①三位一体改革=小泉竹中構造改革とは何か

 

 小泉内閣時代(2001年4月から2006年9月)、構造改革と称して、三位一体改革という名の国民の窮乏を本格化させる税制改革が行われました。

 その実行者は、第一次小泉内閣で経済財政担当大臣(内閣府特命担当大臣)、第二次小泉内閣で金融経済財政担当大臣(内閣府特命担当大臣)、第三次小泉内閣で経済財政担当大臣(内閣府特命担当大臣)を努めた竹中平蔵氏です。

 この三位一体改革に最初から最後まで手を下したのは、国際金融資本のエージェントで、小泉内閣に送り込まれた竹中平蔵氏だけです。

 三位一体改革とは、財政に関する三つの改革、つまり、①国庫補助負担金の廃止・縮減、②税財源の移譲、③地方交付税の見直し、を一体的に行うことを言います。

 三位一体改革は、「地方に出来ることは地方にという理念の下、国の関与を縮小し、地方の権限・責任を拡大して、地方分権を一層推進することを目指す」という建前を並べて、数字的にどうなるかのシミュレーションも示さないまま押し切ってしまったものです。

 当時の総務大臣は麻生太郎氏でした。麻生太郎氏もまた自分の地位の保全の動機から三位一体改革に加担しました。

 麻生太郎氏は、財務大臣になる前は、「私にしかるべき地位を与えてもらえば、野党やマスコミからどんなに非難を受けても、公共投資を増大させ、国民の大事な資産である地価を下げさせないために固定資産税の軽減政策を採用する、それしか、日本経済が再生する道はない」と、あらゆる会場で信念の人のごとく演説していたのですが、いざ大臣になってしまうと人が変わったかの様に、だんまりを決め込み、安倍親分に追従してしまいました。

 麻生太郎氏は、有権者にとっては、嘘つきの最もタチの悪い裏切り者です。

 蓋を開けてみれば、三位一体改革によって、2003年6月から2006年度までの3年間で、年間あたり国庫補助負担金4兆円、地方交付税関連5兆円が削られ、見返りとしては余りにも少ない3兆円が自治体に税源移譲されただけでした。

 地方財源は差し引き毎年約6兆円が削られてしまいました。現在、この6兆円は固定資産税6兆円の増税分でまかなわれています。これは住民の負担です。

 三位一体改革の差額を穴埋めするため、あらかじめ、固定資産税増税が用意周到に準備され、1994年からの固定資産税は徐々に引き上げられ、それ以前の2.5兆円から平成24年現在9.7兆円に増やされています。(土地固定資産税3.4兆円、建物固定資産税3.4兆円、機械類の固定資産税1.9兆円)。

 普通、差し引き年間6兆円も削られたのでは、全ての自治体がやって行けなくなりますが、自治体の職員給与への穴埋めは、キッチリ、固定資産税の重税化によって、その地域の住民の負担で賄われたのです。

 あまりにも露骨なやり方と言うべきでしょう。ところが、日本の経済学者、政治家、マスコミの経済評論家と称する者たちの誰一人として、そのことを言わないのです。

 不気味というしかありません。

 つまり、国は、地方自治体から毎年6兆円を回収することに成功したのですが、それは、首長、議員、職員の報酬の削減ではなく、地方の住民の負担を増加させることで行いました。

 そのことによって、竹中平蔵氏は首長、議員、職員の抱き込みに成功し、三位一体改革を成功に導いたのです。

 地方の衰退が止まらない理由が、固定資産税の重税化と国庫補助負担金の廃止・縮減、地方交付税の削減による国民の貧困化、つまり、その負担をより詳細に具現したことによる住民の貧困化にあります。

 三位一体改革以降は、それ以前に比べて、地方住民から毎年6兆円も多く回収されているのですから、地方経済の回復など起こるはずもありません。地方では、自治体職員を除くあらゆる階層が没落し、多くの店舗や住宅が廃墟となり、多くの住民が大都市へ脱出しています。

 地方の住民の負担が増加し、貧困化しても、なお、自治体職員の高い水準の給与やボーナスは維持されました。

 地方住民の負担が増えたのに、自治体職員の給与が下がっていないことに対し、地方住民が疑惑やルサンチマンを持ち始めていることは、おそらく、どこの自治体も同じであろうと思います。

 地方住民は、税金の滞納や債務不履行から、自分の土地や住宅を手放さざるを得なくなっています。それも、競売、もしくは、競売に近いようなタタキ売るような値段で売却されています。

 三位一体改革によって地方住民が貧困化したことで、自治体職員給与民間よりはるかに高くなっています

 そして、困窮した民間が売った不動産の多くは自治体職員によって安く買いタタかれています。つまり、資産は民間から自治体職員への移転しつつあります。このことは、統計的な話であり、統計を取ればおそらく明白なものとなるでしょう。

 これは、自治体職員に住民より優位に立っているというハッキリとした実感を持たせただけでなく、恐るべきことに、住民と感情を共有しない階級分裂という現象を生じさせました。

 他の職種の公務員と区別してことさら自治体職員の給与体系を批判するのは、自治体職員には他の職種の公務員とは異なり、自治体住民と階級を一にする使命があるからです。

 自治体職員と民間との階級分裂は、税金の滞納に対して、取立てや差し押さえが行われ、そのことに自治体職員が疑問を持っていないことから確認されます。

 三位一体改革による最も重大な影響は、地方の住民の貧困化、および、地方の住民と自治体職員との間階級分裂す。

 そして、自治体職員は、地方の住民の共同体から離脱し、時代の勝ち組と共に新しい特権階級に加わり、その体制に加担するようになりました。つまり、緊縮財政体制を守る番犬となったのです。

 三位一体改革は、国民の中の階級間の格差拡大に拍車をかけました。

 そして、早速、2006年度の税制改正で所得税から個人住民税への税源移譲が実施され、個人住民税は、所得の高低に関わらず一律10%、(都道府県4%、市区町村6%)のフラット税に変更されました。

 課税標準に均一の税率で課税するものがフラット税(比例税)と呼ばれるものです。

 住民税には、所得割と均等割がありますが、均等割は年間数千円くらいが全員に均等にかかるものなので、人頭税的な「応益税」であり、貧困層も富裕層と同額の税負担をしなければなりませんから、いずれ増税されれば貧困層は生きて行けなくなります。

 所得割は、とりあえずは生存するための(話にならないくらい少額とはいえ)控除があるので、税率がフラットであるにも関わらず、一応は担税力を考慮した「応能税」と言えます。

 しかし、応能税でも累進制からフラット化されれば、低所得者は増税に、高所得者は減税になります。

 三位一体改革によって、所得税で行われていた累進課税は緩和され、住民税のフラット課税に取り換えられました。

 その結果、中・低所得層は約3兆5千億円の増税となり、高額所得層は約5千億円の減税となりました。

 竹中平蔵氏は、『所得の多少に関わらず、将来的には、完全なフラット税、さらには人頭税(各個人に対し、収入に関係なく一律に課せられる税金)への切り替えといった、究極の税制を視野に入れた議論を行うことも必要だろう。』とまで言っています。こいつは少し頭がオカシイと思うのは私だけでしょうか。

 そして、この頭のオカシイ連中によって、三位一体改革が行われたのです。世論には、なんとなく、景気回復のため、あれこれ経済政策をしていたら、貧富の格差が拡大してしまったと受け止められていますが、それは間違いです。

 最初から、竹中平蔵氏は、三位一体改革が「富める者はより豊かに、貧しい者はより貧しく」という結果をもたらすことを熟知していました。

 

 

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