映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるという、めっちゃコスパの良いエンタメ……。
 これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍以後の現代社会において、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。


(※今回語る映画は……。
第一一二回『正義と秩序と信念の狭間で‥‥‥“キャプテンアメリカ:ウィンターソルジャー”』
 の続きとなっており、本文章には当該作品の結末に関する内容は含まれております)


▼『映画を語れてと言われても』



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第二七〇回『熱望 錆付き 17 夜明け 灼熱 9 温情 帰郷 1 貨物車輛 “シビル・ウォー:キャプテンアメリカ”』






『シビル・ウォー:キャプテンアメリカ』

2016年公開
監督:アンソニー・ルッソ ジョー・ルッソ
プロデューサー:ケビン・ファイギ
音楽:ヘンリー・ジャックマン
出演:クリス・エヴァンス ロバート・ダウニー・ジュニア スカーレット・ヨハンソン セバスチャン・スタン アンソニー・マッキー
 ドン・チードル ジェレミー・レナー チャドウィック・ボーズマン ポール・ベタニー エリザベス・オルセン ポール・ラッド
 トム・ホランド ダニエル・ブリュール 他




 (これまでの『キャプテン・アメリカ』の)あらすじ

 第二次大戦中、虚弱な体質ながらも、正義に燃える青年であったスティーブ・ロジャース(演:クリス・エヴァンス)は、アメリカ軍の超人兵士計画の被験者に選ばれた結果、常人を超えたフィジカルを有する超人兵士にしてヒーロー“キャプテンアメリカ”として生まれ変わり、ナチスドイツ内の世界征服を企む悪の組織ヒドラとの激戦の末に行方不明となる。

 しかし、彼は生きていた。
 南極で冷凍保存された状態で発見され、21世紀の世に目覚めたスティーブは、人知を超えた強大な脅威から人類を守る組織にスカウトされ、アイアンマンこと大富豪発明家トニー・スターク(演:ロバート・ダウニー・Jr)や、ブラックウィドウやホークアイなどと共に〈アベンジャーズ〉を結成、NYで発生した宇宙人襲撃事件に対処した。


 そしてその後も、女エージェントのブラックウィドウらと共にヒドラの残党との戦いを続けていたスティーブは、その戦いのなかで、第二次大戦中に死亡したと思われていた親友のバッキー・バーンズ(演:セバスチャン・スタン)が、ヒドラによって洗脳され改造され、暗殺者ウィンター・ソルジャーとして数々の暗殺事件に関っていることを知る。


 さらに、アベンジャーズの一員として、東欧の小国ソコヴィアでヒドラ残党とヒドラが遠因で生み出された悪のロボット“ウルトロン”との戦いに身を投じたスティーブであったが、勝利はしたものの。ソコヴィアが被った被害は甚大であった。




 そして本作のあらすじ

 アベンジャーズとして、ソコヴィアで出会った超能力少女のワンダ(演:エリザベス・オルセン)等の新メンバーと共に、ナイジェリアの都市ラゴスでヒドラ残党の陰謀を追っていたスティーブは、ヒドラの陰謀を阻止したものの、ワンダのミスでラゴスを訪れていたアフリカの一国ワカンダの使節団の命が犠牲となってしまう。

 この事件を機に、国際社会で超法規的に自警活動を行うアベンジャーズや、その他のヒーローを問題視する声が上がり、アベンジャーズの戦いで大被害を被った国の名から『ソコヴィア協定』という名で、ヒーロー活動を登録制度とし、国連の管理下の元に規定する国際協定に世界各国が批准しようとしていた。
 しかも、そのソコヴィア協定には、アベンジャーズの根幹メンバーであるトニー・スタークやブラックウィドウまでもが各々の心情から賛同していた。




 己の過去の経験から、このソコヴィア協定に懐疑的となるスティーブや、他のアベンジャーズのメンバー達。

 意見が分かれるアベンジャーズのメンバーを他所に、そのソコヴィア協定の署名指揮がウィーンで行われるが、その式の最中に爆弾テロが発生。
 出席していたワカンダ国の王、ティ・チャカが犠牲となってしまう。
 その一方、監視カメラに残された映像から、このテロ犯がウィンター・ソルジャーことバッキー・バーンズと特定され、直ちに国際指名手配となるバッキー。
 
 この一連の事件に違和感を覚えたスティーブは、当局よりもはやくバッキーを確保すべく、独自の情報ルートから彼のいる位置を知ると、ブカレストへと飛ぶ。


 ブカレストの潜伏地でバッキーと再会したスティーブは、最後に会って以来人を殺してはいないという彼の言葉を信じると同時に、爆破テロの真犯人による陰謀が進行中であることを確信するが、直後に現地警察がバッキーを追って襲撃、さらにワカンダ国の王子ティ・チャラが父国王の仇を打つべく乱入、スティーブは無実と信じるバッキー逃がしつつ、彼らと戦う羽目となる。




 果たして、爆破テロの真犯人とは誰なのか!?
 ソコヴィア協定の行方は!?
 バッキーとスティーブの運命やいかに!?





