ネットでは言ったもの勝ちなのか? | 井上政典のブログ

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 歴史ナビゲーターの井上政典がお贈りする祖国日本への提言です。
 
 ご意見は賛成反対を問わずどんどん書いてください。

 ただし、社会人としての基本的なマナーは守ってくださいね。

 愛知県一宮市で消防団員が消防車でうどん屋に寄ったということにクレームがついたとの記事がありました。

 

 すぐに消防団員の日ごろのご苦労を知っている人たちからの反撃で鎮火したもようですが、あまりにもこのクレームはお粗末です。

 

 勤務中の消防団員でも昼食は食べます。災害救助中の自衛隊員も人の子です。飯も食えば風呂も入ります。

 

 警察官も休憩時間にはラーメンくらい食べるでしょう。

 

 それをなぜクレームを言うのでしょう。理解ができません。

 

 もし、警察官がパトカーでラーメン屋によって昼食をしていたら、その店は警察官が立ち寄る店として強盗などの犯罪の抑止になるでしょう。

 

 消防団員や消防官がチームで休憩時間にうどん屋に言っている時に、急に火事が起こったら、その場からすぐに現地に急行できます。

 

 まずいのは、休憩時間だからと言ってわざわざ自家用車でチームのみんなと離れてうどん屋に言っている時に大規模な火災が起きた場合、出動が遅れることもあります。

 

 また、テレビのコメントでは消防官と消防団員の区別もついていないようなコメントがありました。

 

 あほ丸出しだと言えるでしょう。

 

 そしてその人たちは地域活動など全くしていない人だと断言します。

 

 少しでも地域活動をしていたら、地域の防犯や火災の時の補助がその地域の人たちの活動によってどれだけ支えられているというのがわかるからです。

 

 消防団員のお仕事の大切な仕事をいくつか私の知っている限りで書きます。

 

 まずは、火災が起きた時に消防車が速やかに最短で現場で行きつくように道案内をすることです。

 

 消防署は広い地域を管轄し、日ごろからその管轄地域を巡回して地理を頭に入れておられますが、地元の人間の方がどの道なら大型の消防車でも無理なく入れ、消火栓や水源がどうなっているのかを熟知しているのが消防団員です。

 

 ですから、火災のときには消防署と密な連携をとって速やかな消防活動ができるように補助したり初期消火にあたったりする地域の消防隊です。

 

 御手当は一回の火災への出動で数千円で、これを主な仕事にしている人はいません。みんな自分の仕事を持っている傍らのボランティア活動のようなものです。

 

 消防団員は地域を火災の被害から少しでも護るための重要な役割の担う地域の重要な方々だということを理解してほしいと思います。

 

 山で遭難した時も地元の警察と消防が協力してという時に、地元の地形にくわしい地元の消防団員が動員されます。

 

 そして昼夜にわたり必死に救助作業にあたり、仕事のある人はろくな睡眠もとらずに、本来の自分の職務に戻るのです。

 

 けっして簡単な仕事ではなく、楽なものでもありません。でも、彼らの心の奥底にあるものは自分たちがこの地域を護るという気高い使命感があることを忘れてはいけないのです。

 

 苦情を言う前に、ちょっとでも地域活動をしてみたらいいのです。

 

 うちの近所の公民館でもこういうことがありました。

 

 福岡市でも最大級の灯明祭りを秋に開催しているのですが、数か月前から100人近い実行委員会が立ち上がります。そしてデザインや協賛金集めや当日の人員配置のための打ち合わせなど十回以上の打ち合わせを繰り返します。

 

 そして当日は諸団体にお願いして紙袋に砂とろうそくを入れての灯明を二万個ほど作り、室見川の河原に置いていきます。

 

 夕方点灯式をしてその二万個の灯明に火をともしていきます。だんだん日が暮れてきて灯明で描かれているデザインがくっきりと鮮やかに人々の心を打ち、驚嘆の声があちこちで聞こえてきます。

 

