消費税は企業内で労働者の賃金から削り取られる

 

 なぜ、消費税によって労働者が貧困化して行くのかの答えがこのセクションで判ります。

 消費税は賃金に課税されないと言われていますが、それは、労働者が給与を受け取るときに消費税を上乗せされていないというだけであって、(つまり、労働者が税務署から納付を請求されないというだけであって)、その分は企業に請求されますから、企業にとしては、賃金から削り取って納付することになります。

 つまり、企業の商品全てが課税対象商品の場合、まず、会社の売上の全てに一網打尽で課税されます。そして、「仕入費」に相当する分は仕入先に消費税を支払っているので「仕入費」は控除され、残りに課税するという手順で課税されます。税務署もそのように計算します。

 すると、「売上=仕入費+賃金+利益」から仕入費を差し引いた残り、つまり「賃金+利益」に消費税をかけられていることになります。

 ここで言う仕入費は、便宜上、一般管理費および減価償却費を含みます。また、減価償却資産は購入の時に消費税を一括で支払わされています。

 また、地代と利払いは利益に含まれていると見なしますが、それは、地代は生産しない資産の購入費に置き換えられるので資本の所得移転の調達費用であり、利子は現金という資本の所得移転の調達費用なので、いずれも利益という所得移転で得られる所得から支払われると考えられるからです。

 賃金+利益」は付加価値と呼ばれます。

 「利益」は純利益、地代、利払いに分配されます。

 税理士などに聞けば分かりますが、簡単に消費税額を計算するときは、その企業の付加価値である「賃金利益+地代+利払い」に消費税率を掛ければ大体の数字が出ることは結構知られていることです。

 つまり、財務省が間接税であると主張している消費税は、そのまま「付加価値税」と呼び方を変えるだけで事足り、事務手続きを全く変えることなく直接税になってしまいます。そのことによって、間接税という解釈がレトリックにすぎないものであるということが分かります。

 しかし、どのように巧妙なレトリックを用いようと、消費税の直接税の付加価値税であるという本質は変わりません。

 企業だけが消費税を取り立てられ、企業だけが差し押さえを受けるという事実を否が応にも思い知らされます。

 すなわち、消費税の巧妙なからくりとして、非課税品目があります。

 「賃金+利益」が消費税の非課税品目であり、企業に対してはこの非課税品目に消費税が課税されます。なぜ、これらを非課税にしたのかは、正に企業の「賃金+利益」という付加価値にこそ課税したいからです。

 仮に、仕入費だけでなく賃金にも消費税を課税すれば、企業としては、「売上」から「賃金」を控除できることで、「利益」だけに消費税がかかることになり、これは、地代と利払いを無視すれば、法人税と同じものになります。企業の負担は変わりません。

 いままで、企業が税務署に支払っていたものを、債権者と労働者に支払うことになるだけだからです。よって、賃金に消費税を上乗せして支払ったところで企業の負担は全く同じです。

 また、労働者も、賃金に消費税を上乗せしてもらえるので、手取り金額は全く同じです。何が変わるのかというと、実際に誰が負担しているのかが明らかになるということだけです。

 すなわち、労働者は、付加価値から賃金が支払われるときに、消費税を含む賃金が手渡され、それから消費税を支払うときに、その消費税は自分が支払っていることを気付かされることになります。

 そして、その消費税が無ければ、どんなに良いだろうと考えるようになります。

 徴税当局が恐れているのは、このように、労働者が給与に課税されていることに気付くことです。

 だから、労働者個人に納税させずに、代わって企業に納税させる方法を思いついたのです。

 それが付加価値税(直接税)をわざわざ消費税(間接税)にした理由です。

 すなわち、間接税の消費税方式では、労働者の負担感は巧妙に誤魔化されてしまいます。

 しかし、間接税の消費税と言いながら、本当のところは、間接税のレトリックである消費税が商品価格に転嫁されるかどうかは、当局にとってはどうでも良いのです。

 商品価格に税額表示をことさら義務付けているのは、当局が消費税の価格転嫁をすべきものであることを強調し、念には念を入れて国民を騙したいからです

 しかし、本体価格の値下げについては野放しなのですから、事実として、価格転嫁は形骸化しています。

 政府は国民の無知を利用して、こういうレトリックを使うのです。中学校および高等学校教育における愚民家政策の成果を如何なく利用していると言うべきでしょう。

 何度も言いますが、消費税で課税したいものは「付加価値=賃金+利益」です。

 「付加価値=賃金+利益」に課税されることから何が起こるかというと、付加価値に対して、賃金・利益・消費税の間で争奪戦が起こります。

 消費税の課税の仕組みとしては、まず、付加価値から消費税を賃金、利益に優先して、先取りすることになっています。付加価値の分配先の中に、すべてに優先して栄養を先取りする癌細胞を仕込まれたというべきでしょう。

 そのときから、その消費税に取られた分を残りの賃金と利益のどちらに皺寄せするのかの戦いが始まります。

 利益は株主のものであり、株主は経営権を行使して利益を守ろうとしますから、結局は、賃金を削ることになるのです。特に、デフレのときの不完全雇用状態では、株主は圧倒的に強くなり、必ず賃金が削られます

 中小企業においては、たとえ経営者が善良であろうと、中小企業は利益が0であるところが大半ですから、削るところは賃金しかありません。

 現実世界では、企業経営者は、不完全雇用状態においては、労働者に対して圧倒的に強い立場にあり、企業が負うとされている消費税負担分の全てを、立場の弱い労働者の賃金から削り取ることが出来す。

 そして、そのように企業経営者に立場の弱い労働者の賃金か消費税分を削り取らせることが、政府の狙いなのです。

 それが出来ないような経営者は無能な経営者として、当局は、労働者の賃金から消費税を削り取れないような弱気な、つまり、お人好しな経営者を、鉄拳をもって制裁し、潰してしまいます。消費税は、そのような、経営者を鬼のように鍛えなおす税金でもあります。そして、労働者の名目賃金は下がり続けます。これが政府の狙いです。

 政府の狙いであるということは、政府は経団連を中心とする国際投資家の言いなりですから、国際投資家の狙いであるということでもあります。

 国際投資家の番頭である自民党は、労働者の賃金から相当部分を消費税と社会保険料で奪い去ることによって、世の中をデフレ状態にしておきたいと思っています。これは、デフレを維持するための国民貧困化政策でもあります。

 国民貧困化政策すなわちデフレ政策は、国際投資家(富裕層)にとって資本の希少性による利益効率を最大に出来るチャンスであり、すなわち好景気そのものなのです。

 その証拠に、超長期デフレの日本で大企業だけが空前の利益を上げ、空前の内部留保金を積み上げていす。

 

 

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