 さて今回は久々MCU映画回です!
 本コーナーで言えば『アイアンマン』『アベンジャーズ:インフィニティウォー』『アベンジャーズ:エンドゲーム』そして本作の前作である『キャプテンアメリカ:ウィンターソルジャー』など、ケビン・ファイギというプロデューサーの主導の元、マーベル社のアメコミ原作の数々のヒーローを実写映画化してきた超人気シリーズです。


 今でこそ、余りに多くのヒーロー映画が溢れる時代になってしまったため、レアリティに欠けるヒーロー映画界隈ですが、本作公開時は映画界の花形と言えるレベルで大盛況でした。
 そんな数あるMCU映画の中でも、名作かつとびっきりの異色作が本作なのです。

 監督はアンソニーとジョーのルッソ兄弟。
 元々数本のコメディ映画しか映画監督経験が無いところ、プロデューサーのケビン・ファイギに見出だされ、本作から始まるアベンジャーズ三部作の監督を任されたお方。
 そして本文章執筆中の2026年末には、最新監督作にしてMCU映画の『アベンジャーズ:ドゥームズディ』が待機中なお方です。


 出演者は……。

 キャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャース役にクリス・エヴァンス。
 本コーナーで言えば、ガラケーサスペンスアクション映画『セルラー』で主演した他、MCU映画以前は20世紀FOX製『ファンタスティック・フォー』で、アメコミヒーローを演じた人。

 そのスティーブの幼馴染にして親友のバッキー・バーンズことウィンター・ソルジャーを演じるのはセバスチャン・スタン。
 本コーナーで言えばマット・デイモンが火星に置き去りにされる映画『オデッセイ』なんかに出演してる人。

 さらに、本作では準『アベンジャーズ』といって良いレベルで他作品から主人公あるいは未来の主人公となるキャラとキャストが集結しております。
 『アイアンマン』ことトニー・スターク役のロバート・ダウニーJr。
 『ブラックウィドウ』よりナターシャ役にスカーレット・ヨハンソン。
 『ブラックパンサー』よりティ・チャラ役に(故)チャドウィック・ボーズマン。
 『アントマン』よりスコット・ラング役にポール・ラッド。
 ドラマ『ホークアイ』よりクリント・バートン役にジェレミー・レナー。

 そしてそして2026年8月現在、直特大のヒットのかっ飛ばし中の『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』よりピーター・パーカー役でトム・ホランドがMCU映画に初登場しております!

 うむ! 主役級ばかりのお祭り映画! 巷で『アベンジャーズ2.5』と呼ばれるのも仕方なしです!





 そんな本作は、2016年の世界映画興収で第一をとる程、景気良く大ヒットしました。
(ちなみに2016年は、日本では『君の名は。』と『シン・ゴジラ』が大ヒットしていました)
 本作を見た人やその後を知ってる人には分かることですが、まだこの後に『アベンジャーズ:インフィニティウォー』と『アベンジャーズ:エンドゲーム』を控えている段階でです。


 もちろん筆者は、公開時、事前にあるMCU映画を全て見て万全の態勢で見に行き、そして面白かった! と思うと同時に、超ドン引きしたものです。

 ドン引きした……というのはあくまで筆者の個人的感想の表現ですが、本作を見た多くの人々の感想とそう乖離はしていないと思います。

 そう! 本作はMCU映画の中でも屈指の……そういうドン引きするタイプ映画でありながら、なおかつ公開年世界一の興収を得た映画なのです。



 しかして、本作はなにゆえにその大ヒットと、ドン引きを両立したのでしょうか!?




