昨日のオスプレイの不時着に関する記者会見の動画が下記のURLで見れます。ぜひ、見てください。通訳もついていますので誰もが分かると思います。
http://hosyusokuhou.jp/archives/48779973.html
ニコルソン中将の話し方を見て、37年ほど前の新入社員時代の怖い部長を思い出しました。
その人はとても厳しく、すぐ怒鳴るように怒るのですが、私たちが体調が悪いととても気を使い、心配してくれました。研修が終わり全国に散った私たちですが、元気のない仲間には直接電話で話をしておられました。
私はいつも元気だったので、そんなことはありませんでしたが、友人の中には「あの鬼部長が電話してきて、優しく気遣ってくれたんだ」と話してくれたことを思い出しました。
このニコルソン4軍調整官(米軍は陸・海・空軍と海兵隊で4軍といいます)は、強面ですが、記者会見の内容をよく見てみるととても部下思いであることがわかります。
きっと怖い上官であることには間違いないでしょうが、部下を信じ、部下の名誉を守るために一所懸命にしゃべっているということを感じました。
ただ、女性の通訳の方は英語はすごく上手なのですが、オスプレイの構造やその状態を十分にわかっていないように思えます。
プロペラとプロペラブレードとここでは一緒なのですが、日本語だけ聞いていると別物のようにも思え、空中給油機のホースが切れたことが問題のように訳しているように思えます。
実際は、空中給油機から後方に伸ばした給油ホースが何らかの理由でオスプレイのプロペラブレードに接触してプロペラの羽根の一部が損傷し、それによってプロペラの安定した回転ができなくなったのです。それでも、数十キロ飛べたのですから、機体が激しくゆすぶられていても、すぐに墜落するような状態ではなかった模様です。
つまり制御可能な状態だったといえるでしょう。
普天間基地から30キロ離れた洋上でこの訓練を行っている時に起きましたが、パイロットは飛行には支障ないがこの不安定な状況で最悪のことを考えると民間人のいるエリア上空をまたいで飛ぶのは危険だと判断し、そこから洋上を飛行していくことのできる北方のキャンプシュワブに向かうことを決断し、全力でそこに向かいます。
もし、そのまま陸地を飛行することも可能だったそうですが、そうなると少ないとはいえ沖縄県民が住んでいる地域を飛行することになります。それを徹底的に避けるのです。
そして岸から1キロの浅瀬に不時着を試みるのです。
浅瀬といっても海の中ですから着水すると陸上では考えられないほどのいろんな方向からの力が加わり、機体が損傷しています。当然不時着後の潮の満ち引きもあります。
ニコルソン中将は繰り返し、部下の判断を適切だったとほめ、沖縄県民や住宅に何も被害を与えずに、自分たちもけがはしたとはいえ無事生還していることを評価するスピーチをしていました。
昨日も書きましたが、最悪の中で最良の決断をして最善の結果になったと思います。
このニコルソン中将の心理の奥に、自分たちの存在は沖縄と日本を敵から守っているという強烈な軍人らしい自負心が垣間見えます。
そのために日ごろから激しい訓練しているだと説いていますが、偏向眼鏡をかけた沖縄県の記者には理解できかねない模様でした。
ただ、ある記者がけがをした米兵の様子を聞いた時に、ニコルソン中将は「とてもいい質問をありがとう、心使いを感謝する」というようなことを言っていました。
沖縄県民に被害がなかったのだから、負傷した米兵の心配をするのが同盟国の人間として当たり前ではないでしょうか。
私は日本の領土は日本人の手で守るべきだと思っていますが、現実を考えると憲法改正をしない限り在日米軍の存在は必要不可欠になっています。
とても悔しいのですが、現在の憲法下では自衛隊単独では日本を守り続けることは極めて難しい状況下にあります。
沖縄県知事や副知事のように米軍は出て行ってくださいというのはあまりにも無責任です。
なぜならば、そこにはCHINAの存在がありありと見えているからです。
もし、台湾・沖縄県のあたりで日本のシーレーンを遮断すると、日本は中東からの石油や天然ガスが入ってこなくなり、すぐに干上がってしまいます。
国内にある50基近い原子力発電所が総稼働しているならば、国内の電力は節約すれば十分に賄えるのですが、現在は反対派の思うつぼでそれができません。
ということは、日本は安全保障上とても危険な状態にあるのです。
一月まで腰抜けのオバマ大統領では強硬な手段をとるはずがなく、トランプ氏の強硬な発言だけがCHINAに対するいい抑止力になっているのが現状だと思います。
そういう状況を理解していない日本人が多く、その代表がこの記者会見にいた記者の人たちだと思うのです。
毎日新聞の記者が「謝罪の言葉はないのですか?」と最初の質問をしていました。
ニコルソン中将は「リグレットregret(反省する・後悔する)」という言葉で最初にスピーチしています。それを「謝罪の言葉」としてとらえきれていない記者の教養はこの程度のものでしょうか。
それとも不祥事を起こした日本企業の役員がするような長い時間頭を下げる行為を期待していたのでしょうか。
私が好感を持ったのは、ニコルソン中将の「私が知っていることはすべて皆さんに伝えた」という透明性を強調した言葉です。
変に隠そうともせずに、ありのままをこの記者会見でしゃべっていたように見受けられますが、皆さんはどうとらえましたか?
ちなみに空母から発艦する攻撃機のタンクには燃料が満タンに入っていません。なぜなら爆弾等を最大限に積んでいるので飛び立ちやすいように少しでも自重を軽くして発艦します。
そして目的地に行く途中で空中給油機から燃料を補給してもらって目的地へと飛びます。
とても合理的でしょう?
特に海の上を飛ぶ場合には空中給油というのは必須事項です。
今までのヘリコプターはその機体の構造上空中給油ができませんでした。だから東北大震災の時に沖縄県の基地を飛び立ったCH-46は途中で給油を繰り返し仙台空港まで3日もかかったのです。
でも、オスプレイな3時間で到達できます。それも3倍の重量の荷物を積んでです。
それ以上遠くへ飛んだり、現地で燃料補給ができない場合は空中で給油を受けてその航続距離を伸ばします。
軍事上・防災上当たり前の行為です。 そしてそれには日頃から訓練が必要です。軍人さんたちも命がかかっているのです。
そして今回はオスプレイが大破しました。大体一機100億円(米軍が調達する場合はもっと安いのでしょうが・・・)くらいかかります。
この若いパイロットは、機体の値段よりも人の住むところに墜落する危険性を考えてあえて浅瀬へ不時着したのです。
それも人口の多い普天間基地ではなく、ルート上に人がいない海上ルートを選んだのです。
立派な決断だと思います。
祖国に外国の軍隊が駐留していることは嫌ですが、国家間の条約で認めている同盟国ですから仕方ないと思います。
英語のわかる方はニコルソン中将の発言をよく聞いてみてください。決して沖縄二紙が言っているような傲慢な発言はしていませんから。
国家の安全保障は、絶え間ない訓練を積んだ勇敢な軍人によって守られ、それを理解する賢い国民の防衛意識によって支えられることを理解しなければなりません。