『スタートレック』…………それは1966年に放送が開始されたTVドラマシリーズを皮切りに、2026年の現在にいたるまで続々と劇場版やTVドラマシリーズ、アニメシリーズなどが製作され続けている超人気宇宙SF作品のシリーズ………。
これは……そんな『スタートレック』の、ファン“トレッキー”を増やす為に、性懲りも無くまたもや『スタートレック』映画の紹介に、勇敢に挑戦した文章である!
▼『(スタトレ)映画を語れてと言われても』

第二五六回『恩讐の彼方に平和など……“スタートレックⅥ:未知の世界”』
『スタートレックⅥ:未知の世界』
1991年公開
監督・脚本:ニコラス・メイヤー
出演:ウィリアム・シャトナー レナード・ニモイ ディフォレスト・ケリー ジェームズ・ドゥーアン ニシェル・ニコルズ ジョージ・タケイ ウォルター・ケーニッグ デビッド・ワーナー キム・キャトラル クリストファー・プラマー他
あらすじ
時に23世紀の末…………ワープ航法を発見した人類は、銀河系の四分の一にまで進出し、そこで遭遇した数々の異星文明と、時に戦争となりながらも、惑星連邦を結成し発展の時をむかえていた。
かつて宇宙船USSエンタープライズ号の艦長として気心知れたクルー達と共に、5年間の外宇宙への探査任務を達成し、歴史に名を残した惑星連邦艦隊の士官ジェームズ・T・カーク(演:ウィリアム・シャトナー)は、それから20年以上が経ち、一時は提督にまで昇進したものの、宇宙の平和を揺るがす陰謀に巻き込まれ、紆余曲折を経て降格処分を受け、再び新造宇宙船エンタープライズ号の船長となり、新たなる冒険の日々を送っていた……。
だがそのカーク船長の冒険の日々にも、三か月後に控えた定年退官により、とうとう終りの時を迎えようとしていた。
そんなある日、惑星連邦に激震が走る。
かつて大戦争を繰り広げ、今は中立地帯を挟んで惑星連邦と敵対関係にあるクリンゴン帝国の本星、クロノスの月・プラクシスが、過度の資源採掘の結果大爆発し、甚大な被害を本星にあたえたのだ。
この事態に、かつてクリンゴン人によって一人息子のジャックを殺害された経験のあるカークは、そのままクリンゴン帝国など滅んでしまえば良いと感じていたが、惑星連邦上層部の結論は違っていた。
惑星連邦は甚大な被害の出ているクリンゴン帝国本星クロノスの救援を行い、それを機に、クリンゴン帝国と恒久的和平を結ぼうという方針が決まったのだ。
それはカーク船長の指揮するエンタープライズ号の副長にして、バルカン人との地球人とのハーフにして、カークの親友でもあるミスター・スポック(演:レナード・ニモイ)の主導で決められたことであった。
しかもスポックは、こともあろうにカークに和平交渉の為にクリンゴン帝国よりやってくるゴルゴン宰相(演:デビッド・ワーナー)の、エンタープライズ号によるエスコート任務まで決定させていた。
クリンゴン帝国に恨みのあるカークは、スポックに自分には向いていない任務だと訴えるが、クリンゴン帝国との和平こそが、銀河の平和な未来をつかむための唯一論理的選択なのだと言って耳を貸さなかった。
かくして、任務として断ることなど出来なかったカークは、惑星連邦最新鋭宇宙船エクセルシオ号の船長へと昇進転属した元エンタープライズ号操舵主のスールーに代わり、新たな操舵主となったバルカン人のヴァレリス(演:キム・キャトラル)を加えたクルーと共に、エンタープライズ号でゴルゴン宰相との合流宙域へと向かう。
しかして、そこに現れたのは、ゴルゴン宰相を乗せたクリンゴン帝国の誇る巨大宇宙戦艦であった。
カークは外交儀礼として、ゴルゴン宰相と、共にやってきたクリンゴン軍のチャン将軍(クリストファー・プラマー)と、ゴルゴン宰相の娘のアゼドバーの三人を、ビーム転送(※)でエンタープライズ号内に招き、食事会を催して一応の歓迎して見せる。
が、カークがそうであるように、クリンゴン帝国軍のチャン将軍やアゼドバーもまた、惑星連邦に対する敵対心と偏見を隠せずにおり、食事会は惨憺たる有様でお開きとなり、三人の客はクリンゴン帝国艦へとビーム転送で帰還する。
その直後、突如エンタープライズ号より発射されたと思しき光子魚雷二発がクリンゴン帝国艦に命中。
さらに被弾したクリンゴン帝国艦内部に何者かが潜入し、ゴルゴン宰相に銃撃した後に再びビーム転送を用いて艦内から去る。
