②日銀の大企業株引受は金融緩和のためというのはウソであり、事実は日経平均株価への肩入れにすぎない

 

 先進国のどこの中央銀行も上場企業株を買い入れるような恥知らずなことはやっていません。先進国の中では日本だけがやっていす。

 世界中の政府は日本を冷笑しています。なぜ、口に出して言わないのかというと、他国の政府や投資家はそれを非難するよりも、便乗して一緒に儲けようとする傾向があるからです。

 中国共産党の共産党独裁経済についても、あらゆる国の政府や投資家たちはこれを非難することなく、むしろ便乗し、一緒に儲けようとしています。

 なぜ、世界中どこの政府も、中央銀行の企業株引受をやっていないかというと、経済政策として、あまりにも露骨な大企業優遇であり、中小企業や低所得層に対して、暴動を誘発するほどの敵対行為となるからです。欧米の労働者は大人しくはありません。

 株価操作やインサイダー取引の横行は、不採算部門に無慈悲ですから、回り回ってその国の労働者を搾取する強力な手段となります。

 外国で、中央銀行が企業株を買って、特定企業に肩入れすれば、普通、暴動が起こります。

 それがどれほどの大企業のエコヒイキであるかは、たとえば、無限の財産を持つ大富豪が株主になり、資金を提供すれば、どんなボロな会社でも羽振りが良くなるであろうことを想像すれば判るでしょう。

 そうすれば、あっという間にボロ会社も大企業にのし上がり、豊富な「資金力」で大量生産体制を作り上げ、価格競争で他の競争相手を圧倒し、市場を独占したり、他の企業を買収したり出来るようになります。

 例を挙げれば、日本においては、中小企業はほとんど融資を止められているというのに、ユニクロは日銀から豊富な資金を得ています。

 中小企業が頑張ろうとしても資金力で戦いになりません。しかも、ユニクロが得ているのは返済しなくても良い株へ投資されたお金なのです。そんな夢のような話、日銀がユニクロにプレゼントしているのです。

 自民党は、株価の買い支えで景気の下支えをすると言っていますが、それは口実にすぎず、実際は、自民党の規定路線の大企業優遇と中小企業潰しやっているだけです。

 自民党は、株価を支えることが国民のためになると言っていますが、景気回復の手法として、一部の、ごくわずかな、上場企業の株価を上げ、国際投資家たちに大盤振る舞いをして儲けさせることが真面目なマクロ経済政策であるなどとは、世界のどの政府も思わないでしょう。

 勘違いしてはならないのは、株価は、実体経済(内部留保金またはその将来の予測)を反映している場合に限り意味があるのであって、政府や国際投資家グループによる株価操作で上がっても、実体が伴わないインチキなギャンブルが行われているに留まるということです。

 ただし、企業利益を上げるための合理化や市場の独占および労働者の賃金を下げれば株価は上がるのですから、いまや、株価が上がったところで国民生活が良くならないことは世界の常識です。

 生産部門への投資ではなくても株価は上がるです。

 日本では、総理大臣やその他の大臣たちが、合理化や独占化の方向性をもって、生産性を上げるだの、効率化を図るだの、まるで、企業の経営者になったかのような発言を繰り返していますが、政治家の仕事は、企業が効率化を図るために切り捨てた弱者の救済に存在するのであって、自分たちが、弱者を切り捨てる側に付くとは、何を考えているのでしょうか。

 さらに、自民党は株価操作やインサイダー取引をやって、実体の伴わない株価を上げて、日本経済の何かを支えているようなことを言っていますが、彼らが支えている者たちは国際投資家という、労働者を食い物にする者たちの利益です。

 少なくとも、一般的な国民ではないし、決して、弱者と呼ばれる人たちではありません。

 大企業はその金で国内の競争相手の中小企業をなぎ払い、それだけでは飽き足らずに、中国をはじめとする海外に進出して、日本に逆輸出攻勢をかけています。

 これを自民党が後押しをしているのですから、もう、自民党は日本国民を憎み、敵視しているとしか思えません。

 さらに、また、自民党政府は、日銀に、大企業株を買い、株価を支えるように指示しました。そして、自民党政府は、日銀が大企業株を買うことを究極の金融政策であると言っていますが、この勘違いを正す者は出て来ていません。

 いやはや、なさけないレベルの話をしなければならないようです。

 自民党が、日銀の企業株引き受けを金融政策であるなどとタワゴトを言っているのは、確かにマネーストックとマネタリーベースは増えるからです。

 しかし、そのマネーストックは大企業の懐に入り、大企業の内部留保金を潤します。内部留保金は純資産ですから、株価を上げ、そのとき、一緒に既存の国際投資家の古い持ち株の価格も上げるのです。まさに、大企業と富裕層への大判振る舞いです。

 しかし、そのマネタリーベースの増加については、金融緩和においてマネタリーベースを増やそうとするものとは目的が異なります。

 大企業の資金調達先は直接金融であり、中小企業の資金調達先は間接金融です。

 大企業と違い、中小企業の資金調達先は金融機関の融資(信用創造)であることを忘れてはなりません。

 金融緩和の目的は、金融機関をして中小企業に貸し込ませ(信用創造を行い)、内需主導型の景気回復を図ることにあります。

 そして、中小企業への融資(信用創造)が行われると、中小企業は労働分配率が高く、利益の上げ方について効率的ではないので、その非効率性をもって、底辺にまで所得が再分配され、国内の消費が活発になり、それゆえ、内需主導型、消費主導型の景気回復であると言われるのです。

