セブン&アイ、米コンビニを2.2兆円で買収 | 【ヒト・モノ・カネをテキサスへ】

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今年2~3月にかけてセブン&アイが買収交渉をしていた件(『防大名物堪能 / セブン&アイ米国にて1万3千店規模へ』参照)、当時は価格面で折り合わず決裂しましたが、新型コロナウイルスの影響でこの大型買収が成立した話📰


セブン&アイ、米コンビニ首位固め 再挑戦で2.2兆円買収 (2020/8/3 日本経済新聞 池下祐磨・栗本優)

セブン&アイは米国のコンビニ業界で最多の店舗数を誇る(写真はガソリンスタンド併設店)

 

セブン&アイ・ホールディングスが約2兆2千億円もの巨額投資で米3位のコンビニエンスストア買収を決めた。今春に独占交渉に持ち込みながら一度は破談。2度目のチャンスを執念で物にした。新型コロナウイルスの感染拡大で、米国ではリアルとネットの融合が急速に進む。世界最大級の市場で首位の座を盤石にし、デジタル対応を加速させ米アマゾンなどに対抗する狙いがある。

 

「コンビニを軸としたグローバルリテーラーの一歩を踏み出す歴史的な節目だ」。3日午前の電話会見で井阪隆一社長は興奮気味に語った。

 

セブン&アイが買収するのは、米石油精製会社マラソン・ペトロリアムが展開するコンビニ併設型ガソリンスタンド部門「スピードウェイ」だ。買収額は210億ドルで、新型コロナの感染拡大後では、世界のM&A(合併・買収)で最大規模になる。18年に31億ドルで買収した米国の中堅コンビニエンスストア、スノコLP(テキサス州)を大きく上回り、セブン&アイにとっても過去最大の投資案件になる。

 

セブン&アイにとって2度目の交渉だった。今春に独占交渉に持ち込んだものの、価格面で折り合いがつかなかった。マラソンが提示した価格は220億ドルとされる。「高すぎる」。セブン&アイの取締役会ではこんな声も上がり断念した。

 

だが、現地で指揮を執る米セブン―イレブンのジョセフ・デピント社長が諦めてはいなかった。同氏はマラソンがスピードウェイの売却方針を明らかにした19年10月以降、セブン&アイの取締役会に買収を提案してきた。

 

セブン&アイにとってスピードウェイは、米コンビニ市場で一気に規模を拡大するための「ピース」だ。米国首位の約9千店を展開する傘下の米セブン―イレブンに約4千店のスピードウェイが加われば、約6千店で米2位のカナダのアリメンテーション・カウチタードに2倍以上の差を付けることができる。

 

スピードウェイのガソリンスタンド併設型のコンビニ(右奥、ニューヨーク)=共同

 

米経営コンサルタントのアリックスパートナーズによると、米国コンビニ市場の総店舗数は19年に約15万3千店。個人事業主や中堅企業が大半を占め、上位10社のシェアはわずか20%だ。数千店規模の買収案件はめったにない。競合に奪われれれば、首位の座も揺るぎかねない。

 

新型コロナによる消費行動の変化も後押しした。米国では感染対策で注文はネット通販で行い、受け取りは自宅近くの店舗で行うピックアップ方式が広がっている。日本と異なり自宅までの配送網が整備されていない地域が多く、自宅で受け取るには時間がかかるためだ。セブン&アイ幹部は「自宅に近い店舗の拠点として価値と可能性は大きい」と強調する。

 

諦めなかったセブンにチャンスは不意に訪れた。先進国で感染拡大のペースがやや和らいできた6月。マラソンはスピードウェイの売却に再度、動き出した。原油安で本業の石油精製事業が厳しく、キャッシュの確保を迫られたとみられる。オークション形式に切り替え、セブン&アイを含む欧米の4~5社から買収金額の提示を求めた。

 

セブン&アイは改めて買収スキームを精査し、買収後に一部資産を売却するなどの手を打てば約210億ドルの買収負担を、実質は120億ドル程度まで抑えられるとはじいた。7月半ばに取締役会で再度、買収に乗り出すことを決議。マラソンによる入札に応じた。それでも競合も多く勝てる確率は「5割も行かなかった」(関係者)。買収に成功したのは「奇跡に近い」と漏らす。

 

ジョセフ社長は3日に開いた会見で、米国での宅配などデジタル投資を加速させる考えを強調した。米国ではコンビニ首位とはいえ、米ウォルマートなどに比べると存在感は小さい。アジアでも出店を加速させる方針だが、世界最大級の米国でブランド力を高めて、世界展開を加速させる思惑もある。

 

もっとも、ガソリンスタンド併設型だからこそのリスクもある。一つはガソリン需要。スピードウェイの店舗は売り上げの約半分がガソリンだ。世界的に環境規制が強まるなかで、米国でも中長期的にはガソリン車から電気自動車(EV)へのシフトが進むとみられる。セブン&アイはガソリンビジネスは中期的に安定するとにらみつつも、ガソリンへの依存を徐々に減らし、日本同様に食品を中心として店舗運営への転換を急ぐ。

 

加えて、ESG(環境・社会・企業統治)投資の流れもある。そうしたリスクを市場も警戒する。3日の東京株式市場で、セブン&アイHDの株価は急落し、一時前週末に比べ8%安となった。成熟化する国内事業を補うだけでなく、セブン&アイ全体を成長軌道に導けるか。もう後戻りはできない。

 

 

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