映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるめっちゃコスパの良いエンタメ……。
これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍からようやくかつての日常を取り戻しつつある現代社会いおいて、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。
▼『映画を語れてと言われても』

第二三四回・第九シーズン・フィナーレ『心臓に悪いよトム・クルーズ!!“ミッション:インポッシブル/フォールアウト”』
(※本文章には、前作である『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』の結末に関するネタバレが含まれております)
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』
2018年公開
監督:クリストファー・マッカリー
脚本:クリストファー・マッカリー
原作:『スパイ大作戦』ブルース・ゲラー
音楽:ローン・バルフ
出演:トム・クルーズ ヘンリー・カヴィル ヴィング・レイムス サイモン・ペッグ レベッカ・ファーガソン ショーン・ハリス アンジェラ・バセット アレック・ボールドウィン
あらすじ
アメリカはCIAの下部組織〈IMF(インポッシブル・ミッション・フォース)〉のエージェント、イーサン・ハント(演:トム・クルーズ)は、以前こなした任務(『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』参照)にて逮捕したテロリスト、ソロモン・レーン(演:ショーン・ハリス)が率いていたテロ組織の残党が、新組織アポストルを名乗り活動を再開し、旧ソ核施設から盗まれた三個のプルトニウム球をギャングから購入し、核爆弾テロを画策しているという情報を受け、その阻止の為にベルリンへと向かう。
チーム仲間のベンジー(演:サイモン・ペッグ)とルーサー(演:ヴィング・レイムス)と共に、自分達をアポストルの一味と偽ってギャングと取引し、プルトニウムがテロ組織へ渡るのを阻止しようと試みたイーサンであったが、割って入ってきたアポストルの一味からの攻撃を受け、プルトニウム球はアポストルに奪われてしまう。
この事態に際し、アポストルのボス“ジョン・ラーク”なる人物からの発注で、プルトニウムを使った核爆弾の設計を行った科学者デルブルックを捕縛したイーサンは、彼を巧みに騙すことで、彼のスマフォのパスワードを訊き出し、スマフォ内のアポストルに関する情報の入手に成功する。
スマフォから、パリのクラブで武器商人ホワイト・ウィドウ(演:ヴァネッサ・カービー)より、ジョン・ラークが残りのプルトニウムを購入しに現れるとの情報を得たイーサン達は、早速その取引にジョン・ラークに変装の上で介入し、プルトニウムを回収する計画を立てる。
しかし、最初の任務でプルトニウムをアポストルに奪われた失敗から、CIAからお目付け役として、エージェントのウォーカー(演:ヘンリー・カヴィル)がイーサンと同行することとなってしまう。
険悪なムードと成りながらもパリの巨大クラブに潜入し、現れたジョン・ラークと思しき人物と接触し、彼を昏倒させた上でその人相をスキャンし、変装用マスクをその場で製作し、ジョン・ラークになり替わろうとするイーサンとウォーカー。
だがジョン・ラークが予想外に抵抗したため格闘となり、殺されかける二人。
そこを間一髪でイーサンを救ったのは、かつてソロモン・レーン逮捕時に、イーサンと知り合った元イギリスの女スパイのイルサ(演:レベッカ・ファーガソン)であった。
だが銃でジョン・ラークの顔を撃った為に、ジョン・ラークへの変装が不可能になってしまう。
やむなくイーサンは、ホワイトウィドウがジョン・ラークの顔を知らない可能性に賭け、素顔のままジョン・ラークを名乗りホワイト・ウィドウとの取引に赴くことにするのであった。
はたしてイーサン達はプルトニウムを確保し、世界を核爆弾の危機から守ることができるのであろうか!?
さて本コーナーも語りに語りてついに第九シーズン・フィナーレ(1シーズン2クール13回制度を採用)となりました!
その記念すべきシーズン・フィナーレを飾る作品は!
トム・クルーズが製作・主演した大人気シリーズの第6弾!
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』です!