 したがって、中小企業への融資を目的とする金融緩和は労働者にとっても利益になります。

 このように、本来の、金融緩和はマネタリーベースの供給先を金融機関とし、金融機関にバラマキ先の企業を選ばせるというものですが、このたびの、日銀による企業株の買取りは、日銀が直接大企業に大金を引き渡すというものです。これは、輸出型大企業に貿易売上金に対して通貨発行権によって発行された円通貨が分配されることと全く同じです。

 マネーストックの分配先に大企業を選び、大企業に使い方を委ねれば、大企業の下請けとなる以外に、中小企業は生き残る道がなくなります。

 本当に、日銀による大企業株引受政策は大企業にとって都合が良く、中小企業にとっては悲劇的なものになるのです。

 大企業にマネーストックをプレゼントすれば、マネタリーベース増えますが、これは今までと同様の使われないマネタリーベースです

 金融緩和をしても中小企業融資が行われないのなら、大企業が金を金融機関に預けることでマネタリーベースが増えたとしても、どの道、中小企業融資は行われないのです。

 もちろん、マネタリーベースが増えると、銀行の融資枠は増えます。そこは金融緩和と同じです。しかし、どうせ、染み出し効果などはないので、内閣府や日銀が宣伝しているような金融緩和という効果はまったく存在しないのです。

 それにも関わらず、なぜ、日銀が、銀行を出し抜いて、自分が証券市場で直接大企業に資本参加するようなことをやっているのかというと、その方が、金融機関の儲けの心配をせずに、株価操作に集中することが出来、国際投資家たちが喜ぶからです。

 銀行の準備預金などのマネタリーベースを増やしたいのなら、国債などの買い取る資産が不足したとしても、素直に銀行にゼロ金利で貸し出せば済む話なのに、それをやらなかったということは、金融緩和が目的ではないからです。

 この政治界隈に横行するイカサマ、インチキ、猿芝居はもはや目に余るものがあります。

 金融緩和をやりつくしたがそれでも効果が出ないので、残された最後の手段としての、究極の金融緩和と称し、あるいは、政府財政を支援するために、日銀も儲けを出すぞと称して、すなわち、国民をだまして、投資信託管理会社を使って、株価操作とインサイダー取引にまで手を出してしまったのです。

 そして、無限の通貨発行権を持つ政府の子分の日銀がスポンサーとなり、日経企業株を買うという、世界中で、中国以外は思いつきもしなかった離れ業を行うに至りました。

 中国では当たり前のような企業の官民共有ですが、あらゆる企業の生殺与奪権を持つ政府が、特定の大企業の株主となることは世界中の先進国で禁止されていることです。

 もはや、日本は、世界中で禁止されていることに手を出していることを忘れてはいけません。

 日銀の日経企業株の買い取りという、究極のインサイダー取引が、日銀の動向を熟知する投資家と呼ばれるグループを肥太らせたことはもはや周知の事実です。

 その証拠に、日本の大企業はいまや空前の内部留保金を積み上げ、富裕層はますます金持ちになっています。

 そして、同時に、日銀の動向に無知な未熟な投資家グループに損失を与えたこともまた確かです。

 日本の経済学者で、こうした分析や批判をやった者がいないことは驚くほかありません。

 中国が市場原理主義、新自由主義の国であるとは言えなかったのは、余りにも、共産党政府が共産党出身の資本家に利益誘導しすぎると考えられているからです。

 日本は、今、その中国化の道をひた走っており、もはや、それなりに公平であるという意味における市場原理主義、新自由主義ですらなくなりつつあります。経団連独資本主義または無政府自由主義と言い換えるべきでしょう。

 中国においては共産党が政策を牛耳っているのと同様に、日本は経団連や日経上場企業が政策を牛耳り、同様に市場を独占しつつあるのです。

 今、日本が世界でも随一の新自由主義、金融資本主義の国であるということと、新自由主義、金融資本主義の国ですらなくなりつつあるということは矛盾していますが、これは、独占資本が国を牛耳る過程において、独占資本による政策のコントロールが強くなりすぎ、何事も一定程度の段階を過ぎると、その本質が変わって行くことの一例です。

 日本は普通の新自由主義、金融資本主義の国から、中国と並ぶほどの独特で個性的な新自由主義、金融資本主義の国へと変貌しているのです。

 そして、アメリカのトランプ大統領がTPPから離脱しても、なお、自信満々で安倍首相がTPPを推進し得たのも、日本がアメリカ以上に国際投資家グループの利益に貢献しており、国際投資家グループから、忠としての絶対の愛情を受けているという自信があったからです。

 もちろん、これは、日本の労働者を搾取と略奪の餌食として差し出したことによって得られた国際投資家たちからの愛情であり、要するに、御主人様の靴を舐めたので、日本政府は、世界中の国際投資家たちから愛さているのです。情けないと思いませんか。

 

 

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