【ちょっと一休み】アレキサンドリアを観て | 井上政典のブログ

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 「アレキサンドリア」をDVDを借りてみました。

 3世紀後半から4世紀の前半ですが、キリスト教が次第に勢力を持ってくる様子が良くわかります。ベンハーなどでキリスト教が興ったときは良くあるのですが、その後どのようにしてキリスト教が拡大していったかをアフリカの都市、アレキサンドリアを舞台に女性の哲学者を中心に物語が進行していきます。

 邦題は「アレキサンドリア」ですが、実題は「アゴラ(広場)」というものです。

 ギリシャ・ローマ文化では女性を卑下する文化はありません。神々の中に女神様たちがおられるからです。ところが、唯一の絶対神を持つキリスト教では、女性は男性のあばら骨から作られた従属物としてみなされます。その反発として現在の女性はとても強いのですが・・・。

 ローマ帝国古来の宗教とキリスト教、ユダヤ教の抗争が始まり、まずはローマ帝国古来の宗教を捨て去り、さらにユダヤ教とも抗争を繰り広げるキリスト教。最後はキリスト教主教を非難した女性哲学者を聖書の一説を用いて民衆に殺させるという今までのキリスト教国の映画ではないような結末を見せる映画です。

 これはまるで、イスラム教への恐れを啓示しているのか、それとも純粋にキリスト教の一神教という排他的な文化を非難しているのか、見る人の背景によって変わるものだと思います。

 普通の日本人が見ると、どうしてそこまでするの?というのが一般的な見方でしょう。

 でも、これが世界の常識だということを日本人が知ることはとても大事なことと思います。特に憲法9条を金科玉条のように大切に守ろうとしている方々は、世界秩序は隣国の良識を信じるだけでは守れないということがわかるはずです。

 友情よりも、国家権力よりも、キリスト教の神への従属が優先する社会はちょっと私には受け入れないものがありました。

 でも、この映画は大変見ごたえがあり、時々監督が意図的に宇宙からその場を見るという手法は、神の目から見た人間のように思えてなりません。

 ただ、ひとつ明確に気付いたのは、宇宙から見ると、人間が文明といっている地域だけが土色で緑がありません。自然を克服するものだと考えている西洋人の答えがその衛星写真に如実に現れているように思えてなりません。

 まだ、日本を衛星写真で見ると緑の多い、自然と共生して発達した文明だと思えてよかったと思います。