 子供たちがうれしそうに見て回る姿や恋人同士が秋の夜を楽しんでくれる姿を見ながら私たち実行委員は事故や問題がないようにパトロールを繰り返します。

 

 そして9時になると一斉に片づけを始め、11時ころまでにはすっかりほぼ元通りの河原になるのです。さらに翌日の8時から夜では見えなかったゴミや不必要になった砂を片づけていきます。

 

 そしてやっとご苦労さん会が公民館で行われます。

 

 数か月このイベントに取り組んでこられた役員の方々や私のように数日間だけ実行委員としてお世話した人間が公民館に集まり、反省会という懇親会がビール党を酌み交わしながらあるのです。

 

 それにより地域の連携がより深まり、犯罪の防止や放火等の未然の防止に貢献しています。

 

 しかし、その懇親会だけを通りかかった住民の一人が「この会のお金は税金で賄われているのだろう」とクレームを公民館長の所につけてきたのです。

 

 それを聞いた会議の参加者は一斉に怒りました。

 

 そういう時は私がすぐに発言をするのですが、「いったい誰がそういう心無いことをいうのか?私がその人の所に行って翌年は実行委員会に参加してもらうように説得に行く」と言ったのですが、温厚な人柄の館長は「ちゃんと私がなだめておきましたから」とだけ言われました。

 

 その懇親会に参加されるのはどんなに誘っても当日数時間だけしか働かなかった人は遠慮されます。最低でも数日、ほとんどの人が数か月にわたってその実行委員会の主だったメンバーが参加するのです。

 

 補助金という税金から支払われたそのささやかな懇親会が賄われようといいと思いませんか?

 

 それ以外は全くのボランティアで、私など現役の世代の人たちは仕事で実行委員会に出られずに謝っている人も大勢います。

 

 世の中すべてお金では動いていません。

 

 日本の治安がいいのは昔から地域の自治がうまくいっているからです。そしてたくさんの人が無償で地域のために汗を流しているからです。

 

 そういう活動をしたことのない人には、一切わかりません。

 

 天下国家を語る前に、自分の住んでいる地域のことをしなければ、ただの根無し草です。地域の活動をすればするほど、たくさんの善意で地域の安全が護られていることがわかります。

 

 もう私も地域の役員をやって10年以上が経過しました。

 

 私の世代がいるとその下の世代も気軽に参加してくれて今うちの町内では深夜の夜間パトロールなどを実施するときはすぐに数人に壮年の男性が集まります。

 

 ただ、いつも誰も不審者は見つからず、平安なままです。みんな腕に覚えのある人間ばかりを集めているのですが、笑いながら肩透かしを食っています。

 

 そして一時間後には近くのコンビニでビールを二本ずつ買ってお駄賃として渡します。これも町内会費として集めたお金です。この使い方おかしいですか?

 

 ネットで市井の人間が大勢の不特定多数に自分の意見をいえるようになりましが、大部分が思っていなくても「不快だ」とか「おかしいのでは」というクレームが一件でもあったら、すぐに謝るようなことは止めたいと思っています。

 

 そろそろそんなクレームには「何が悪い!」と開き直り、自分で一度やってみろと強気言うことが必要だと思います。

 

 それが多数の住民の意見ならば真摯な態度で聞くべきですが、一人や二人のひねくれものや事情が分からないままに言っている気分屋の言うなりになっていると、だれも自らの時間を使っての地域活動をする人がいなくなると思います。

 

 消防団員にかかわらず、自衛隊員、警察官、消防官も休憩時間などのときはどんどん制服で公用車を使って食事に行ってください。そちら方が治安面で有効だと思います。

 

 ただ、非番の時に公用車を遊びに使うのはおかしいと思いますので、その線引きをきちんとされていると思いますが、気を付けてくださいね。

 

 一宮の消防団員の方今後も気にせずに休憩時間に消防車でうどんを食べに行ってください。

 

 ほとんどの人が、口に出さずとも「お疲れ様です」と思っていますよ。