インフラ投資と保護貿易が経済成長をもたらす

 

どこの国であろうと、経済成長は、インフラ投資と保護貿易で達成されます。保護貿易は、大きな関税をかけて、物価(購買力)平価よりさらに低い輸入品物価を意図する外国為替相場制の弊害を修正するものです。しかし、現在の世界は保護貿易を許しません。保護貿易が許されないところに、後進国がなかなか経済成長できない根源があるのです。もちろん、インフラ投資によって、土木建築の技術と能力が育たなければなりません。しかし、海外の技術者の協力を得ることは可能ですから、政府が意を決してインフラ投資さえ続けていけば、だんだん技術は向上していきます。インフラが整備され、技術者が育っていけば、その技術は多くの部門に良い影響を与えて行きます。ところが、後進国を食い物にしようとする多国籍資本が、支配層に甘い誘惑をして来ます。インフラ投資をおろそかにして、輸出で儲けたほうが、一部の支配層だけは短時間に金儲けが出来るのです。そのために、インフレ税による全国民の犠牲によって特定地域にインフラ投資を行い、保護貿易をやめ、自由貿易に参戦します。

後進国の多くはこうして成長が出来なくなっているのです。進出企業は、そのインフラのただ乗りのおこぼれに預かろうとするものです。今、中国は清朝末期の状態にあります。中国政府は外国勢力と協力し、自国民を抑圧しているのです。外国企業を受け入れただけでは、その外国企業と協力して自国民を搾取するだけであり、広範な国民に対する所得再分配はありません。そして、進出企業は、中国国民の犠牲によって安く仕上げた商品を先進国に輸出し、先進国の労働者もまた職を失い、被害を受けるのです。グローバリズムの構造は先進国と後進国の労働者のどちらからも搾取するのです。

完全に物価平価で行えれば良いのですが、どうしても、後進国の製品のほうが安くなります。そこで、しっかり、関税を掛けることが重要なのですが、多国籍資本がそれでは儲けられないので、関税を無くせと圧力をかけています。究極の圧力がTPPです。関税をかけることが妨害されるのであれば、しっかり通貨安政策を行うことです。法人税と所得税を増税すれば、国内から富裕層や企業が逃げていくという懸念が上げられていますが、これを心配するのは検討違いです。むしろ、好ましからざる企業は日本から追い出して行く。出て行った企業が日本に輸出しするときは、巨額の関税をかけ、事実上、排除するという方法が、考えられます。

このようにして、労働者の待遇を守る労働基準法で企業を縛って、これに従わなければ、国外に追放すると言うやり方が正しいのではないかと思います。