NHKの大河ドラマ平清盛が始まりました。
放送開始から皇室に対して「王家」と書かれていたこともあり、物議をかもし出していました。そのためか、初回の視聴率はあの駄作の「お江」よりも低かったと伝えられています。
歴史ナビゲーターの観点からちょっと評論させていただきたいと思います。
まず、画面がほこりっぽい。これは、龍馬伝の時からの手法になっていますが、大陸か半島の時代劇と間違えているのではないですか?
初回の舞台になったのが京都と瀬戸内です。その地方に住んでおられる方は良くわかると思います。適度な湿気があり、あれほどほこりっぽくありません。それに、家の前に打ち水をするのは、日本の伝統的なしきたりです。それは、ほこりを立てて人に迷惑をかけないという心使いです。
さらに、平氏は身分が低いと描かれていますが、中級貴族です。そして上皇にも直接会うことができる身分です。そんな低い身分では上皇様に合えるわけがありません。
それを、一豪族のような服装や汚れ切った体で演技したらあの世の清盛さんが怒って祟りをしそうです。
当時から、合戦はあまり刀で切り結ぶことはしませんでした。ほとんどが弓の世界です。吹石和恵さん(本当にきれいですね)演ずる清盛の母が弓矢でやられるシーンは評価できるのですが、その他の乱闘のシーンはちょっと首をひねります。
清盛が鳥羽上皇の落し胤であることは、定説になっているわけではありませんが、充分に可能性はあるので良しとしましょう。
ただ、「王家」という言葉が頻繁に耳に入ってくることにちょっと違和感があります。
理由の第一として、やんごとなき皇室に関して、「王家」と直接的な表現をすることは大変不敬なことです。庶民の私たちでも尊敬する先生のフルネームを呼ぶことは希でしょう。大体、先生と呼び、その一般名詞である先生が話している人達の共通認識により「固有名詞」と同じことになります。
当時の身分制度ははっきりしているそれも都で、ご皇室のことを「王家」と会話で呼ぶことがあるでしょうか?そんな失礼なことがあるわけありません。言葉は時代とともに変わってきておりますが、尊い存在に対し、直接的な表現をする日本人がいたでしょうか。
他の評論を読んでいると、王家という呼び方があったとNHKの御用学者は言っていますが、それは文章の中で不特定多数の人が読むときにわからないのでそういう表現をしたのです。会話の中でわかることはそういう直接的な表現をするわけがありません。書き言葉と話し言葉を同じにしようとしたのは、明治に入ってからです。
福岡で有名な太宰府天満宮の宮司さんの苗字は「西高辻」さんです。この西高辻さんは、菅原道真公の直系です。だから菅原姓を名乗っても不思議ではないのに、違うのはどうしてかと聞いたことがあります。
すると、西高辻宮司は一族がまわりに住んでいてみんな菅原姓を名乗っていたときに、誰が誰だかわからなくなるので、住んでいる場所でその一族をあらわしたのだと教えてくれました。つまり西高辻に住んでいた菅原さんが今の西高辻家なのです。
室町幕府も京都の室町という場所に幕府の役所を置いたから室町幕府というのであって、当時の人が室町幕府といったことはありません。ただ、幕府とは恐れ多くていえないために「室町のほうから命令が来た」という会話をしていたのです。
だから皇室を貶めるNHKの意図的なものとしか思えないのです。
これに関してよく「天皇家」という言葉もありますが、これも大東亜戦争後に左翼が使い始めた言葉です。同じように「天皇制」という言葉もそうです。
日本の歴史・文化をちゃんと学べばすぐにわかるのですが、皇室には苗字がありません。姓がないのです。
清国の最後の皇帝の名前は、愛親覚羅溥儀といい、愛親覚羅という姓があります。それは、多数の王朝が存亡を繰り返してきたことの歴史的な証左です。
しかし、ご皇室は万世一系の天皇様をいただき2672年間今上天皇陛下までの125代連綿と続いているのが日本の皇室です。姓がないのに、どうして家と言えるのでしょう。
さらに、天皇様には「私」が存在しません。世界中でただ一人「無私」を貫かれている方です。
家という私的な家族もないのです。それを「天皇家」と呼んで、井上家や野田家というように臣下と同じような存在に貶めている言葉なのです。
それを知らず知らずして皇室を大切に思っておられる方も使っているところにこの問題の深さがわかります。
学校教育でこれを教えても全員が理解するまでに百年かかるでしょう。だから、微力ながら私はこうやって発信し、講演や寄稿して世の中に訴えているのです。
日本人が日本人として存在するために絶対欠かせない二つのもの。
それは、日本国籍とご皇室だと思っております。
ぜひ、ご意見や反論があればどんどんお寄せください。私は実名でこの文章を書き、発言しています。正々堂々といつでも反対意見や賛同の意見を受け付けております。
日本人が日本人としての矜持を取り戻すまで、発言し続けます!