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第一一七回『アクション俳優トム・クルーズ:ビギニング“ミッション・インポッシブル”』
タグ:スパイ トム・クルーズ アクション 潜入 変装 暗号 セキュリティ TGV CIA ハッキング 犯罪組織 ハリウッドスター
『ミッション・インポッシブル』
1996年公開
プロデューサー:トム・クルーズ
監督:ブライアン・デパルマ
音楽:ダニー・エルフマン
出演:トム・クルーズ ジョン・ボイト エマニュエル・ベアール ジャン・レノ ヴィン・グレイムス エミリオ・エステベス ヘンリー・ツェニー他
あらすじ
アメリカはCIA内に存在する極秘諜報部隊〈インポッシブル・ミッション・フォース〉、通称IMFのとある凄腕チームは、リーダーのジム・フェルプス(演:ジョン・ボイト)の元、変装の名人のイーサン・ハント(演:トム・クルーズ)や、以下のチームメンバーと共に、プラハでの極秘任務を命じられる。
それはプラハのアメリカ大使館内にあるコンピュータから、東欧で活動している諜報員のリスト〈NOCリスト〉を盗もうとする大使館職員の犯行の瞬間を証拠として撮影し、その上でリストの流出を阻止するという任務であった。
もしこの任務に失敗すれば、各国で活動中のスパイに甚大な危険が迫ることとなる。
ジム・フェルプス以下のメンバーはアメリカ大使館内外で、変装し、潜入し、この困難な任務にあたる。
しかし、巧みなチームワークにより任務が成功したかに見えたその時、次々と発生するアクシデントと妨害により、チームメンバーが次々と死亡、殺害され、〈NOCリスト〉を盗んだ大使館職員も殺された上に〈NOCリスト〉も盗まれてしまう。
ただ一人生き残ったイーサンは、直ちにIMF本部に救援を求め、今回の任務を命じた上司キトリッジ(演:ヘンリー・ツェニー)とプラハのとあるレストランで落ち合う。
だがイーサンの災難をねぎらい、帰国を促すキトリッジに不信感を抱いたイーサンは、この任務に他のIMFチームが密かに参加していたことを見抜き、それが何故かを追及すると、実はこの任務は最近多発するIMF極秘作戦の情報流出事件から、ジム・フェルプスのチームに裏切り者がいると推測したキトリッジらが、ニセの〈NOCリスト〉を盗ませることで、その裏切り者を焙り出す為の任務であったことを明かす。
そして唯一生き残ったイーサンこそがその裏切り者であるという結論を出すキトリッジ。
イーサンはIMFの裏切り者として逮捕される為に呼びだされたのだ。
当然、自分がその裏切り者では無いと知っているイーサンは、スパイアイテムを用いて逮捕の手から脱出し、チームメンバーを死に至らしめた真の裏切り者探しのため行動を開始する。
当初の作戦後に合流する場所であった隠れ家に潜伏したイーサンは、そこで自分と同じ様に生き残っていたチームのメンバーにしてジム・フェルプスの妻であるクレア(演:エマニュエル・ベアール)と合流、共に身の潔白を証明すべく、真の裏切り者探しを開始する。
裏切り者が盗んだ〈NOCリスト〉がニセモノであるという事実を利用し、イーサンは、裏切り者からそのリストを購入しようとしていた犯罪組織のバイヤーに接触し、裏切り者の正体をつきとめようと試みる。
しかし、その裏切り者の正体をバイヤーから知る為には“本物”の〈NOCリスト〉を入手する必要があった。
かくしてイーサンは新たな仲間として、凄腕ハッカーのルーサー(演:ヴィン・グレイムス)と調達屋のクリーガー(演:ジャン・レノ)を集め、本物の〈NOCリスト〉が保管されているアメリカはバージニア州ラングレーの、CIA本部への前代未聞の潜入作戦を決行するのであった。
はたして〈NOCリスト〉の行方と真の裏切り者の正体とは!?
イーサンは無事にこの窮地を脱することができるのであろうか!!?
さて今回はトム・クルーズ映画回です!