その一方、クリンゴン帝国艦は攻撃してきたと思われるエンタープライズ号に直ちに反撃をしかけるが、カーク船長が全面降伏を宣言したことで辛うじて攻撃は回避される。
さらにカークは、医者の存在しないクリンゴン帝国艦内にエンタープライズ号船医のドクター・マッコイ(演:ディフォレスト・ケリー)と共にビーム転送で乗り込み、銃撃を受け瀕死の重症のゴルゴン宰相の救命を申し出る。
しかし、未知の異星人であるクリンゴン人の医療には限界があり、マッコイの尽力虚しくゴルゴン宰相は世を去る。
この事態に際し、残された娘のアゼドバーとチャン将軍は、この一連の襲撃事件の最重要容疑者として、カークとマッコイを逮捕。
エンタープライズ号を中立宙域に残し、二人を裁判にかけるべくクリンゴン帝国艦はクリンゴン領へと帰還するのであった。
いったいクリンゴン帝国艦を光子魚雷で撃ち、同艦に潜入してゴルゴン宰相を銃撃したのは何者で、何を目的としていたのか?
もちろん自分たちが犯人では無いと確信しているエンタープライズ号に残されたスポック達は、その謎を解きつつカークとマッコイを助けるべく、クリンゴン帝国領内への危険な侵入を試みる。
その一方、クリンゴン帝国に連れ込まれたカークとマッコイは、クリンゴン帝国での、限りなく不利な裁判に掛けられようとしていた。
はたして、カーク達とクリンゴン帝国と惑星連邦と銀河の運命やいかに!?
さて今回は全銀河のトレッキーみなさまお待たせしました!
待望の劇場版スタートレック作品回です!
それもウィリアム・シャトナー演じるカーク船長をはじめ、TVシリーズ時代からのオリジナルキャストとキャラによってお送りされたシリーズの最後を飾る作品回です!
例によって、今一度『スタートレック』とは何ぞや? を語っておくならば……。
本コーナー第三十五回『“スタートレックⅡ:カーンの逆襲” 老いたる主人公達の新たなる冒険のはじまり』
……の他、第五十回、第五十一回、第九十一回、第一一〇回、第二一回の数々の劇場版『スタートレック』回を読んで頂くとして……。
超ザックリと語ると約60年間ほども続く『遠い未来……(主に)カーク船長率いるエンタープライズ号が、宇宙を舞台に大冒険する』を描いた超人気宇宙SFテレビドラマ&映画作品群です。
その魅力は、遠未来の宇宙を舞台に『スターウォーズ』級のアクションやバトルが行われるだけでなく、人生、社会、国際情勢や環境問題を、宇宙の生命や文明やあらゆるSF的現象に置き換え、生命や倫理や道徳や人生とは何か? を問いかける見事なドラマとしたところにあると思われます。
して本作は、その劇場版『スタートレック』の6作目にして、オリジナルシリーズの完結編となりわけです。
こも後もスタトレ映画は造られ続けますが、以後は新たなる時代の新たなる主人公たちの物語となります。
そのシリーズ完結の大役を任され、脚本と共に監督したのは、前述した『スタートレックⅡ:カーンの逆襲』を撮ったニコラス・メイヤー。
劇場版スタトレシリーズで最も面白いと言われている『カーンの逆襲』の監督なのですから、その面白さは保障されたようなものです。
また『シャーロック・ホームズ』シリーズのパスティーシュ(半公式二次創作のようなもの?)を何冊か書いている作家でもあり、その経験が本作の物語に大いに活かされているのです。
そして出演者は!?
カーク船長演じるウィリアム・シャトナー、人気キャラのミスター・スポック演じるレナード・ニモイをはじめ、ディフォレスト・ケリー、ジェームズ・ドゥーアン、ニシェル・ニコルズ、ジョージ・タケイ。ウォルター・ケーニッグのエンタープライズ号のクルー達が全員顔を揃えてるのはもちろん、ゲスト俳優として、『セックス&ザ・シティ』の主演で有名なキム・キャトラルや、近年では『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』等の出演が記憶に新しい名優クリストファー・プラマー(故)などが出ており、劇場版らしい華やかさを添えております。
そんな本作は、公開当時までのスタトレ映画の中でも屈指の大ヒットとなり、オリジナルシリーズとしてのスタートレックの歴史に有終の美を飾ったのであります。
筆者も公開当時は大いに期待して劇場へ行き、シリーズの完結を見送ったものです。
しかして、本作が何故にそこまでヒットしたのか?
