは、布団の中で悶々としていることです。起きても布団の中にいても、発作症状の程度は大きく変わりません。
布団の中で妄想にふけっていると、思考はますます暴走してしまい、いらぬ不安を作り出してしまうので、とりあえずは起きちゃってください。
もちろん、なるべくそうしようと頑張っているんですけど、けっこうフラフラが強かったり、心臓がすごい音を立てて打っていたりして怖いんです。たしかに怖さ倍増ってところなのかもしれませんが、その症状は自律神経のスイッチの不具合による身体の反応に過ぎません。発作症状とは別物と考えてください。そのままにしておけば、それ以上の悪さもしないで、少しずつ治ってきますよ。なんとか起きたら、何かをし始めた方がいいのでしょうか。できる限り、朝起きて日常の雑事を始めていってください。いつもと変わらないことです。もちろんいつもより、ペースは落ちますし、どこか省くことにもなるかもしれませんが、それは仕方がありません。ただ、ここで大切なのは、動いて気を紛らわすということではないということ。
あくまで不快な発作症状、ドキドキ、クラクラはあることを受け止めながらも、それらと少しの間
、朝の日課をこなすということだけをしてください。
なんでもない日と比較せず、「おはよう！ メーチャン（めまいのこと）、ドキンくん（ドキドキ）、これからご飯作るから一緒に手伝ってくれる？」みたいなことを発作症状に向けて話しかけてください。
メーチャン？ドキンくん？
なんですか？それ？
発作症状や、不快な感覚に名前を付けて欲しいんです。擬人化してもらいたいんです。擬人化すると、自分の身に起きていることを、客観的な視点で眺めることができるようになってきます。
客観的に眺めるという姿勢が大事なんですね。そうです。好きにはなれませんが、「あなたの存在には気付いているよ」とメッセージを送った上で、朝の身支度を一緒にやろう！と誘うんです。誘いたくないなぁ…もちろん本音は嫌です。でも、発作症状、不快感を目の敵にしてはならないんです。ますます怖くなってきます。とりあえず、こっちの懐に取り入れてしまったほうがいいんです。もともと自分自身の中から生まれてきたものですからね。
はぁ…まぁ、そうなんですけど…納得いかない気持ちはわかりますよ。なかなか、うまくできずに、ガッカリって日もあるでしょう。でも諦めないでくださいね。うまくいかない日も、水面下ではちゃんと発作症状との関係性が構築されていますから。水面上に浮上してくるまでは、しばらく訓練です。
うまくいかなくても、挨拶して、名前を付けた発作症状や不快感と共に、するべき事をしていけばいいんですね？ これは朝だけの事ではないですよね？そうですね。日常でやってきてしまう発作症状、予期不安にも有効です。まずは、挨拶をして、あなたの存在（症状）を知っているよとメッセージを送り、今やっている事を、一緒に取り組んでもらうことを言葉にするだけです。それだけでいいんですか？もっと他にやることは？
ここが罠で、あまり色んなことをやってしまうということは、発作症状を目の敵にして、どうにかしてやろう、コントロールしてやろうという意識が働きます。それは受け入れるという姿勢ではないので、自分と切り離された発作症状は、さらに強くなってしまうんです。だから、抵抗するよりも先に、こちらから歩み寄って、自分のものにしてしまうんですね？そういうことですね。元はと言えば、自分の中から生まれてきたものですから、本来悪気はないんですよ。
だったら、挨拶したら、むしろ抱きしめちゃおう！ってどうですかね？それもいいですね。大泣きして泣き止まない子供を、抱きしめてあげると、勝手に少しずつ鎮まるでしょ？
それと一緒と考えてみるといいですね。
たしかに！これも合わせてやってみようかな。コツはあまり、やりすぎないこと。あまりそこに集中するということは、コントロールしている魂胆ミエミエなので、いったんその言葉を放ったら、あとはそのままにして、やるべき事に意識を向けるようにしてくださいね。こうした訓練を続けていけば、朝の不快感も和らいできますし、起きてすぐに始まる発作症状の頻度が減ってきますよ。
わかりました。朝、起きて発作症状が出てきたら、とりあえず、「おはよう！」で一緒に起きていくようにしてみます！ 朝ごはんを一緒に食べられるといいな…