 本作の場合は、すでにシリーズ絶頂期だけでなく、潤沢な予算、主役級のキャスト、優れた脚本に音楽にVFX映像に、全てのパラメータがハイレベルであったから……と行ってしまえばそれまでな気がするんですが……。



 まず一つ目は、キレッキレのアクション映像です。
 MCU映画は数々あり、それぞれCG等を駆使した大迫力のアクション映像で楽しませてくれるわけですが、本作というか『キャプテン・アメリカ』シリーズでは、そのCG技術プラス、生身の人間がその鍛えあげたフィジカルと、ワイヤーアクションなどのアナログな技術を駆使して物理的に撮影した映像との割合が、丁度良いのです。
 ようするにキャストやスタントマンやスタッフの撮影時の努力が素晴らしく、それとCG技術が組み合わさったアクション映像が良かったのです。
 それは例えば、高速道路上を走る自動車に混じって“徒歩”でチェイスするシーンや、キャップが○○で〇〇を引き留めるシーンなどです。




 二つ目は、怖ろしいレベルで交通整理されながら登場する他のMCU映画の主役キャラ達の活躍です。
 前述したように、本作ではこれまで……あるいは今後の主役となるキャラが多数登場するわけですが、その出番と活躍のバランスが丁度良いのです。
 あらゆる口実、事の成り行きや、これまでの必然性から、主役級キャラが集結し……それぞれの得意な技を駆使して……そして内輪もめするのです……。

 中でも、2026年8月現在特大ヒット中の『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』を見るにあたり、トム・ホランド主演のMCU映画版『スパイダーマン』の歴史を振り返るならば、本作がその始まりなのであり、欠かせない一本なのです!
(ベンおじさんは既に〇〇してますけど……)





 そして三つめは、そのあまりにも情け容赦の無い脚本です。
 本作はアメコミ原作に存在する『シビル・ウォー』を下敷きとした物語であり、体制がヒーローを管理するというソコヴィア協定に賛成か否かで内紛するヒーロー達を描いた作品なわけですが……。
 本作はキャプテン・アメリカことスティーブ・ロジャースが、洗脳され暗殺者となった親友バッキーに対する正義と友情に葛藤しつつ、間違いなくその『シビル・ウォー』を原作としていながらも、まったく予想できない物語展開を迎え、見る者の心に深く刻まれる結末を迎えるのです……そこが凄いのです。
 それは余りにもリスキーな選択であり、一歩間違えばとんでもない大不評を買い、これまでMCU映画で培ってきた人気をご破算にしかねない行いだった気がします。
 これが筆者のような凡人による脚本であれば、間違いなく守りに入り、絶対に書かないような脚本の結末でしょう。
 本作の凄いところは、怖ろしいまでの勇気をもって、その結末を映画化したところだと思います。
 はたして、本作はいかなる結末を迎えるのか? 本作未見の方はどうかその目でご確認下さい!!



 さてここでいつものトリビア!

 本作からMCU版スパイダーマンとしてデビューするトム・ホランドは、自身が卓越した運動神経の持ち主であり、バク天を決めてから台詞を言うというオーディション映像を送ったことでスパイダーマンことピーター・パーカー役を射止めた。

 クリス・エヴァンスはウィンター・ソルジャーの乗ったヘリを素手で〇〇める際に、頑張り過ぎて肉離れになってしまった。

 スパイダーマンの映画化権は、その昔SONYが買い取っており、本作でMCU版スパイダーマンが出演できたのは、ケビン・ファイギ他の尽力に他ならなかったのだが、実際にスパイダーマンを登場させられるかは不透明であった。
 本作でMCU版ブラックパンサーことティ・チャラがスパイダーマンと同じように初登場するのは、そのスパイダーマンが登場させられなかた場合の穴を埋めるフェイルセーフの意味もあった……そうな。





 ……ってなわけで『キャプテン・アメリカ:シビル・ウォー』もし未見でしたらオススメですぜ!!

 あ、あと見るなら出来たら『キャプテン・アメリカ:ファースト・アベンジャー』『アベンジャーズ』『キャプテン・アメリカ:ウィンター・ソルジャー』『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』を見てから見るのがオススメですぜ!!



