④増税と公共投資の増加の組み合わせによる経済成長政策は間違い

 

 大学の経済学の講義では、同じ金額の財政出動でも、減税による場合と公共投資による場合とでは、公共投資による場合の方が乗数効果は高いとしています。だから、経済学部を出たほとんどの者は、景気回復政策として、減税に否定的になり、公共投資を増やそうと提案します。

 全く、経済学部の学生たちは、無能な教師に教えられ、子供のような間違いを犯し、大学を卒業しても、改められるチャンスはなく、永久に同じ過ちを繰り返しているのです。

 例えば、公共投資を1兆円行ったとして、それに対応する民間の受注額(初項)は1兆円で、それが初項となり、国民の限界消費性向cをここでは0.7とすると、公共投資の乗数効果は1/(1-0.7)=3.33となります。

 片や、公共投資の代わりに、財政出動として減税を1兆円行ったとすれば、所得の増加分から消費に使われる部分は0.7兆円で、減税で生まれる乗数効果は0.7/(1-0.7)=2.33だから、減税をやるより、むしろ公共投資を行った方が良いというわけです。

 しかし、この分析の仕方は間違っています。なぜなら、この比較では限界消費性向を定数としているからです。

 ケインズ経済学では、限界消費性向を高めることを政策の目的としているのですが、大学では、なぜ、それを教えないのか、不思議です。

 減税の場合は、確かに最初の生産を表す初項はその時の限界消費性向のcとなりますが、税制は永久に続くことが前提ですから、物理的に継続して限界消費性向を上げ、または国民の気持ちが変わり、心理的にも限界消費性向を上げます。

 物理的に変わるところは、貯蓄を出来ていない低所得層は所得の内0.3を税金で取られ、残り0.7の全てを使っていたものが、税金を0.1軽減してやると、0,8を使えるようになることです。

 公共投資では、翌年には政府の気が変わって公共投資を縮小するかも知れないので、気を緩めることなく、消費を増やさないかも知れませんから、必ずしも限界消費性向が上がるとは限りません。しかし、減税では、税制はそう簡単に変えることは出来ないので、国民から信頼され、限界消費性向が上がるのです。

 だから、公共投資や減税で同じ量のマネーストックが増えたとしても、乗数効果が、減税の乗数効果より高いなどということは一般論としては言えません。

 新古典派経済学の授業では、どんな政府政策をやろうとも、限界消費性向が定数として扱われますが、ケインズ経済学では、政府の政策が限界消費性向を変化させることを目的とするように経済理論として教えます。

 公共投資より減税の方が、限界消費性向cが高くなるということが判れば、どちらが経済成長するかという点において、減税政策を軽視する意見は出てこなくなるはずです。

 また、経済成長するかどうかよりも重要な問題があって、それは、その政策が低所得者や貧困層への所得再分配政策として役に立っているかどうかということです。

 例えば、低所得者や貧困層に対する増税なら、大多数の国民は貧困化してしまいます。

 この貧困化は、強制的に所得から消費に使える金額が減ってしまうことによって起こるもので、それが経済成長を止めてしまうというオマケが付きます。

 私が知る限りでは、経済学部を出た者ほど、「減税による場合と公共投資による場合とでは、公共投資による場合の方が乗数効果は高い」と言っていますが、このことの恐ろしさは、その浅はかな知識の者たちが大量生産されて、その者たちがこの社会を動かしていることです。

 そのため、日本は、減税という選択肢が頭から消えてしまっているので、現在のような貧しい社会となり、30年間デフレが続いているのです。

 税制は少なくとも、政府の気が変わって公共投資をサボタージュしたとしても効き続けるのです。

 税制のような大事なものを一時的な公共投資と引き換えにすることはやってはならないことです。

 公共投資だけでなく、例え社会保障制度であっても、それらの整備と税制との取引のような議論を、政治家はするべきではありませんし、また、国民もそのような議論を支持してはいけません。税制はそれほど大事なものなのです。

 消費税を増税して、それに見合う社会保障政策や公共投資をするというのは真っ赤なウソです。なぜなら、低所得者や貧困層の増税をやるならば、それに見合うような社会保障政策や公共投資などはこの世に存在しないからです。

 低所得者や貧困層への所得再分配は、消費税の廃止が、最初に行うべきことであって、どのような社会保障政策や公共投資であろうと、消費税増税で失ったものを取り返せるような給付政策はありません。

 自民党政権は、消費税の維持について、富裕層や投資家のためにデフレを維持する目的でいろいろな嘘を言っている可能性の方が高いのです。

 現に安倍晋三氏と麻生太郎氏は、政権を取るときに、瑞穂の国の資本主義とか、公共投資を増大するとか、真っ赤なウソを言い、世界で最も悪質な形式の消費税を増税し、緊縮財政を継続し、日本は世界でただ一つの永久的なデフレ国家に成り下がったのです。

 

 

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