トム・クルーズと言えば1980年代後半から数え切れない程の映画で主演を務めてきた、ハリウッド映画界を代表するザ・イケメン俳優です。
そのキャリアの初期は『レジェンド/光と闇の伝説』『レインマン』や『トップガン』などなど名作傑作揃い。
アカデミー賞ノミネートされたことも複数回あるほどのスターの中のスターと言えるでしょう。
しかし、そのキャリアは現在に至るまで順風満帆というわけでも無かったように思います。
他のスター俳優の台頭や、トム・クルーズというスターへの観客側のマンネリ化や、私生活での色々など、原因は多々考えられますが、筆者的には名が売れた人間がキャリアを続ける上で避けらる事の出来ない自然現象的な感じで、いわゆる低迷期と呼ばれる時期が彼にもやってきたような気がします。
本作は、そんなトム・クルーズの低迷期が始まるのに前後して、彼が御自らプロデューサーとなって作った映画にして、アクション俳優としてのトム・クルーズの転換点となったトム・クルーズ史において実に重要な作品なのです。
その主演自らがプロデュースする最初の映画の題材に選ばれたのは、日本では『スパイ大作戦』のタイトルで有名な、1966年から1990年まで作られ人気を博したスパイドラマの映画化です。
『おはようフェルプス君、さて今回の君の任務だが‥‥‥(中略)‥‥‥なお君の仲間が捕縛あるいは殺害されたとしても、当局は一切関知しない。
このメッセージは自動的に消滅する』
という毎話チームリーダーのフェルプスに届く作戦指示と、マッチによって点火される導火線の映像と共に鳴り響くキャッチーなオープニングテーマで有名なドラマであり、放送当時から現在にいたるまで、あらゆるスパイ関連のパロディの元ネタとして使われてきた作品です。
その有名ドラマのリメイク&映画化に際し、プロデューサー・トム・クルーズが抜擢した監督はブライアン・デパルマというお方。
禁酒法時代の極悪ギャングとそれを追う捜査官との激闘を、ケビン・コスナー主演、ショーン・コネリー、ロバート・デ・ニーロ共演で描いた『アンタッチャブル』で有名な監督でして、主にサスペンス描写に長けたお方です。
なるほどスパイ映画を撮ってもらうにはピッタリの人選!
音楽はダニー・エルフマン。
ティム・バートン監督作『シザーハンズ』や『バットマン』で有名な他、数え切れない程の映画の劇伴を担当したお方であり、彼が担当してる段階で音楽面の心配はご無用です。
本作ではオリジナルの『スパイ大作戦』のテーマを見事にアレンジしつつ、彼らしい重厚感あるアクションシーンのBGMも聞かせてくれます。
そして主演はもちろんトム・クルーズの他、ドラマ版のチームリーダー、ジム・フェルプス役にはジョン・ボイト。
1960年代から現在に至るまで、あらゆる映画であらゆる役を演じてきた名おじいちゃん(筆者の認識では)俳優です。
本コーナーで言えば『ヒート』や『ズーランダー』などに出演しております。
本作ではイーサン・ハントが属するスパイチームのリーダー、ジム・フェルプスを、説得力ある老獪さを滲ませ演じております。
そして本作ヒロインにして、ジム・フェルプスの妻であり、裏切り者の濡れ衣を着せられたイーサンと共に行動するクレアを演じているのはフランス人女優のエマニュエル・ベアール。
当然主な出演作はフランス映画なのですが、まぁこんなスパイいるか! ちゅうくらいのデラ美人さんです。
どれくら美しいかというと『天使とデート』という映画で天使役を演じるくらい。
さすがトム・クルーズ、キャスティングも抜け目がありません。
その他『レオン』でお馴染みのジャン・レノや、『ヤングガン』は『飛べないアヒル』等の主演で有名なエミリオ・エステベス等々が脇を固めております。
そんな万全のスタッフ・キャストを招集して作られた本作は大ヒット、公開した1996年の映画興収第三位となり、皆さんご存知のように2023年五に第7作目が公開される程の人気シリーズとなるわけです。
それもこれも、本作の大ヒットがあってのこと。
はたして本作は、何故にそこまで受けたのでしょうか?