 映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるという、めっちゃコスパの良いエンタメ……。
 これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍以後の現代社会において、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。



(※今回語る映画は……
第二一九回『夏休みはどこ行きたい? そうだね!“ジュラシック・パーク”』
 ……の続編となっております)


▼『映画を語れてと言われても』



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第二六九回『夏休みはどこに行く?そうだね?“ジュラシック・ワールド”』





『ジュラシック・ワールド』

2015年公開
監督:コリン・トレヴォロウ
原作:マイケル・クライトン
音楽:マイケル・ジアッチーノ
出演:クリス・プラット ブライス・ダラス・ハワード ヴィンセント・ドノフリオ オマール・シー イルファーン・カーン 他



 あらすじ

 ハモンドCEO率いるインジェン社による、南米の孤島に建築された、遺伝子テクノロジーによって現代に蘇った恐竜による園『ジュラシック・パーク』計画が頓挫してからおよそ20年……。

 インジェン社はサイモン・マスラニ(演:イルファン・カーン)社長率いるマスラニ・グローバル社に買収され、同社は『ジュラシック・パーク』を再建、夢のテーマパークとして開業し、連日世界中から二万人もの観光客が訪れる程の大成功を収めていた。

 しかし、ついに開業に成功したジュラシックパークであっても、世間の流行り廃りのサイクルには抗えず、新たな目玉恐竜の創成が求められていた。

 パークの運営責任者として多忙を極めていたクレア(演:ブライス・ダラス・ハワード)は、パークに遊びにきた甥っ子兄弟のザックとグレイに構う暇もなく、技術班が新たに生み出したハイブリッド恐竜“インドミナス・レックス”をサイモン社長にお披露目するものの、芳しい感想はもらえず、社長からパーク内で生まれたヴェロキラプトルの調教に挑んでいる元軍人の調教師オーウェン(演:クリス・プラット)に助言を求めるよう指示される。


 かつてデートしたことがある間柄のオーウェンに対し、多少ギクシャクしながらも、インドミナス・レックスの檻に案内するクレア。
 しかしその直後、恐るべき知性と能力でインドミナス・レックスが檻から脱走、島内へと消え去る。


 一方、クレアの甥兄弟のザックとグレイは、お目付け役を任されたクレアの秘書を振り切り、ジャイロスフィアという観光用ビークルで島内の恐竜を勝手気ままに見て回っていた。
 しかし、そこへ脱走したインドミナス・レックスが襲いかかり、恐竜達が襲われる中、命からがらジャイロスフィアから出た二人はジャングルの中へと逃げるのであった。


 さらにその一方、島内パークコントロールセンターではインドミナス・レックスの対応に追われていたが、その恐るべき能力から捕獲ではなく、ヘリ操縦免許を持つサイモン社長自らのるヘリからの攻撃による抹殺が決定される。

 そんな中、ザックとグレイが消息不明となったことを知ったクレアは、オーウェンに二人の捜索を頼むと共に自らもそれに同行することを決心するのであった。



 はたして、ザックとグレイの行方は? インドミナス・レックスの脅威に、人々はいかに対処するのか!?
 パークの運命やいかに!?






 さて今回は夏休みに見るのにピッタリな恐竜大暴れ映画『ジュラシック・パーク』シリーズも4作目にして、登場人物キャラを一新した新シリーズの第一作となり、公開された2015年で特大のヒット作となった一本について語りたいと思います。



 ……とその前に今一度『ジュラシック・パーク』とはなんぞや? を説明しておきますと……、詳しくは前述した第二一九回『夏休みはどこ行きたい? そうだね!“ジュラシック・パーク”』を読んでもらうとして……。
 ザックリと言ば、マイケル・クライトン原作、スティーブン・スピルバーグ監督によって1993年に公開された、遺伝子テクノロジーによって現代に蘇らせた恐竜園『ジュラシックパーク』にまつわる物語の映画でして、当時華開いたCG技術を駆使することで、それまで誰も見たことが無いレベルのリアルな恐竜映像が実現されたことで、映画史に残る特大ヒットとなった作品であり、それから二本の続編映画が撮られるに至りました。

 本作はその14年ぶりの4作目の新作なわけです。



 監督はコリン・トレヴォロウて人。
 『彼女はパートタイムトラベラー』という低予算ドラマコメディで注目され、本作監督に大抜擢されたお方。
 その後は本作の次の次の作品たる『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』などを監督しております。



 そして出演者は!?

