今回は産経新聞でロサンゼルス支局長も務められた岡田敏一さんのエンタメよもやま話よりチャイナ・ウォッチ(チャイナ・デーリー発行)の記事を紹介🇨🇳
欧米主要紙に収入をもたらす「中国折り込み新聞」、その脅威 (2020/12/20 SankeiBiz 岡田敏一)
【エンタメよもやま話】欧米で問題化「チャイナ・ウォッチ」
今回は、中国当局が海外で仕掛ける“メディア戦略”についてご説明いたします。これまでは主にテレビ局が舞台でしたが、それ以外のメディアでも着々と進んでいます。
米デラウェア州ウィルミントンで話すバイデン次期大統領。今後の対中戦略に注目が集まる=11月(ロイター=共同)
なかでも、昨今、欧米で問題化しているのが、中国共産党傘下の英字紙、チャイナ・デーリーが発行する月刊の折り込み新聞「チャイナ・ウオッチ」です。チャイナ・デーリーは1981年6月に北京で設立。米国のニューヨークやワシントン、英ロンドン、ネパールのカトマンズなど、海外の主要都市で発行されています。その目的は、当然ながら、中国に都合の良い話を英語圏に広めることなのですが、そんな同社の“突撃隊”ともいえる媒体が「チャイナ・ウオッチ」なのです。
この折り込み新聞、表向きは“広告”として欧米主要紙に何げなく折り込まれているのですが、内容は完全な中国のプロパガンダ(宣伝)。つまり中国側は、チャイナ・デーリー社を介し、自分たちに都合が良い解釈が満載のこの折り込み新聞を欧米など海外で普及させるべく、さまざまな名目で欧米の主要紙などに大金を投入しているのです。
11月24日付の米FOXニュース(電子版)などによると、チャイナ・デーリー社が米大手紙などに対し、この折り込み新聞を入れてもらうための広告費や印刷費として、この半年間だけで約200万ドル(約2億円)を投入していたことが明らかになっています。
外国代理人登録法(FARA)に基づき、米司法省に開示された活動内容や財務状況から判明したのですが、具体的には、今年の5月から10月までに、広告費として、ウォールストリート・ジャーナル紙に8万5千ドル、ロサンゼルス・タイムズ紙に34万ドル、米外交誌フォーリン・ポリシーに10万ドル、英紙フィナンシャル・タイムズに22万3700ドル、カナダ紙のグローブ・アンド・メールに13万2千ドルをそれぞれ支払っていました。
また、印刷費の名目で、5月から10月までに、ロサンゼルス・タイムズ紙に11万ドル、ヒューストン・クロニクル紙に9万2千ドル、ボストン・グローブ紙に7万6千ドルをそれぞれ支払っていました。その総額は115万5千ドルで、100万ドルの大台を超えていました。
こうしたチャイナ・デーリーの米国での支出は、2009年の上半期は50万ドルでしたが、19年後半には500万ドルと10倍に急増(今年2月18日付の英紙ガーディアン電子版など)。実際、ウォールストリート・ジャーナル紙には16年11月から今年4月までに、記事広告の名目で600万ドルがチャイナ・デーリー社から支払われていました。またワシントン・ポスト紙には16年後半から昨年10月までに460万ドル、交流サイトのツイッター社には16年から今年4月までに26万ドルがそれぞれ、支払われていました。
こうした巨額の資金投入の最大の目的が「チャイナ・ウオッチ」の普及なのです。その発行部数は全世界で約400万部。折り込みだからと軽視できる数字ではありません。
ロサンゼルス・タイムズ紙では今年7月から8ページの「チャイナ・ウオッチ」の折り込みを始めましたが、その内容は、中国の経済とビジネスの将来はバラ色であると解説。さらに、11月2日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が、世界保健機関(WHO)による新型コロナウイルス感染症の起源解明に中国政府が非協力的だと報じた後も、米国と中国は良好な関係を維持していると強調し、中国が新型コロナの感染拡大を封じ込める初動対応に失敗したことには一切、触れていませんでした。
完全なる宣伝である事に気付かない
米有力シンクタンクのハドソン研究所では、中国が海外でどのように影響力を行使するかをまとめた18年の報告書で「チャイナ・ウオッチ」について「知識がある読者は、こうした広告媒体の内容をうのみにはしないが、これが中国共産党の完全なる宣伝であることに気付かない人がいるかもしれない」などと説明。同研究所の専門家は米FOXニュース(電子版)に、「チャイナ・ウオッチ」のような媒体は、何も知らない米国人ならその内容を信じてしまうとの懸念を示したうえで「こうした広告の類いは、キャッシュが枯渇する米国のメディア企業に相当額の収入をもたらすだろう。そして、この寄生的な関係から抜け出すのは困難になるだろう」と述べました。
とはいえ、いくら「チャイナ・ウオッチ」で自国を自画自賛しても、世界で初めて新型コロナの感染が拡大したのは武漢市とあって、新型コロナの感染拡大以降、中国に対する米国人の印象はどんどん悪化しています。
米国の調査機関「ピュー・リサーチ・センター」が今年7月に実施した調査によると、中国を批判的に見ていた米の成人は全体の73%で、18年と比べて26ポイントも増えていました。そして、こうした中国に対する批判的な見方は、今年3月から7月の間だけでも7ポイント増加していました。新型コロナに対する中国の初動対応への反感が原因とみられており、この問題で「チャイナ・ウオッチ」は、中国側が意図した効果を発揮してはいないようです。
欧米では、主要紙が距離を置き始めています。米国では保守系の政治ニュースサイト、ワシントン・フリー・ビーコンのように、チャイナ・デーリー社との関係を完全に断ち切るメディアも出ています。
とはいえ、ネットの普及で苦境に立つ海外の新聞やテレビ局に資金面から影響を及ぼす中国当局の狡猾(こうかつ)な“メディア戦略”は、今後も手を替え品を替え、継続するとみられています。
【プロフィル】岡田敏一(おかだ・としかず) 1988年入社。社会部、経済部、京都総局、ロサンゼルス支局長、東京文化部、編集企画室SANKEI EXPRESS(サンケイエクスプレス)担当を経て大阪文化部編集委員。ロック音楽とハリウッド映画の専門家。産経ニュース( https://www.sankei.com/ )で【芸能考察】【エンタメよもやま話】など連載中。京都市在住。
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