……と例によって考えるならば、模型特撮技術の最盛期にして最後の宇宙船バトルが存分に見れることや……。
ジュラシックパークのちょっと前、ターミネーター2とほぼ同時期に投入された最新のCG技術を用いたVFX映像……。
誰がどうやってクリンゴン帝国艦に光子魚雷を撃ったのか? ……という謎解きを、ミスター・スポックがシャーロック・ホームズの名台詞と共に解き明かすミステリー要素や……。
エンタープライズ号クルーの頼もしいチームワークや。
劇場版三作目で初登場して以来、ようやく大活躍するエクセルシオ号の雄姿や。
ウィリアム・シャトナーの何歳になっても変わらないナルシズム溢れる名演に……。
既に放送されていた本作のおよそ80年後の宇宙を舞台にした新TVシリーズ『スタートレック:The Next Generation』との数々の繋がり要素などなど、さまざまな要因が挙げられます。
もちろん本作をもって、一時終了となる劇場版『スタートレック』を、筆者のように見送ろうとしたトレッキーも大勢いたことでしょう。
そしてその結果、本作の成功が、この後に続く新たな劇場版『スタートレック』へと繋げた……と言って良いと思います。
本作はそれまでの『スタートレック』の集大成であり、同時に次なる劇場版『スタートレック』へのバトンとなったのです。
そして他のスタートレック作品がそうであるように本作もまた、人が世を生きる上で、大いに有用なエレメントを与えてくれるのが、大きな魅力な気がします。
それは本作の場合、混迷の度合いを深めてゆく2026年現在の世界情勢の中にあってはなおさらなのです。
その部分こそが、本作最大の魅力だと思うのです。
ザックリと言えば、本作は公開時の数年前に起こった米ソ冷戦の終了にインスパイアされた物語です。
現実世界ではアメリカとソビエト連邦で行われていた冷戦が、チェルノブイリ原発事故や東西ドイツのベルリンの壁崩壊から終了したように、本作では、地球を中心に結成された惑星連邦と、覇権主義国家クリンゴン帝国との、クリンゴン母星の月崩壊を切欠とした講和を描いた物語なわけですが……。
当然ながら、数十年も敵対していた国家と、そうそう容易く和解できるわけがありません。
なにしろ主人公たるカーク船長自身が、クリンゴンに恨んでも恨み切れない程の憎しみがあるのですから……。
今現在、現実の世界で起きている戦争でもそうであるように、すでに多くの命が互いによって奪われてしまった後で、和平を結べ、これからは仲良くしろ! と言われて、ハイそうですかそうですねと素直に従える人など、そうそういるとは思えません。
ですが、そうであったとしても、いつかは人は争いから手を引かなければなりません。
これから生まれてくる命にまで、争うことを強いて、永遠に戦い続けることなど出来ないのですから……。
本作はいかにしてその和平が成しえたか? ……に挑戦したのが本作なのです。
……とはいえ、映画の中で描かれたことが現実でも成しえたなら苦労はせず、本作での惑星連邦とクリンゴン帝国との講和とその経緯に納得が出来るか?は人それぞれでしょう。
完璧な答えなど出せたら苦労は無いのですから。
ただ、この題材に果敢に挑戦したことの意義があり、それこそがとてもスタートレックだと思うのです!!
さてここでいつものトリビア。
元エンタープライズ号操舵主のスールーが船長となって、本作7で大活躍する惑星連邦の最新鋭宇宙船エクセルシオ号のクルーの一人役で、当時のハリウッドのスター俳優クリスチャン・スレイターが出てる。
本作撮影時、隣のスタジオではアルパチーノが映画撮影しており、ドアを開けたらカーク船長とミスター・スポックがいる! というドッキリをしかけられたことがある。
本作ではクリンゴン人の血液がピンクに近い紫色であることが判明するが、それは赤い色にしちゃうと、映画のレーティングが上がっちゃうからその色にした。
……ってなわけで『スタートレックⅥ:未知の世界』もし未見でしたら長寿と繁栄を!




