 ジュラシックパークの女性運営責任者のクレア役にブライス・ダラス・ハワード。
 サム・ライミ版『スパイダーマン3』のグエン・ステイシーや、本コーナーでも紹介したスパイアクション映画『アーガイル』などで知られるパッチリお目目がチャーミングな女優さんです。
 ちなみに御父上はアカデミー賞監督にして元俳優のロン・ハワード。
 本作では叫んで怒って笑ってはハイヒールで全力失踪する大活躍をします。





 もう一人の主役たる、調教師オーウェンを演じているのはクリス・プラット。
 本コーナー言えば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』や『MERCY/マーシー AI裁判』で主演した売れっ子俳優です。
 本作では過去の『ジュラシック・パーク』シリーズで大暴れした最恐恐竜ヴェロキラプトルを調教して操るという、シリーズ屈指の命知らずキャラを飄々と演じております。

 その他、ヴィンセント・ドノフリオ、オマール・シー、(故)イルファーン・カーンなど、実力派&個性派俳優が脇を固めております。





 うむ、後にスターとなるキャストはいますが、名前だけで客を呼ぶわけではなく、あくまで演技力で集め、真の主人公は恐竜達なのだ! って感じのキャスティングって印象です。





 そんな本作、前述したとおり全世界映画興行収入でトップ10に入るレベルの実に景気の良い大ヒットをかっ飛ばします。
 筆者も公開と同時に見に行き大いに満足したものです。

 日本で何故か夏休みになると恐竜博が催され、子供たちが親に連れられて行くようになった理由の何割かは、本作と過去の『ジュラシック・パーク』シリーズに原因があると言っても過言ではないでしょう。

 結果、本作は同じ主要キャストで撮られた二本の続編と、キャストを一新して撮られたシリーズ7作目までが作られるに至ります。



 しかして、本作のなにがそこまでにウケたのでしょうか?
 例によってそれを考えてみるならば……。



 一つはタイミングが良かった気がします。
 前作『ジュラシック・パークⅢ』から十数年が経過したところで公開された本作は、見る側にとっては丁度良い新鮮さと懐かしさがあり、作る側にとっては、前作から十数年かけて蓄積してきたなお一層凄い恐竜映像技術を活かすことができます。




 その進歩した映像技術によって、過去作を越えて大暴れする恐竜達が、もちろん本作の重大な魅力の一つでもあります。
 本作では前作までに活躍したヴェロキラプトルはもちろん、大量のプテラノドン、アパトサウルス、アンキロサウルス、トリケラトプス等の他に、遺伝子組み換え恐竜インドミナス・レックスや、海の王者モササウルスまでが出てきて、映画の尺一杯に出し惜しみなく大暴れしてくれるのです。
 それまでの『ジュラシック・パーク』シリーズのように、予算の都合でここぞというシーンにしか出ないなんて事が無いところが良いのです。




 そして筆者が本作で最も気に入っている部分、それは物語の部分です。
 まず、本作ではとうとうついに『ジュラシック・パーク』が開業に成功し、短くもない時間運営に成功しているという設定が好きなのです。
 前シリーズを観賞済みの方は、それがありえない……少なくとも永遠にはあり得ない出来事だと分っていることなのですが……。
 それでも、人類がその英知をもって、復活させた恐竜と相争うでもなく、表層的とはいえ共存を達成している姿に、筆者は感動を禁じ得なかったのです。

 まぁ、もちろん人類のその愚かさから、例によってようやく開園した『ジュラシック・パーク』が大変になるのが本作なわけですが……、その中にあっても、前シリーズまでの人類の宿敵とも言える狂暴極まる危険恐竜ヴェロキラプトルが、表層的とはいえ人間と意思疎通可能な存在となっていることや、海棲恐竜モササウルスの活躍など、ここぞというところで新たなアイディアと映像で楽しませてくれる物語の作りが筆者は好きなのです。

 しかし、色々と語ってきましたが……本作の一番の魅力は、これまでのシリーズ全てを通して活躍してきた恐竜界の王、恐竜の中の恐竜! ティラノサウルス‐レックス、通称T‐REXの活躍でしょう!
 本作製作中のどのタイミングで決められたT‐REXの活躍かは分りませんが、本作の成功は、然るべきタイミングで然るべきシチュエーションでT‐REXの活躍シーンを入れ、本作初見の人はもちろん、これまでのシリーズを追いかけてきたファンの心を一挙に掴む展開を決めた段階で、確定していたような気がします。

 はたして、T‐REXはいかなるタイミングでいかなる活躍をするのか!? 本作未見の方はどうかその目でご確認下さい。







 さてここでいつものトリビア。


 主人公クレアに甥っ子兄弟の世話を頼まれた結果、『ジュラシック・パーク』シリーズ史上でも屈指の悲惨極まる目に合う女性秘書のサラですが、彼女を演じる女優自らのリクエストによるもので、スタントも自ら演じたんですって。


 作中に映るジュラシック・パークの売店の中には、日本の牛丼チェーン店『吉野家(YOSHINOYA)』が出店している。


 本作に登場して美味しいところをもっていくT‐REXは、『ジュラシック・パーク』一作目で大暴れしたのと同一個体。
 一作目のラストでヴェロキラプトルと戦った際に負った傷跡から判別できる。


 ……ってなわけで『ジュラシック・ワールド』もし未見ならオススメですぜ!




