第2次南北戦争の兆しが見えてきた | 【ヒト・モノ・カネをテキサスへ】

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1週間前に新南部連合の話(『丸亀うどん / 武器を使わない「南北戦争」再発か』参照)をしましたが、今回は藤和彦さんの面白い記事を見つけたので、紹介させて頂きます🇺🇸

特に佐藤賢一さんが2006年に書き上げた「アメリカ第二次南北戦争」を現状に置き換えているところが興味深い🧐

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中野塾長【メンバー向け限定動画】にて私の紹介をして下さりました🙏

 

米大統領選、バイデン当選確定で更に深まる分断 第2次南北戦争の兆しが見えてきた (2020/12/21 デイリー新潮 藤和彦)

ジョー・バイデン氏

 

米大統領選は12月14日、選挙人投票でバイデン前副大統領の当選が確定した。バイデン氏は正式選出後の演説で「私に投票しなかった人々のためにも懸命に働く」と国民の結束を訴えたが、事態はむしろ悪化している。

 

テキサス州共和党のウエスト委員長は12月12日、米連邦最高裁判所がテキサス州主導で大統領選の激戦州の投票を無効にするよう求めた訴訟を退けたことを不満として、「新南部連合」の結成を呼びかけたのだ(12月14日付FNNプライムオンライン)。

 

この訴訟は、「ジョージア、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの4州で大統領選挙が不正に行われた疑いがあり、投票ではなく州議会が大統領選挙人を選出すべきである」としてテキサス州が起こしたもので、フロリダ、テネシーなど17州と106人の連邦下院議員が原告として名を連ねた。これに対し、連邦最高裁判所は「テキサス州は提起する法的権利を有することを証明できていない」と門前払いの形で提訴を却下したことから、ウエスト氏は「この判決は『州が連邦憲法に違反してもかまわない』という判例を確立したことになる。この事態を重く受けとめ、我々は連邦憲法を遵守する連合国家を形成すべきなのかもしれない」と訴えた。

 

南部連合(米国諸州連合)とは、1861年に始まった南北戦争で、米国合衆国と戦った米国南部の諸州が結成した国家のことである。南部の綿花農園主などの支持を受け、「黒人奴隷制の維持拡大」、「自由貿易主義」、「反連邦主義」などの共通する理念があった。

 

1860年11月、奴隷制反対を掲げる共和党のリンカーンが大統領に当選したことを受け、翌12月にサウスカロライナを皮切りに、ミシシッピ、フロリダ、アラバマ、ジョージア、ルイジアナ、テキサスの7州が合衆国からの離脱を決定した。1861年2月にミシシッピ州の民主党員であり、合衆国の公務にも従事していたデイヴィス氏が南部連合の大統領に選出され、同年4月に南北戦争が勃発したが、南部連合は南北戦争に敗北したことで1865年4月に消滅した。

 

以上が南部連合についてのおさらいである。今回のウエスト氏の呼びかけが直ちに新南部連合の結成につながる可能性は低いだろうが、現在の米国全般の状況は、1世紀半前の米国の南北分断を彷彿させるものがある。

 

米国では2018年以来、3人に1人の国民が「5年以内に第2次南北戦争が起きてしまう」と懸念する状況が続いている。民主党支持者が理想とする「多様性に溢れた米国」とトランプ支持者が夢見る「古き良き真の米国」の間の溝は、19世紀半ばの亀裂の幅以上に大きいのかもしれない。

 

現在の米国の政治状況を見て異例だと思えるのは、2大政党の中で社会主義を掲げる政治家(サンダース上院議員)が2度も大統領候補になりかけたことである。サンダース氏率いる左派が台頭した背景には、若い有権者が社会主義的な政策に期待していることがある。2019年11月の世論調査では、23~38歳世代の49%が「社会主義という言葉を好意的に見ている」と回答している。左傾化の裏にあるのは、大学学費ローン返済難に象徴される若者の困窮化であり、世代間格差という深刻な問題である。1940年代生まれの世代は9割が親の所得を超えられたが、1980年代以降は半数にとどまる。ミレニアル世代以降にとって、「アメリカンドリーム」は今や現実味のない、昔話にすぎなく、社会主義こそが正義というわけである。

 

一方、トランプ大統領がバイデン氏のことをたびたび「社会主義者の操り人形」と揶揄したように、トランプ支持者にとって「社会主義」ほど忌まわしい言葉はないだろう。

 

19世紀半ばの米国が「奴隷制」を巡って対立したように、現在の米国は「社会主義」を巡って分断が加速していくのではないだろうか。

 

バイデン氏自身は民主党内の中道派とされているが、当選の原動力の一つとなった党内左派の意向を無視することはできなくなっている。副大統領に就任するハリス氏はその投票歴から100人の上院議員の中で「最も革新的(社会主義的)」だと言われている。

 

それでは今後米国で、頻発する暴動から大規模テロの応酬に発展し、ついには21世紀の南北戦争が勃発してしまう可能性はあるのだろうか。

 

将来についての大胆予測については、小説家の想像力が役に立つ場合がある。

 

筆者がかねてより注目しているのは、中世から近世にかけての欧州を舞台にした歴史小説を多数執筆している佐藤賢一氏が、2006年に書き上げた『アメリカ第二次南北戦争』という近未来小説である。

 

小説における南北戦争勃発までの筋書きは以下の通りである。2013年、テキサス州ダラスを訪問中の女性大統領が暗殺される。これにより自動的に大統領となった黒人副大統領は、銃規制強化を強権的に実施する。これに猛反発した南部諸州が合衆国を離脱し、第2次南北戦争となるというものである。注目すべきは、(1)登場する大統領や副大統領の属性が「女性」と「黒人」というマイノリティーであること(2)選挙で選ばれていない副大統領が大統領になること(3)国民の半数が反対する政策を実施すること、である。

 

これを現在の状況に置き換えてみると、バイデン氏が高齢などを理由に任期途中で大統領を辞任し、代わってハリス大統領が誕生し、ハリス氏が強権的な手法で社会主義的な政策を推し進めた結果、トランプ支持者が猛反発して、国中が大混乱に陥るということになる。筆者の妄想は脇に置くとしても、米国は今後もますます「内向き」化していくことだけは間違いないのではないだろうか。

 

藤和彦
経済産業研究所上席研究員。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)、2016年より現職。

 

 

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