……と、本題を語る前に、まず『ミッション:インポッシブル』シリーズとは何ぞや? という方に一応説明しておきますと、
アメリカ政府のスパイ組織IMF所属のトム・クルーズ演じる凄腕エージェントのイーサン・ハントが“絶対不可能”なミッションに挑み、世界を危機から救う映画シリーズです。
そして人気TVドラマからのリメイク作品でもあります。
くわしくは、第一一七回『アクション俳優トム・クルーズ:ビギニング“ミッション・インポッシブル”』
……をご覧ください。
……ってなわけで主演、のみならずプロデューサーは皆さまご存じの世界のトム・クルーズ。
本コーナーで言えば『アウトロー』や『宇宙戦争』、『トップガン;マーヴェリック』や『オール・ユー・ニード・イズ・キル』などの数々のヒット作だけでなく、本シリーズの第一作『ミッションインポッシブル』を自らプロデュースしつつ主演をこなしながら全8作も作り続けてきた超人みたいなお方です。
演技も出来るザ・イケメン俳優として、1980年代のハリウッド映画業界で活躍していたはずが、いつの間にかジャッキー・チェン顔負けの命掛けのスタントジャンキーとしても知られるお方です。
そしてそんなトムの監督および脚本を任されたのはクリストファー・マッカリーってお方。
本コーナーでいえばトム演じる元軍警察だった放浪者が、とある街です起きた無差別狙撃事件に挑む『アウトロー』をトム・クルーズと組んで撮ったお方。
元々は名作ミステリーサスペンス映画『ユージュアル・サスペクツ』の脚本家としてハリウッド映画界で頭角を現した人です。
そしてその『アウトロー』で余程トムと意気投合したのか、以後トム・クルーズ主演の『ミッション・インポッシブル:ローグネイション』、本作『ミッション・インポッシブ:フォールアウト』を撮り、さらの続く『ミッション・インポッシブル:デッドレコニング』の『ミッションインポッシブル:ファイナルレコニング』と、四作も監督を務めることと相成りました。
トム・クルーズと最も長くかかわった監督かもしれません。
その監督としてのスタイルはカリカリに研ぎ澄まされた緊張感とリアリティです。
実際トム・クルーズが気に入るのも頷けるってなもんです。
本作ではトムのスタントと、マッカリー監督が醸し出す緊張感で、筆者は下手なホラー映画よりも余程ドキドキしたものです。
で、そのトム・クルーズの無茶に付き合わされる共演は!?
『ミッションインポッシブルⅢ』で初登場し、以後イーサンの良き相棒にしてシリーズの癒し枠となるベンジー役にサイモン・ペッグ。
本コーナーで言えばエドガー・ライト監督作のゾンビコメディ映画『ショーン・オブ・ザ・デッド』で主演し、さらに『スタートレック(2009)』以後のシリーズ三作で、エンタープライズ号の機関長スコッティを演じたイギリスを代表するコメディ俳優にしてオタク俳優です。
本作では地味にアクションも頑張ってるんです!
また前作『ローグネイション』から登場した元MI6の凄腕女スパイのイルサ役にレベッカ・ファーガソン。
MIシリーズへの出演以後、『グレイテスト・ショーマン』や『デューン:砂の惑星』『ドクター・スリープ』など、数々の大作映画に出演している売れっ子美人女優です。
このお方もトム・クルーズに付き合わされてなかなかのアクションを見せてくれます。
さらにトム・クルーズ演じる主人公イーサンのお目付け役としてCIAから送り込まれるエージェント、ウォーカー役にヘンリー・カヴィル。
ザック・スナイダー監督版のスーパーマンとして『マン・オブ・スティール』以下のDCヒーロー映画で活躍したことで有名な巨漢俳優です。
この人もトム・クルーズに突き合わされて無茶なアクションに……(以下略)。
その他、イーサンの良き理解者としてシリーズ全てに出演しているルーサー役にヴィン・グレイムス。
前作に続いて登場するテロリストの親玉ソロモン・レーン役にショーン・ハリス。
『エイリアン』前日譚映画の『プロメテウス』で、大変なことになるモヒカンの科学者ファイフィールド役だった人です。
イーサン達のボスであるIMFの長官役に『レッドオクトーバーを追え!』主演のアレック・ボールドウィン。
イーサンの元奥さん役に『MIⅢ』から続投してるミッシェル・モナハン。
プルトニウムを売買しようとする女武器商人ホワイトウィドウ役に『ワイルドスピード:スーパーコンボ』やMCU版『ファンタスティック4』のヴァネッサ・カービーなどなどが出ております。
全体的に見て、スター、ベテラン、ムードメイカー、後のスターとなる新人など、老若男女とり合わせた『ミッションインポッシブル』シリーズの中でもとてもバランスが良いキャスティングな気がします。
あるいは単に筆者の推し俳優が出てるだけとも言えます。
そんな本作、公開時はなかなかド派手に大ヒットし、シリーズの中でも屈指の成功作となったようです。
筆者も公開と同時に劇場に足を運び、大いに満足して帰路についたものです。
本作の成功が、続くミッションインポッシブル・シリーズの方向性を決めたのではないか? と筆者が思う程です。
それほどまでに本作はヒットし、評価され、そして筆者もまた今期のシーズン・フィナーレを飾るのに相応しい作品と判断したわけです。
はたして、それは何故なのか?