 映画観賞……それは時に○○億円もの制作費をかけた作品を、だいたい2000円前後で楽しめるという、めっちゃコスパの良いエンタメ……。
 これは、当劇団きっての映画好きにして、殺陣と小道具美術担当の筆者が、コロナ禍以後の現代社会において、筆者の独断と偏見といい加減な知識と思い出を元に、徒然なるままに……徒然なるままにオススメの映画について書くコーナーである。





▼『映画を語れてと言われても』



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第二六八回『俺達の旗を……掲げよう!“我が青春のアルカディア”』


 タグ:アニメ ハーロック 松本零士 宇宙 SF 海賊 敗戦 占領 反乱 友情




『我が青春のアルカディア』

1982年公開
監督:勝間田具治
原作:松本零士『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』
音楽:木森敏之
声の出演:井上真樹夫 富山敬 田島令子 武藤礼子 池田秀一 石田太郎 石原裕次郎

 あらすじ

 およそ1000年後の未来……宇宙に版図を広げていた人類であったが、謎の異星星間国家イルミダスの侵略を受け戦争状態となり……そして敗北した。

 避難民移送中であった地球防衛艦隊の宇宙戦艦の一隻デス・シャドウ号の艦長であったハーロック(声:井上真樹夫)は、まだ戦意はあったものの、軍人として艦隊司令部からの武装解除の命令を受け入れ、デス・シャドウ号をイルミダスが支配を開始した地球へと帰還させる。

 帰還したハーロックは、イルミダス軍への出頭までの時間に、地球に残してきた恋人のマーヤ(声:武藤礼子)に会おうと向かうが、彼女は征服されてしまった地球の人々をはげますラジオの声『自由アルカディアの声』を地下放送で流していたことから、イルミダス軍に追われる身となっており、会うことは叶わなかった。

 そうしてイルミダス軍地球占領軍司令部に出頭したハーロックは、イルミダス地球占領軍司令官であるゼーダ(声:石田太郎)に、その輝かしい戦績から、この先我が軍の軍人として戦わないかと持ちかけられる。
 が、これを固辞したハーロックは、一回分の食券を渡され、放逐される。


 食券を渡したイルミダス軍で働く被イルミダス征服国の女性ラ・ミーメ(声:山本百合子)の助言に従い、食える時に食うべく食堂に向かったハーロックは、そこで一心不乱に最後の食事にかぶりつく男の、そのあまりの食べっぷりに関心していたところを、逆に声をかけ励まされる。
 その直後、食堂にいるイルミダス軍兵士にケンカをふっかけられた男に、思わず加勢したハーロックは、その男と共に駆けつけたイルミダス軍警察から逃亡するも結局はその男、宇宙戦艦エンジニアの大山トチロー(声:富山敬)と共に逮捕される。




 地球占領軍の現場指揮官としてハーロックとトチローの尋問を担当した、被イルミダス軍征服国のトカーガ人のゾル(声:池田秀一)により行われた記憶分析装置により、先祖にまで遡って記憶を洗いだされた二人は、その結果、実は1000年前の第二次大戦中に先祖同志が邂逅し、堅い友情を結んでいたことを知る。


 しかして、ゾルに釈放された二人であったが、ハーロックは再びゼーダ司令に呼ばれ、そこで占領地球政府の地球人代表トライター首相(声:高木均)から、実はゾルの故郷であるトカーガが、地球征服達成により不要となり、破戒が決定されたたため、その実行部隊の移送をハーロックに頼んでくる。
 このあまりに恥知らずな頼みをハーロックは即断り、マーヤを捜がしに向かうのであったが、すでに彼女の元にはイルミダス軍が迫っており、彼女を助けに割って入ったハーロックは銃撃により重症を負い、マーヤともまた離れ離れになってしまう。


