前触れもなく、突然の発作症状に見舞われる事が、しばしばあります。そんな時、どうしても慌ててしまい、発作症状に飲み込まれてしまいやすいものです。「言葉の誘導」で、飲み込まれている自分を「今ここ」へと取り戻していきましょう。
突然起こる発作症状ってありますか?
というと?
今までは、何となく予兆がわかって、構えていられる事があったのに、突然何の理由もなく、やってくるんです。
何の理由もなく?
はい。先生のおっしゃるように、何か知らないうちに考えていた事が、形になるって感じじゃないんです、最近。
なるほど。
理由はどうであれ、大切なのは発作症状が出たときに、あなたがどのような態度をとるかが重要ですよ。
はい。それはわかっています。
でも、あまりに突然でとても実況中継なんてやっていられなくて…
そうでしたか。
確かに、急に起こる発作症状を落ち着いて受け取ることなど、なかなかできたもんじゃありませんよね。
私にもそんな事がありましたよ。
まずは、慌ててしまうこと、どうにかしようと躍起になってしまっている自分を否定しないでください。
その上で、普通より、少しだけ大きく息を吸って、そうしたら、「フッ」と短めに息をため息のように、吐き出してください。
呼吸法は時々やっています!
その呼吸法ってどんなものですか?
リラックスするために、息をできるだけ深く、長くゆっくりとやっています。前に通院していた心療内科の先生に教えてもらいました。
どうですか?効果は?
んー、なんとも言えないです。
余計に苦しくなる時もあって…
そうですね。かえって不快感にとらわれる事があります。リラックスしようとすること自体が、症状と戦っている状態ですから、ますます症状は大きく感じられるようになってしまうんです。
そんな時にやる呼吸法は、リラックスするためではなくて、今にいない自分を取り戻すためのキッカケにするために使います。
それがため息なんですね。
短く「フッ」と吐くだけでいいんですか?
はい、その後、言葉を使って、さらに自分の意識を「今ここ」に戻していきます。
そのままのセリフを、この後の手順を踏んでやってみてくださいね。
はい。ちょっとメモしておきます。
まず、ため息でしたね。
そのあとに…
「そうきたかぁ!、なるほどねっ!」と言います。この言葉は少なくとも症状と戦ってはいません。むしろ症状の存在を認めていますね。
確かに、「そうきたかぁ!」って、ちゃんと症状を見ていますよね。で、「なるほどねっ!」で受け入れている。
まぁ、100パーセントではないにしても、言葉で自分の置かれた状態を客観的に見ることに成功しています。
これだけでいいんですか?
あと二つあります。
次は、「で? 何か?」です。
とりあえずは、耳を貸しますよという状態にします。
ちょっと高飛車ですね(苦笑)
ハハッ、確かに。
「で?何かご用ですか?」でもいいですよ。
どちらにしても、この質問をしたからといって、症状から何か返答があるわけではないです。
この言葉を次の言葉へ繋げていく過程で、簡単に「今ここ」へ自分を誘導できます。
自分で質問していくうちに、知らないうちに「今ここ」の状態になっているんですね。
そうです。
はい、それで最後の言葉です。
「そもそも、私、◯◯やっているんだよね」です。
あっ!「そもそも何やっているんだっけ?」ですよね、それ。先生から聞いたことあります!
そうです、その変法です。
「そもそも」という言葉自体、あっという間に自分の意識を「今ここ」へと持っていく事ができます。そして自らが、自分の行なっていることを言葉にするということは、自分の今に完全に戻ってきている状態となります。
まとめさせてください。
ため息のような呼吸を一度やって…
「そうきたかぁ! なるほどねっ!」
と症状を認めて…
「で? 何かご用ですか?」
と症状に聞いてみると…
最後に…
「そもそも、私、◯◯やっているんだよね」
と、そもそもの自分を言葉にするんですね。
そうです。その通り!
こうしたことをやっていないと、こんな急な発作症状には、皆飲み込まれてしまいます。
すこしでも、飲み込まれそうになっている自分を言葉でコントロールしていくんです。
これも訓練ですね。
その通り。よくおわかりで。
継続は力なり!
そうです!
「やってやれないことはない、やらずにできるわけがない」です!
わかりました。やってみます!