今回は一言で表してみると、凄く……『バランス』が良かったから!! ……と、筆者は考えます。
この場合のバランスとは『脚本』と『トム・クルーズの無茶なスタント』のバランス……が良かったように思うのです。
……思えば、トムによってリメイクされた『ミッションインポッシブル』シリーズには、他のトム作品にはない、TVドラマ版『ミッションインポッシブル』からも続くお約束があります。
・完全な別人になれる“マスク”を用いた潜入ミッション。
・厳重な警備がしかれたどこかへ、とんでもない無茶な手段で潜入し、何かを奪うという不可能作戦が立案され、それつつがなく上手くいった場合を映像にして一回見せる。
・アメリカのスパイ組織のくせにやたらロンドンに行きたがり、迷惑をかける。
……などなどです。
それら自体は、スパイ映画を作るならば特段珍しいことでは無いと思うのですが、これにプロデューサーたるトム・クルーズがやりたい『無茶なスタント』が加わると、映画全体のバランス調整はなかなか大変なことになります。
この場合のスタントとは……。
時速200キロで走るTGV(フランス版新幹線)の上で敵と戦ったり……。
断崖絶壁を合成なしに本人がロッククライミングしたり……。
高層ビルの屋上から屋上にターザンジャンプで移動したり……。
ドバイのブルジュハリファのてっぺん近くの壁面にしがみ付いたり……。
離陸する航空輸送機の外側にしがみついたり……などです。
監督の立場からしたら、主演俳優にそんな命の危険がある所業はさせたくないに決まっているのでしょうが、なにしろプロデューサーからの指示とあっては拒否できません。
それに、トム・クルーズの無茶スタントが、映画として客を呼ぶ目玉であることは否めません。
問題は、それらのスタントシーンの数々を、いかに映画の脚本内に自然に落とし込むか?です。
ちなみに本作では……。
高高度からのスカイダイビングしながらのバディ救出。
格闘技の達人とのトイレでのガチンコ対決
パリの中心街でノーヘルバイクチェイス。
ロンドンでビルの屋上から屋上への大疾走。
自らヘリを操縦してのヘリ対ヘリの空中戦。
……その他……というお品書きとなっております。
(ちなみに筆者のお気に入りは序盤のトイレ内大格闘シーン)
本作では、それらのトムの無茶スタントが、シリーズのお約束を守りつつ、物語内に(比較的)自然に馴染んでるところが良かったと思うのです。
そこが筆者が好きな部分であり、世間が評価した部分な気がするのです。
なかでも本作では、クライマックスにおいて、離陸するヘリからたらされたロープをトムがよじ登り、ヘリを奪って敵の乗るヘリを追いかけ、さらにその後で新たな命がけスタントが行われるという、物語のクライマックスで、作中最も命がけのスタントが行われるというシンクロが素晴らしいのです。
トムがスタントしている間、サイモン・ペッグやレベッカ・ファーガソンらの仲間もそれぞれ活躍している脚本も良い。
本作は、クライマックスでトム達のメンバー全員が一丸となって脅威に立ち向かう脚本と、トムの無茶スタントがシンクロしたことで生まれたヒット作なのではないでしょうか!?
はたしてクライマックスでトムが行う無茶なスタントは何か? 本作未見の方はどうかその目でご確認下さい!!
さてここでいつものトリビア。
序盤の高高度からパリへ降りるトムのスカイダイビングシーンは、実際にトムが高高度からスカイダイビングしたのを撮影し、地上のパリや空の背景の方をVFX映像でまるっと作り直した。
パリのクラブの屋上の降り立ったトムが、一階に降りるまでに、トムが踊り狂う客で溢れるクラブの天井を、ワイヤーでターザン移動するスタントが撮影されたが、まるっとカットされた。
クラブのトイレで繰り広げられる乱闘シーンで、ヘンリー・カヴィルが下に向かって行うシャドーボクシングのようなアドリブの仕草は、ファンの間では『バイセップ・リロード』と呼ばれいている。
直訳すると『上腕二頭筋・装填』。
パリでセーヌ川に落ち水没した護送車から、サイモン・ペッグ演じるベンジーがスキューバダイビングでソロモン・レーンを拉致するシーンは、その為にスキューバの訓練を受けたサイモン・ペッグ自身が行ってる。
顔まったくわからんけど。
ロンドンでビルの屋上から屋上へと大疾走するシーンで、トムは足首をポッキリ折ってしまったが、その撮影カットはそのまま本編で使われている。
トムの骨折騒動で撮影が伸びに伸びまくった結果か、レベッカ・ファーガソンがクライマックスでソロモン・レーンと大格闘するシーンの撮影時には、彼女は妊娠していたそうな。
トムが自らヘリを操縦して敵ヘリを追いかけるシーンでは、低空飛行したトムのヘリが、巨大なタンクローリーと衝突しかけるカットが予告編で見れるが、これも本編ではバッサリカットされてしまった。
う~ん、さすが制作時のトンデモエピソードもてんこ盛りだぜ!
ってなわけで『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』もし未見でしたらオススメですぜ!!