それは実にどストレートにスパイ・アクション映画してたからだと思います。
オリジナルの『スパイ大作戦』を現代ナイズしたリメイクとしての最序盤から、急激に逸脱する脚本は衝撃的であり‥‥‥そこから裏切り者の濡れ衣を払拭する為のトム・クルーズによるCIA本部潜入は、なんかほんのり本末転倒感を覚えるのですが‥‥‥。
後のシリーズを考えると、まぁ良くあることさ! という気もしなくもありません!
また東欧を舞台に、スパイとスパイと犯罪組織の騙し合いを、ド迫力のアクションと共に描いた映画は、イギリス諜報部員の『007』シリーズ以外の新たな存在として、なかなか新鮮に映ったのかもしれません。
さらに‥‥‥、脚本の根幹は、活動中のスパイのリストである〈NOCリスト〉を巡る攻防戦なわけですが、それを上手くド派手なアクションシーンを描く口実にしたところが良いのです。
中でもCIA本部の〈NOCリスト〉保管ルームへの、ワイヤーに吊られたトム・クルーズによる奇想天外な侵入シーンは、その後の多くの映画ドラマアニメ塁にオマージュされ、影響を与えました。
そしてラストのフランス新幹線TGVを舞台にしたクライマックスのアクションシーンは、30年弱が経過した今見ても、充分な迫力のある映像であると思います。
思えば、走行中の列車の屋根の上でのアクションは数多く存在しますが、時速300キロで走行中のフランス版新幹線TGVの屋根の上にひっ捕まってのアクションは、世の実写アクションシーン界隈でもかなりのレアケースな気がします。
そのものすごい風圧に耐えながらTGVの屋根の上で戦うトム・クルーズの姿は‥‥‥スパイとはなんぞや? とチラリと思わなくもありませんが、濃厚なアクション成分を見ているものに提供し、満たしてくれるのです。
しかし、本作の価値はそこだけではありません。
本作の最大の価値は、その後8作目まで予定されているシリーズを続ける切っ掛けの作品となったことだと思うのです!
一人の主演が変わることなく、8作目まで続けられたアクション映画シリーズが、ほかにいくつ存在するでしょうか?
まぁ本作の後に続くシリーズは、トム・クルーズのキャリアの浮き沈みに合わせるかの如く、評価が高下している気もするのですが‥‥‥
通常続編は作れば作る程、マンネリ化し、ネタに困り、観客に飽きられるものですが、本シリーズはその法則を打破し、4作目あたりから人気を巻き返し、2023年現在、もっとも続編が期待されているアクション映画シリーズとなったと思うのです!
それもこれも、第一作たる本作があったから!
本作以上の評価と売り上げを得た続編を100%楽しむ為にも、本作をまず見る必要がある‥‥‥かもしれないのです!
‥‥‥まぁシリーズのどれから見てもアクション部分は楽しめるでしょうけどね!!
さてここでいつものトリビア!
ただし!
(※ここから先の文章には、本編の事件の真相にかかわ内容が含まれております。
本作未見の方はなるべく本作観賞の上、以降の文章をお読みください)
本作はかそこそこ以上の大ヒットをする一方で、一部の観客からはある物語展開により酷評もされました。
‥‥‥というのも、本作の物語の根幹であり、イーサン・ハントに濡れ衣を着せた裏切り者の正体が問題だったのです。
その事件の真犯人とは、イーサン・ハント達のチームリーダーのジム・フェルプス。
特に本家『スパイ大作戦』のファンというわけではなかった私は、普通に驚き感心した真相だったのですが、本家『スパイ大作戦』の実質的主人公であるジム・フェルプスを悪役にした本作の物語展開は、本家『スパイ大作戦』ファンには当然受け入れがたい内容だったわけです。
しかしこれには一応のフォローというか、後付け仮説が成されていて、〈ジム・フェルプス〉という名は襲名であり、本家『スパイ大作戦』のジム・フェルプスだった人間は無事引退し、今回のジョン・ボイト演じる二代目(?)ジム・フェルプスが裏切っただけなんだよ‥‥‥というこじつけです。
‥‥‥ジェームズ・ボンド的なアレと思えば‥‥‥まぁ、そう思うことで本作が楽しめるならそれで良いじゃないですか!
‥‥‥ってなわけで『ミッション・インポッシブル』もし未見でしたらオススメですぜ!