 一方トチローは、スタンレーの魔女と呼ばれる宇宙の難所を通過したことで、船体にダメージを受けた宇宙自由貿人の女艦長エメラルダス(声:田島令子)の船クイーン・エメラルダスが地球に不時着した現場に出くわし、トチローは彼女の艦に修理の手を差し伸べる。
 そこへ重傷をおいつつもイルミダス軍から逃げ切ったハーロックが合流するが、そこへゾルとタ・ミーメ、そしてゾルの部下のトカーガ兵までがやってくる。
 彼は不時着したクイーン・エメラルダス号を強奪し、イルミダス軍による故郷の星トカーガの破戒を阻止すべくやってきたのだ。
 しかしそれはエメラルダスの宇宙自由貿易人の資格剥奪を意味していた。
 この問題に対し、トチローはいつかの事態に備えて隠していたある宇宙船の供出を提案し、その艦長をハーロックに託すのであった。

 かくして、ゾルは一部の部下とラ・ミーメをハーロックに同行させつつ、自分は地球に残り、イルミダス地球占領軍に反乱攻撃をしかけ、それを陽動にして、ハーロック達をトチローが隠した宇宙船に乗せ、地球から飛び立たせる作戦にでる。


 かくして始まるトカーガ星救援の為の作戦。
 ハーロック達が案内されたトチローが隠した宇宙船は、イルミダス軍が占領した地球防衛艦隊司令基地の地下深くで、人知れず建造していた超大型宇宙戦艦であった。
 ハーロックは作戦中に逃走中のマーヤから届けられた彼女お手製の海賊旗を受け取ると、この宇宙戦艦を『アルカディア号』と命名し、宇宙へと飛び立たんとする。


 はたして、ハーロックやトチローに待ち受ける運命やいかに!!







 さて今回は、あの『銀河鉄道999』の原作や『宇宙戦艦ヤマト』で根幹スタッフとなった松本零士原作でお送りする、劇場用アニメの名作について語りたいと思います!


 時に1980年前後、筆者の認識が確かならば……日本はちょっとした松本零士ブームが巻き起こっていました。
 すでに多数のマンガ作品を世に送っていた松本零士が企画に関った『宇宙戦艦ヤマト』が大ヒットし、さらに漫画『銀河鉄道999』がTVアニメ化されまた大ヒット、本作とは別にTVアニメ化された『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』も大ヒット、そして本コーナーでも紹介した……

『まもなく~99番ホームより、不確定駅経由~未来行き~超特急〈青春〉が発車いたします~ “銀河鉄道999:Galaxy Express”』

 ……の公開とあいなり、また大ヒットとなるわけです。
 そしてその完結編たる『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』が公開され、前ニ作で登場し、好評を博したゲストキャラのハーロックを主役に、彼が宇宙海賊となるまでのオリジンを描いた本作の公開に至るわけです。



 ザックリ言えば、本作は松本零士原作劇場版アニメ三部作の三作目……と言えるのかもしれません。


 監督は勝間田具治ってお方。
 60年代から2010年代まで東映アニメで活躍する超ベテランアニメ監督です。
 とんでもない数のアニメ作品に携ってこられた方ですが、筆者的代表作は『宇宙戦艦ヤマト:完結編』。
 本作でもド派手な宇宙戦艦バトルを見せてくれますしね!

 音楽は木森敏之ってお方。
 80年代前後にとんでもない数の歌手に曲を提供している方ですが、『欽ちゃんの仮装大賞』のテーマを作曲したお方と言えば、その凄さがお分かり頂けるでしょう。
 本作では、シーンにシンクロしつつも実に海賊らしいロマンとアウトロー感あふれたメロディを、それぞれのシーンに流してくれます。

 さらに声の出演は……。
 ルパン三世で先代の石川五右衛門の声を担当した井上真樹夫がハーロックの声を。
 『宇宙戦艦ヤマト』の古代進や等で有名な富山敬がハーロックの親友となる大山トチローの声を。

 その他池田秀一や石田太郎や青野武などなど、レジェンド声優が声を当てていますが、本作ではいわゆる芸能人声優として、なんと石原裕次郎が声優として出演したりもしています。



 そんな本作、筆者は公開時は映画館で見れるような年齢ではなく、大分後年になってからビデオレンタルで見た口でした。
 正直、物語の内容はよく分らなかったのですが、ともかくかっこよ! と思ってた気がします。

 そんな本作、残念ながらビジネスとしてはあまり成功とは言えなかったようでして、松本零士原作アニメ前作『さよなら銀河鉄道999 アンドロメダ終着駅』程には売り上げは伸びなかったようです。

 実は本作公開後に、本作をエピソードⅠとするTVアニメ『我が青春のアルカディア:無限軌道SSX』なる作品があったのですが、ゴールデンタイム放送の気合の入った作品だった割にあまり話題にもならず終わります。

 その理由としては、松本零士原作マンガの『ザ・コックピット』のエピソードなどを、松本零士成分を詰め込めるだけ詰め込んだ結果、物語がよく分らんことになったから……な気がしますが、実際のところは分りません。

 ともあれ本作は、言わば当時の松本零士アニメブームの最後の作品と言えるかもしれません。


 しかし……ンなこたぁどうだって良いのです!
 だって筆者が好きだから!!
 筆者は本作を見る前ので、幼いながらもTVアニメ『我が青春のアルカディア:無限軌道SSX』を見てた覚えがあり、主役宇宙戦艦のアルカディア号のラクガキをしたり、段ボールをつないでアルカディア号を作っていたような幼児だったのです!


 そして本文章を執筆するにあたり、本作を今一度見直してみても、その気持ちには変わりは無かったのです。
 めっちゃカッコええ! と。


 まず主役宇宙戦艦たるアルカディア号がめたくそカッコイイのです。
 TVアニメ『宇宙海賊キャプテン・ハーロック』でも登場した彼の宇宙海賊船アルカディア号が、本作の前の『劇場版銀河鉄道999』では、艦首が巨大なガイコツとなった艦としてリデザインして登場し、大活躍したわけですが、本作ではそのアルカディア号がゲストではなく主役メカとして大暴れしてくれるところがたまらんのです!
 個人的好きな宇宙戦艦ベスト3に入るナイスインパクトデザインです!
 その活躍も、宇宙SFバトル映像作品でも珍しい、宇宙戦艦同士の一対一のサシの決闘から、単艦での大艦隊相手の大暴れと景気が良い!
 中でも筆者が一番好きなのは、
 アルカディア号がついに発進するシーン!
 不穏で物騒なBGMと共に、『ああもうメチャクチャだよぉ!』って感じで飛び立つところに痺れるのです!
 はたしてアルカディア号はいかなる船出をするのか? 本作未見の方はどうかその目でご確認下さい。





 そう! あとの本作の魅力は……。
 だいたいハーロックかっこええ!
 エメラルダスとトチローもかっこええ!
 敵の親玉のゼーダ司令さえもかっこええ
 ……で出来ている言っても過言では無い気がします。

 もちろんそういう波長が合った人にとってはの話ですが、本作は、それぞれのキャラがひたすら美学と意地で動くところがカッコイイのです。
 そしてその美学の中で友情とシンパシーが芽生え、ささやかな奇跡を起こすところが熱いのです。


 そもそもこの話、なんと地球が異星人との戦争に負け、占領政策を受けれるところかた始まるのですから中々衝撃的です。
 そして敵による占領を唯々諾々と受け入れる地球政府の嫌気がさして飛び出すというのがハーロックのオリジンとなるわけです。
 現状に反旗を翻し、己の主義信念にのみ生きると決めた男の話なのです。
 う~ん……よく考えたら…カッコイイけど、若い人には猛毒みたいな内容かもしれません。
 しかしそれ故にハマる人にはハマるのです。

 ちなみに筆者が好きな台詞は、ハーロックが親友となるトチローと初めて出会った時に心の中で語りかけた『俺達は負けたが、滅びたわけじゃない』って台詞。
 不条理な世を生きる上で、とても大切な言葉だと思うのです。




 さてここでいつものトリビア。

 本作冒頭では、ハーロックの先祖の冒険譚を、石原裕次郎がモノローグで語っていますが、彼はたった3時間でアフレコを録り終え、1000万のギャラを受け取ったそうです。

 本作は松本零士原作アニメワールドで言えば、『宇宙戦艦ヤマト』の遥か未来で、『銀河鉄道999』の前の話にあたります。
 つまり一部のキャラの未来は『銀河鉄道999』で確定しちゃってるわけで……。

 本作の主役宇宙戦艦アルカディア号の名前の由来は、第一次世界大戦中で活躍した撃墜王レッド・バロンの愛機の名前からとられた。

 本作およびキャプテン・ハーロックは、なぜかフランスとイタリアで大人気であり、国際交流時にちょいちょいハーロックの顔がニュースに出たりもします。




 ……ってなわけで『我が青春のアルカディア』もし未見ならオススメですぜ!